「身を切る改革」を掲げる維新がコレ? 藤田文武共同代表の釈明会見でまた出した「非を認めない」党の体質

 ビラの印刷などを巡り、秘書が代表を務める会社への発注が報じられた日本維新の会の藤田文武共同代表。「還流」疑惑の釈明に動いた藤田氏は違法性を否定した一方、誤解払拭のために今後、発注先を変えるという。率先して襟を正したようにも映るが、初動対応などを踏まえても「潔い」と言えるのか。(佐藤裕介、太田理英子)

◆「今後は当該企業には発注しない」だけ?, ◆「身内」を使う政治家…「規制が必要では」, ◆藤田氏の初動対応も議論を呼んで, ◆維新の創設者、橋下徹氏に「追い込まれた」, ◆相次ぐ不祥事「急速な政党拡大のツケ」, ◆「ガバナンスは確立ができていないまま」, ◆批判を受け止めないのは「橋下氏の手法」, ◆連立入りで支持率が回復したが…党内は揺らいでいて

④サムネ画像のエトキ

〈動画〉望月衣塑子記者が解説

公金の疑惑を報じた「赤旗」の取材拒否 維新・藤田文武共同代表の記者会見 

◆「今後は当該企業には発注しない」だけ?

 「(秘書側の企業への発注は)誤解や疑念を招くというご批判は真摯(しんし)に受けたい。今後は当該企業には発注しない」。4日に会見した藤田氏はそう口にした。

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公設秘書が代表を務める会社への支出について話す日本維新の会の藤田共同代表=4日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 今回の一件は共産党機関紙「しんぶん赤旗」日曜版が報道。藤田氏側が2017年6月〜24年11月、公設秘書側の会社に約2000万円を支出したなどと伝えた。

 先月29日に電子版が配信されると、藤田氏は翌30日にX(旧Twitter)で「実態のある正当な取引」と違法性を否定。今月2日にはYouTubeチャンネルで動画を配信し、「公設秘書は兼業届を提出している」「仕事の質、スピードともに信用できる」と釈明した一方、「今後の政治活動では、当該企業への発注は一切行わない」とした。

◆「身内」を使う政治家…「規制が必要では」

 こうした対応を「潔い」と捉えるべきか。

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「しんぶん赤旗の記事について」と題した動画の中で釈明する藤田文武氏(自身のYouTubeチャンネルより)

 政治家が身内に資金を流す行為はかねて批判されてきた。例えば、岸田政権下の寺田稔総務相や秋葉賢也復興相。議員の政治団体の事務所賃料を親族に支払う利益誘導の構図が問題視された。他にも不祥事が重なり、両者は更迭された。

 かたや岐阜県議会では昨年6月、県議本人や生計が同じ親族が代表などを務める会社の所有物件を議員の事務所として借りた場合、政務活動費を事務所費に充てられないとする規定を県議会の運用指針に記した。

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2022年、「政治とカネ」をめぐり、岸田文雄首相(当時)に更迭された寺田総務相(左)と秋葉賢也復興相

 そんな中で報じられた藤田氏の一件。国会議員の秘書経験がある「国民投票総研」の南部義典代表は「(大規模なビラの発注などは)単価が大きく、利益の出やすい『おいしい仕事』。秘書側にそうした発注をするのは道義的にも問題がある。何らかの規制が必要ではないか」と説く。

◆藤田氏の初動対応も議論を呼んで

 藤田氏の初動対応にも批判の声が上がる。先月30日のXの投稿では、赤旗の報道に対して「悪意のある税金環流のような恣意(しい)的な記事」「赤旗は公平性を重視するような報道機関では無く、共産党のプロパガンダ紙」と批判。取材記者名や電話番号などが記された名刺をネット上で公開した。

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日本維新の会の藤田文武共同代表がXで公開した、しんぶん赤旗への回答文や記者の名刺(スクリーンショット、一部画像処理)

 翌31日の読売新聞では、藤田氏に取材を申し込むと「SNSで公開したもの以上に答える気はない。定例会見で聞かれたら答える」と回答があったと記された。

 ジャーナリストの江川紹子氏は「与党としての説明責任を果たすべく、すぐに会見を開いて取材に応じるべきだったのではないか」と問題視する。

◆維新の創設者、橋下徹氏に「追い込まれた」

 維新の創設者、橋下徹氏も非難をぶつけていた。先月30日に「こういう金の動きを堂々と正当化するのが今の維新国会議員団。これがまずいというセンサーが働かない」「適法・違法が問題なのではない。『外形的公正性』の問題」とXにつづった。2日後の今月1日には維新の吉村洋文代表が投稿し、連休明けの会見で説明させると記した。

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2013年9月、記者会見する橋下徹氏(左)と松井一郎氏=大阪府堺市で

 政治ジャーナリストの鮫島浩氏は「藤田氏が橋下氏に追い込まれた形だ」と述べ「『身を切る改革』を主張していた維新の幹部が実は身を肥やしていた。『定数削減を言う資格があるのか』という話にもなってくるだろう」と見通した。

 吉村氏も4日に会見している。今後は党の内規を改め、秘書が代表を務める会社などへの政党交付金の支出を禁じると明かした。「秘書という関係になると外形的に見て適正だと証明しづらい」と述べた。

