インテルの次期CPU「Panther Lake」のNPU5、IPU7.5、Bluetooth 6、Wi-Fi 7 R2を解説

面積を前世代より25%小さくしたNPU5, リモートワーク時代だからこそ高画質化したIPU, Bluetoothが2本アンテナになり接続距離は最大52mへ, まとめ:着実に歩を進めるインテル

インテルがエッジAI向けに投入するPanther Lake搭載ボード。「Robinson Lake」という開発コードネームはロボティクス向けであることを示唆しているようだ。ダイの大きさからPanther Lakeの16コア12Xe版であることがわかる

 インテルが社運をかけて実用化した「Intel 18A」プロセスを採用した「Panther Lake」(開発コードネーム)は、2026年に登場するであろうAIノートPCに搭載予定のモバイルPC向けCPUである。Panther Lakeについては、すでに3本の記事(概要、CPU、GPU)を掲載している。本稿はこれまで語っていないAIや画像処理、ワイヤレス機能に関して解説する。

面積を前世代より25%小さくしたNPU5

 2026年もPC業界の主軸はAIを実行できるPC、すなわち「AI PC」であることは間違いない。PCにおけるAI処理において最も強いユニットはGPUであり、CPUはその対極に位置する。

 だが、モバイルPC向けCPUでは常にGPUを回していてはバッテリーがもたない。CPUでは性能が足りないもののGPUに電力を使うほどではない処理はどうするか? その答えが「NPU(Neural Processing Unit)」である。

 Panther Lake16コア12Xe版の場合、CPU全体のAI性能は最大180TOPS(以降、TOPSはパッケージの最大値を示すものとする)と、Lunar Lakeの120TOPSを大きく上回る。なお、180TOPSの内訳はGPUが120TOPS、NPUが50TOPS、CPUが10TOPSとなる。

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Panther Lakeの16コア12Xe版のAI性能の内訳。NPUにはAIアシスタント的な立ち位置の処理を任せよう、とインテルは提唱している

 Panther LakeのNPUは、Lunar Lakeの第4世代(NPU4)から1世代進んだ第5世代NPU、すなわち「NPU5」となる。AI性能はNPU4の48TOPSに対し、NPU5は50TOPSとたった2TOPSしか向上していない。「これでNPU5を名乗って良いものなのか?」と考える方がいてもおかしくない小さな性能差だ。

 しかし、NPU5と名乗る理由はある。1つは面積効率の向上である。NPUはPanther Lakeのコンピュートタイル上にあるが、ほかの重要な機能のためにも小さく作る必要がある。Intel 18Aの採用で実装密度が上がったことにくわえ、後述する最適化によりNPU5はNPU4よりも「面積あたりのTOPS」を40%以上改善したという。

 その値からNPU5とNPU4の面積を推定すると、NPU5はNPU4よりも25%程度小さいという計算になる。プロセスルールの進化(TSMC N3E→Intel 18A)の効果だけでなく、回路そのものの最適化も行われているようだ。

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Panther LakeのNPU5は、面積あたりのTOPSはNPU4より40%以上向上。NPU4はNPU5よりも1.34倍大きい計算になる

 では、面積が25%小さくなったのに性能が向上している理由を、NPU5の構造から考えてみよう。インテルのNPUは、内部に複数のNCE(Neural Compute Engine)がある。

 NCE内にはMACアレイ(Multiply-Accumulate:巨大な行列演算用のユニット)と、SHAVE DSP(インテルが買収したMovidiusが設計した命令長可変のDSP)、データ形式の変換やアクティベーション関数の実行ユニットなどを搭載する。ここで重要な点は、NCEとMACアレイの構成だ。

 NPU4では6基のNPUに対し、NPU5では半分の3基に減っている。しかし、内包するMACのサイズは倍になった。さらに、NPU4では必須だった演算時のゼロパディング(データをキリの良い大きさにするために追加するゼロの羅列)を不要にして並列処理をしやすくするなど、各所で効率を優先した改善を施している。

