空軍基地をドローンで奇襲する「クモの巣」作戦:ウクライナがロシアの戦略爆撃機を多数破壊
虚を衝かれたロシア空軍

ロシア領内に位置する空軍基地少なくとも4地点を標的に、2025年6月、ウクライナ保安庁はドローンを使って奇襲を仕掛けた。作戦は功を奏し、ロシアは虚を衝かれた形となった。ウクライナ側の声明により、その概要が明かされつつある。
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18か月の準備を経た作戦

ウクライナの軍事情報サイト「Defense Express」によれば、今回の作戦は「クモの巣」作戦と名付けられており、準備にかかった期間は18ヵ月。ゼレンスキー大統領のお墨付きで実行されたという。
画像:Telegram @SBUkr
ゼレンスキー大統領のコメント

「クモの巣」作戦の成功が報道されるなか、ゼレンスキー大統領はSNS上で「1年6ヵ月前に私が承認した計画が実を結び、40機あまりの戦略爆撃機がロシアから失われたのは大変よろこばしいことだ」とコメント。今後もこのような攻撃を続けることを宣言した。
画像:X @CSBiggers
ヴァシリ・マリューク長官が指揮

今回の作戦はウクライナ保安庁(SBU)ヴァシリ・マリューク長官の指揮のもと、同庁の部隊がドローン117機を用いてロシア各地に点在する軍用飛行場を奇襲し、多数の戦略爆撃機を破壊するというものだった。
画像:Telegram @SBUkr
どのようにしてドローンをロシア国内に持ち込んだのか?

ウクライナは奇襲のためのドローンを、ロシア国内に運び込んでから飛び立たせたのだが、そのために用意されたのが、民間の運送トラックを装った貨物自動車である。コンテナの屋根を遠隔操作で開き、そこから無数のドローンを放ったのだ。
画像:Telegram @Tsaplienko
攻撃の詳細

SBUの発表によれば、攻撃用ドローンには人工知能が搭載されており、ポルタヴァ長距離戦略航空博物館(ウクライナ)に展示されているソ連時代の航空機をもとに作成した3Dモデルを事前に学習していたという。「Defense Express」が報じた。
画像:Wiki Commons By Kaboldy, Own Work, CC BY-SA 3.0
ウクライナが主張する戦果

この奇襲攻撃は各国のメディアによって大々的に報道されたが、気になるのはウクライナがこの作戦によってどの程度、成果を挙げたのかということだろう。これについて、SBUはロシア軍が保有する戦略爆撃機の34%を破壊したと主張。
戦略爆撃機41機が使用不能に?

マリューク長官およびSBUがTelegramチャンネル上で明かしたところによれば、具体的には41機の戦略爆撃機を使用不能にしたという。
画像:Telegram @Tsaplienko
破壊された航空機の内訳

また、破壊されたロシア軍の航空機にはTu-95、Tu-22M3、Tu-160といった戦略爆撃機や早期警戒機A-50などが含まれていたとのこと。
画像:Telegram @Tsaplienko
替えがきかない航空機も

軍事情報サイト「The War Zone」いわく:「ドローン攻撃の標的となった長距離航空部隊の爆撃機は、ロシアにとって非常に貴重な戦略的航空戦力の一部だった」。破壊された航空機はすぐに補填できるものではなく、中にはまったく替えがきかないものも含まれていたようだ。
確認されたターゲットは4ヵ所

「クモの巣」作戦のターゲットとしては、ベラヤ空軍基地、ディアギレヴォ空軍基地、オレニヤ空軍基地、イヴァノヴォ空軍基地の4ヵ所が確認されており、これらの拠点で同時多発的にロシア軍機が破壊されたことになる。SBUの発表によれば、ロシア側が被った損害の規模は70億ドルに上るという。
ドローンが撮影した映像

オンライン上では、「クモの巣」作戦をドローンの視点から撮影した動画があっという間に拡散された。たとえば、この画像は戦略爆撃機Tu-95と思しき機体に突入するドローンの一人称視点映像だ。
画像:Telegram @Tsaplienko
西側諸国の反応は?

ただし、今回の作戦はウクライナと西側諸国との関係に軋轢をもたらす危険性をはらんでいる。ターゲットとなったのは軍事施設のみだったが、ドローンをロシア国内に忍び込ませるために民間トラックを利用したことが西側諸国から問題視される可能性があるためだ。
SBU長官は作戦の正当性を強調

これに対し、マリューク長官は「われわれは戦時国際法および慣習に則り、攻撃対象として完全に合法とされる施設のみを狙いました。すなわち、わが国の平和な都市の爆撃に加担している空軍基地と航空機です」と、作戦の正当性を強調した。『ウクライナ・プラウダ』紙が報じている。
画像:Telegram @supernova_plus
「ウクライナの反撃は続く」

同長官はさらに、ロシア軍がミサイルやドローンでウクライナ市民を攻撃し続ける限り、ウクライナの反撃は続くだろうと付け加えた。また、『キーウ・インディペンデント』紙によれば、同長官は「ロシア政府はウクライナを爆撃してウクライナ市民を際限なく殺害してもお咎めなしだと考えているようですが、そうは行きません」と述べたそうだ。
和平交渉に及ぼす影響は?

マリューク長官は「われわれはロシアのテロ行為に対抗し、陸・海・空のあらゆる場所で敵を打ち破ります」としているが、今回の奇襲攻撃が和平交渉や戦況にどのような影響を与えるのか、現時点では不透明だ。しかし、イスタンブールで開催された両国の直接協議は1時間ほどで打ち切られ、捕虜の交換以外に成果がなかったことからも、インパクトの大きさがうかがえる。
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