◆相次ぐ不祥事「急速な政党拡大のツケ」

 維新といえば、潔白さが疑われる問題が続く。

 今年に限っても、国から公設秘書の給与をだましとったとして、石井章元参院議員が詐欺罪で在宅起訴。維新の母体となる地域政党「大阪維新の会」から公認を受けた大阪府岸和田市の永野耕平前市長は、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕、起訴された。

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自民党との連立政権樹立で正式合意し、記者会見をする日本維新の会の吉村代表=10月20日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 さらにさかのぼれば、愛知県知事リコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、党支部長が地方自治法違反の罪で有罪が確定。北方領土のビザなし交流で訪れた先で「戦争で島を取り返すのは賛成ですか」と言ったり、国会で「新曲のお買い上げを」と促したりした国会議員もいた。

 拓殖大の河村和徳教授(政治学)は「維新は公募で候補者を発掘して手塩にかけて育てるのではなく、議席を取るため、党の方向性と多少ずれていても手を挙げる人を受け入れてきた。急速な政党拡大のツケが回っている」と指摘する。

◆「ガバナンスは確立ができていないまま」

 藤田氏は幹事長経験もある共同代表の立場。幹部経験者では、馬場伸幸前代表も12年前、政党支部を介して資金管理団体などに寄付金を還流して税優遇を受けた問題が判明している。

◆「今後は当該企業には発注しない」だけ?, ◆「身内」を使う政治家…「規制が必要では」, ◆藤田氏の初動対応も議論を呼んで, ◆維新の創設者、橋下徹氏に「追い込まれた」, ◆相次ぐ不祥事「急速な政党拡大のツケ」, ◆「ガバナンスは確立ができていないまま」, ◆批判を受け止めないのは「橋下氏の手法」, ◆連立入りで支持率が回復したが…党内は揺らいでいて

日本維新の会の馬場伸幸前代表=2024年6月撮影

 今年に入って党内ガバナンス委員会を立ち上げたものの、河村氏は「組織内ガバナンスは確立ができていないまま。橋下氏のような『カリスマ』の人気に依存する政党から脱皮できていない」とみる。

 潔く非を認めない姿勢も際立ってきた。

 大阪・関西万博に関する批判をしたとして、吉村氏が民放番組のコメンテーターを名指しで「出禁」にすると発言して波紋を広げた際、馬場氏は「大阪ジョーク」と擁護した。

◆批判を受け止めないのは「橋下氏の手法」

 2023年には名古屋出入国在留管理局でスリランカ人女性が死亡した経緯を巡り、女性が支援者の助言で病気を装った可能性に維新の参院議員が言及。当時の政調会長が「問題提起だ。間違ったことをしたとは思ってない」とかばったが、批判はやまず、この議員は党員資格停止処分となった。

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橋下徹氏=2025年1月撮影

 ノンフィクションライター西岡研介氏は「維新は、批判を真摯に受け止めることができない組織。敵、味方を峻別(しゅんべつ)し、メディアの信用を落として民意をあおりながら攻撃するのは、もともと橋下氏の手法だ」と強調する。今回、橋下氏は藤田氏を批判しているが、「身内に厳しい姿勢を見せているだけ」と断じる。

◆連立入りで支持率が回復したが…党内は揺らいでいて

 ただ党内では揺らぎがうかがえるという。

 ジャーナリストの今井一氏は、藤田氏の党運営に反発した国会議員3人が今年9月に離党届を提出したことなどに触れ「低迷していた党の支持率が連立入りの後に回復して危機を乗り越えたように見えるが、内部の対立は深まっている。(今回の問題で)亀裂が大きくなりかねない」と話す。

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公設秘書が代表を務める会社への支出について話す日本維新の会の藤田共同代表=4日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 政治家が潔さを欠けば政治不信は増幅する。今井氏は、藤田氏の一件に関して「立法府が責任を持って徹底追及すべきだ」と語る。

 先の河村氏は「国民の代理人である政治家は国民にどう見られるかが重要。疑惑を持たれたら説明し、納得してもらうよう努めるのが当たり前」とし、余波は広がると予測する。

 「連立を組む自民党が維新の要望を受け入れなくなったり、『政治とカネ』の問題を巡る野党側の提案に乗らざるを得なくなったりする可能性がある。藤田氏の問題だけでは済まないだろう」

◆デスクメモ

 2019年、桜を見る会を問う記事を書いた。その後に深掘りしたのが赤旗。感服したのを覚えている。党機関紙は不公平で信用できない、と短絡的に言えるのか。その理屈が通るなら政党関係のビラなども読むに値しないことにならないか。レッテル貼りでかわすのは無理がある。(榊)

◆「今後は当該企業には発注しない」だけ?, ◆「身内」を使う政治家…「規制が必要では」, ◆藤田氏の初動対応も議論を呼んで, ◆維新の創設者、橋下徹氏に「追い込まれた」, ◆相次ぐ不祥事「急速な政党拡大のツケ」, ◆「ガバナンスは確立ができていないまま」, ◆批判を受け止めないのは「橋下氏の手法」, ◆連立入りで支持率が回復したが…党内は揺らいでいて

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