 さらに、NPU5ではローカルのAI処理には欠かせないFP8のサポートも追加。FP8を利用することでメモリー消費量が大きく減り、スループットが大幅に向上するからだ。ちなみに、FP8の表現形式にはHF8とBF8の2種類があるが、NPU5では両方に対応している。

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NPU4(左)とNPU5(右)の比較。NPUの最少単位はNCEだが、NPU4で2基のNCEに分割して実装していたMACアレイをNPU5では1基にまとめた。MACアレイのマス目(MAC)の個数は同じだ。ちなみに、図に示す通り、NCE1基あたりにMACが256個しかないわけではない。実際はNCE1基あたり4096基(8bit演算時)のMACを配置している

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NCEの上部にはスクラッチパッドRAMがある。これはNPU用のローカルメモリーであり、NPU4では4.5MB搭載している。NCEが6基から3基に減ってしまったが、同時にこれは各NCEに配置している管理用のユニットを削減し、無駄を省いたともいえる

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NPU5ではFP16やINT8にくわえ、新たにFP8をサポート。NCE1基に搭載しているMACアレイでINT8またはFP8の演算をする場合は4096要素(16×16×16)、FP16として利用する場合は2048要素(16×16×8)の行列を1サイクルで計算できる

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これはNPU4発表時の資料より引用。中央のINT8やFP16の図を見ればわかる通り、NPU5よりも1度に処理できる行列要素の数が少ない(1つ前の図と比較してほしい)

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NPU5でサポートするFP8はより精度を重視したBF8(仮数部3bit+指数部4bit+符号1bit)と、表現できる数値の範囲が広いHF8(仮数部2bit+指数部5bit+符号1bit)の2通りとなる。どちらもFP16と比較してメモリー消費量が少なく、スループットも2倍となる

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Stable DiffusionをFP16とFP8で実行した際の電力効率の比較。処理の大半はNPUで実行され、最後の処理のみGPUが稼働する。FP8はFP16と大差ない結果が得られるだけでなく、処理時間がより短く消費するエネルギーも約36%減少。ワットパフォーマンスで考えると50%程度改善するという

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NPU5では、ニューラルネットワークの処理に欠かせない活性化関数を実行するユニットをプログラム可能になった。NPU4まではReLUのように線形的な活性化関数しかサポートしていないが、NPU5ではtanh関数やSigmoid関数もサポート。これまでSHAVE DSPの処理に頼ってきた処理がこのユニットで実行可能になった。右のグラフ(Sigmoid関数)のように直線的でない関数がそのまま実行できるわけだ

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NPU4では直線的に変化するReLU関数やその類型しか扱えなかった。AIによってさまざまな活性化関数を使い分ける必要があるが、非線形的な変化をするSigmoid関数を使う場合、NPU4ではDSPで処理してもらう必要があったのだ

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NPU4を1とした時のNPU5の計算性能を数値化したもの。Softmax関数はSHAVE DSPが減ったせいなのか微妙に遅いが、その他の処理においてはすべて上回っている。ただし、NPU5のFP8の性能とNPU4のFP16の性能を比較して1.9倍(=ビット数が半分だから性能2倍)という数値も同列に出しているので、数字の読み方には注意が必要だろう

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GPUがあるのにNPUを使う意義はあるのか? という疑問に対する回答がこの展示。マイクでとらえた音声をNPUで分析し、Elgato製のテレプロンプター(中央)の文字を話者にあわせてスクロールするというデモ

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しっかりNPUの負荷が上がっている。音声認識程度ではNPUは20%も使わないようだ

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このデモを実行していたPanther Lake搭載ノートPC。Thunderbolt 4ドック経由でプロンプターやマイクなどを接続していた

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NPU5の特徴を示したインフォグラフィック。Panther Lakeの8コア版のNPUでもAI処理性能は50TOPSに到達する。そのため、Panther Lake搭載PCは自動的にCopilot+PCの要件を満たせるということになる

