自民党・高市早苗総裁、日本初の女性首相へ秒読み? “ 災い転じて福となす” 維新との連携で追い風も「連立は不透明」

 日本初の女性首相誕生の時が近づいている。公明党が自民党との連立から離脱し、首班指名で優越する衆議院の過半数(233議席)まで37議席不足する事態に陥っていた自民。しかし事態は一転し、15日には高市早苗総裁が首相に選ばれる可能性が高くなった。この日、日本維新の会の吉村洋文代表との会談で、連立も視野に、政策協議をしていくことが決まったからだ。政策協議が順調に進めば、21日に行われる公算の臨時国会での首班指名で、維新が高市氏に投票することになり、高市首相が誕生する。

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■大阪でぶつかる自民と維新

 高市氏は15日の吉村氏との会談後、記者団に対し「首班指名の協力、一緒に政権を担ってもらう連立含みの協力をお願いしたいと率直に申し上げた」と語った。一方、吉村氏は「協議がまとまれば高市氏の名前を書くことになる」と述べた。

 時事通信解説委員の山田惠資氏が解説する。

「高市さんにとっては、維新が少なくとも首班指名で乗ってくれれば、女性初の首相の誕生は確定するわけです。まずは総理の椅子を獲得したいという強い目標があったのでしょう」

 一方で維新の動きについてはこう見る。

「首班指名で高市早苗と書くことまでは応じる。ただし連立については今後次第です。自民との協議で『副都心構想』や『社会保険料の引き下げ』といった政策が実現できれば大きな成果。それで党勢の回復を図ろうという思惑というのはあるでしょう。しかし、大阪で維新は自民と選挙で激しくぶつかっている。双方の党で異論は当然、出てくるでしょう」

 維新の関係者も言う。

「自民と組むと大阪では異論が出るでしょう。衆院の大阪府では19の全小選挙区で維新が議席を取っていますから、大阪の選挙区で自民候補を支援することはあり得ない。大臣ポストというメリットがあり、全国的に維新が落ち込んでいる中で、起死回生を狙っているんでしょうが……」

■「政治とカネ」の問題はどうなる?

 当初、自民は国民民主党との連携を視野に入れていたとみられるが、同党の玉木雄一郎代表は公明の連立離脱を受けて、「我々が(自民を中心とした政権に)加わっても過半数にいかないので意味はない」などと述べるなどしており、自民・国民民主の連携の可能性は低くなっていた。

 急転直下とも言える、維新の連立入りも視野に入れた自民との政策協議。そもそも自民と政策の近い維新の連携は参院選後から取り沙汰されていた。しかし、それは関係の深い小泉進次郎農林水産相が総裁に選出された場合だった。ただ、国政選挙で大阪を中心に維新と激しい戦いを繰り広げてきた公明が連立から離脱したことで、維新が自民と連携するハードルは下がった。衆院会派でみると自民(196議席)プラス維新(35議席)なら231議席となり、両党が組めば過半数までは2議席となる。

「衆院会派の『有志・改革の会』(7議席)の議員にまず、協力を頼むのでしょう。2議席もらえれば過半数を超える。そもそも維新と公明は関係が悪いですから、公明が連立からいなくなって、『災い転じて福となす』になったわけです。しかし維新は『政治とカネ』の問題を重視し、企業・団体献金の禁止を求めてきた。この点が今後、維新の党内や支持者の間でも強い反発が出て来る可能性はあります」(前出の山田氏)

 一方で野党は公明の連立離脱で首班指名の当選ラインが下がったことにより、立憲民主党(148議席)が国民民主の玉木氏を「有力候補」とし、同党(27議席)や維新に対し、野党候補の一本化を呼びかけていた。15日に国会内で3党首会談を開いたが折り合わなかったことに加えて、維新が自民との連立協議に入ることで、野党候補一本化は難しくなった。

 冒頭の高市氏と維新の党首会談が行われた前日の14日、自民党本部では両院議員懇談会が開かれた。公明の連立離脱で、党内の危機感がにじんでいたという。

 結果的に15日に維新との連携に舵を切ることになったわけだが、懇談会終了後、取材に応じた森山裕前幹事長は、こう語っていた。

「(公明の離脱は)地方の議員にとっても心配な話ですね。26年一緒だった。野党になった時も一緒にやってるわけですからね。非常に深いつながりだと思う。公明党さんのお気持ちはよくわかりませんが、つらい時も一緒になってやってきましたんで。できたら一緒にこの難局を乗り切っていければよかった」

(AERA編集部上田耕司)