リモートワーク時代だからこそ高画質化したIPU

 続いて、IPU(Image Processing Unit)について解説しよう。IPUはSkylake時代のモバイルPC向けCPUで初採用した画像処理専用のユニットである。2〜3年ペースで更新してきたが、Lunar LakeのIPU7に続き、Panther LakeではIPU7.5になった。世代ごとに電力効率や画質、遅延などを改善してきたが、IPU7.5ではノートPC搭載カメラの画質を向上している。

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IPUはSkylake世代からある機能だ。バージョンを更新するたびに、性能や省電力性能が向上している

 ノートPCのカメラの生データは、カメラ内のISP(Image Signal Processor)か、CPU内のIPUで処理して「鑑賞にたえる」画質にする必要がある。ISPではレンズ補正のほか、ノイズ除去やカラー調整などの処理を行う必要があるが、安価なISPはそれ自体が備えるメモリーや処理性能に制限がかかる。

 そこで、IPUの登場だ。IPUならばメインメモリーをワークエリアとして利用できるほか、GPUやNPU、CPUによるAI処理を組み込むこともたやすい。プレミアムなノートPCは高品質なセンサーとISPが備わっているので問題はないが、そういった装備が選べない低価格なノートPCでも高画質化が容易になるというわけだ。

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カメラがとらえた映像を最終的な映像として出力するまでの流れ。レンズ補正やノイズ除去、シャープネスや色補正といったさまざまな段階を経て出力する

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カメラに付帯するディスクリートのISPと、CPU統合型ISP(つまり、IPUのこと)の違い。前者はメモリーも限られているため、複数のフレームから結果を出すようなテンポラルな処理には不向きだ。対して、IPUならメインメモリーが使えるため、解像度も実質的に制限はない、という主張。画像処理に関しても、IPUならパワフルなGPUやNPUを利用したAI処理が可能である

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IPUを利用した画像処理の一例。これはセンサーでとらえたRAWデータ。とてもこのままではTeamsやZoomで利用できない

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まずは光学系の補正。レンズの色収差補正もここで入る

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ホワイトバランスや露出補正をかけるとかなり見られる映像になってきたが、まだ粗い

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まずは空間的なノイズリダクションを適用し……

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色補正や過去フレームの情報を参照してテンポラルノイズ除去の処理も加える。シャープネス処理などを適用したら、所定の解像度にスケーリングしてはじめてシステムに映像データが手渡されるのだ

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これらの処理のビフォー&アフターを比較したもの。これをカメラ側のISPでやるか、Panther Lake上のIPUで実施するかの違いはあるが、流れとしてはこのような感じになる

 肝心のIPU7とIPU7.5の差分は3点。1つめはハードウェアを利用したスタッガードHDRである。露出時間を変えた2枚の映像をIPU上で合成し、コントラスト比を向上する技術である。IPU7.5では最大4Kの映像に対応し、リアルタイムに変動する照明条件においても柔軟に調整できる。そして、IPU7時代よりも最大1.5Wの電力削減に成功している。

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多重露光で撮影した2枚の映像を合成し、明暗ともにつぶれのない画像を作成する処理は、IPUのハードウェアを用いて処理可能になった

 2つめはNPUやGPUを利用してAIによるノイズ除去。特に照明が暗い場所で撮影した映像はノイズが多くなりがちだが、これを前もってデノイズ用のニューラルネットワークで処理したあとでIPUに渡す。カメラの解像度は5メガピクセルまで、30fpsの映像に対してリアルタイムで処理をかけられる。

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センサーからメインメモリーに転送したRAW画像をNPUまたはGPUでデノイズ処理し、それをIPUに渡してさらなる処理をかける。IPU7.5はこのシームレスな処理の流れを可能にする

 3つめはAIによるローカルトーンマッピングである。文字通りAIを利用したトーンマッピングだが、画面全体に対して調整するのではなく、画面内の異なる領域を個別に調整するというものだ。

 これによりリアルなコントラストと奥行き感を与え、明暗両方の領域において微細なディテールを引き出せるようになる。従来のトーンマッピング技法に比べ、映像にアーティファクトが出にくく、フリッカーも発生しにくいという利点がある。

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IPU7.5のローカルトーンマッピングは従来技法より画質が良く、より安定した映像を出力できるという

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赤線で囲った部分(筆者が資料に記入)がIPU7.5で新設した機能となる

 上の図でわかる通り、IPU7.5はMIPI-CないしMIPI-Dで接続するカメラを最大3基サポートしている。Lunar LakeのIPU7では最大4基なのでこの点は若干退化している感じだが、一般的なノートPCだとカメラは1基なので特に問題にはならない。

 では、なぜカメラのインターフェースを3基も搭載しているのかといえば、エッジAIの利用を考慮しているためである。Intel Tech Tour 2025の展示では、ロボットに3基のカメラを装着し、それらの映像をAIで分析して制御するというデモを行っていた。

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ロボット制御用にPanther Lakeを利用するというデモ。カメラは首の付け根部分に1基、そのほかに両手に1基ずつ装着している

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手から飛び出している部分がカメラのハウジングだ

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GPUが3基のカメラから出力される映像を分析。Lunar LakeのArc Graphics(Xe2)は4.4〜4.9it/sec(itはiterationの略と思われる)だったのに対し、Panther Lakeの16コア12Xe版のArc Bシリーズ(Xe3)は9.3〜9.8it/secと倍程度の差だった

Bluetoothが2本アンテナになり接続距離は最大52mへ

 最後の話題はワイヤレス機能。つまり、Wi-FiおよびBluetoothについてだ。Panther LakeはWi-Fi 7 R2(Release 2の略)とBluetooth 6を採用。Wi-Fi 7 R2は現行のWi-Fi 7のマイナーチェンジだがBluetoothについては新世代に更新しているため、まずはBluetoothの話をしよう。

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Panther LakeでもワイヤレスのPHY(物理層)を担うWi-Fiモジュールは外付けになる。Wi-Fiモジュールに「Intel Wi-Fi 7 BE211」(開発コードネーム:Whale Peak 2 2)を利用することになるが、ほかのメーカーのモジュールを利用することも可能だ。Panther LakeとBE211の双方に、BluetoothのMACとPHYを2つずつ搭載している点に注目してほしい

 Panther Lakeのプラットフォームコントロールタイルは、BluetoothのMACを2基搭載する。そして、Intel Wi-Fi 7 BE211にはPHYが2基。つまり、Panther Lake搭載PCではBluetoothのアンテナを2本搭載することが可能になる(実際に実装されるかはPCメーカーの設計次第)。

 Panther LakeではBluetooth 6をデュアルアンテナで運用することで、通信距離が大幅に拡大する。1世代前の「Intel Wi-Fi 7 BE200」(開発コードネーム:Gale Peak 2)では最大34mだったが、Intel Wi-Fi 7 BE211では52mになる。

 大きめのオフィスや講堂などでもBluetooth通信が途切れにくくなるわけだが、デュアルアンテナBluetoothは通信の安定性(切れにくさ)向上にも貢献するという。ただし、障害物への耐性については語られなかったので、今後実機での検証が必要だ。

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Panther Lake+Intel Wi-Fi 7 BE211を組み合わせてデュアルアンテナBluetooth構成にすると、通信距離は最大52mまで延長できる。通信できる距離が伸びるだけではなく、通信の安定性も向上しているという

 Bluetooth 6の機能も気になるところだが、インテルが作っている規格ではないため、簡単な紹介だけにとどめる。Bluetooth 6で注目すべき新機能は「チャネルサウンディング」だ。これはBluetooth通信の往復にかかった時間と電波の位相を利用して、最大10cm精度での距離測定を可能にするというもの。

 これにより、PC本体と一定距離以内にセキュリティーキーがある時だけロックを解除する機能や「デバイスを探す」機能の精度向上が期待できる。Bluetooth 6接続のマウスやゲームパッドが登場すれば、PC本体と一定距離遠ざかると電源を切ってバッテリーを節約する、という実装も今よりきめ細かくできるようになるだろう。

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Bluetooth 6のチャネルサウンディングは行きと帰りの電波の位相差を利用してPC本体とデバイス間の距離を測定する。精度は最少で10cm程度。この距離情報を利用すればMITM(Man-In-The-Middle)攻撃を見分けられるため、セキュリティー向上にも貢献する

 Panther LakeのBluetoothは「Bluetooth LE Audio」にも対応する。通信時の省電力化や低レイテンシー&高音質のコーデック(LC3)を利用できることで期待を集めているが、もう1つの「Auracast」にも注目したい。これはBluetoothで接続した複数のオーディオデバイスに対して同じ音声を流す、いわばBluetoothオーディオのブロードキャスト機能である。

 Auracastを利用するには、WindowsとBluetoothオーディオデバイスの両方が対応している必要がある。インテルによれば、Windows 11へのAuracast実装は「imminent」、すなわち間近であるとのことだ。Auracast対応のワイヤレスイヤホンはまだ少数(JBLの「Tour Pro 3」など)だが、普及は時間の問題だろう。

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Panther LakeのBluetoothはBluetooth LEにも対応。Auracastは電車や飛行機で移動中にPanther Lake搭載PCで再生した映画を2人で同時に視聴する、というシチュエーションで輝くだろう。2人がAuracast対応イヤホンを装着していれば、PCの音声は2人に届く

 一方、Wi-Fi 7 R2は既存のWi-Fi 7(R1)からのマイナーチェンジであるため、通信速度や利用する電波の周波数帯などは従来と同じだ。R2では主にQOL向上のための機能がいくつか追加している。

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Multi-Link reconfiguration(MLO)で複数の周波数帯にクライアントが接続し、状態の良いほうにミリ秒単位で乗り換えられる点がWi-Fi 7の強みだが、常に全部使っていては電気の無駄である。2.4GHz帯と5GHz帯で接続しているデバイスをすべて5GHz帯に集めれば、クライアント側は2.4GHz帯の電波を切ることができ、電力の有効活用につながる

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接続の安定性やレイテンシーが重要なデバイスがWi-Fiネットワーク上に存在するときに、そのデバイスへの通信を優先させる機能がRestricted TWTである。現在でも通信するデバイスに対し、プライオリティーをつける機能があるがそれを発展させた形だ

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特定のチャネルをP2P通信用に隔離する機能もある。あるPCがVRヘッドセットとP2Pで通信している時に、アクセスポイントはVRヘッドセットが使っているチャネルをほかのPCから隔離する。こうすれば、PC⇔VRヘッドセット間の通信がほかのPCの通信に影響されずに済むわけだ

 Panther Lake搭載PCではIntel Wi-Fi 7 BE211を搭載すれば問題なくWi-Fi 7 R2が利用できるが、アクセスポイント側もR2に対応する必要がある。インテルによれば、ファームウェアの更新でWi-Fi 7 R2の機能が利用可能になるという。とはいえ、実際にそうなるのかは今後の情報待ちだ。

まとめ:着実に歩を進めるインテル

 ここまでの記事でPanther Lakeのさまざまなハードウェア的側面の解説は終了となる。NPUやIPUといった周辺の機能においても細かい進化を積み重ねており、実際の製品の使い勝手が楽しみな製品であることは間違いない。

 次回はIntel Tech Tour 2025取材レポートの最終回。Xeon 6+の話や、Intel 18A製品を量産するFab 52見学の回想録をお届けする予定だ。

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