プーチン政権がウクライナの次に狙う国はどこ?
プーチン大統領の次なる狙いは

バイデン前政権時代、国家情報長官を務めるアブリル・ヘインズはロシア・ウクライナ戦争に関し、長期化して他の国々にも影響を及ぼすだろうと述べた。また、ヘインズやほかの多くのアナリストは次にロシアによる侵略の対象となる国として、モルドバ共和国を挙げている。
ルーマニアとウクライナの間にある小国

モルドバは首都をキシナウ(写真)におき、東、北、南でウクライナと接した小国家だ。かつてルーマニア王国の一部をなしていたが、1940年の独ソ協定で旧ソ連に割譲されモルダヴィア・ソビエト社会主義共和国となった後、1991年のソ連崩壊により独立を宣言している。しかし、ロシアはなぜモルドバを狙っているのだろう?
画像: Vitalie Sitnic/Unsplash
ロシアが狙う「沿ドニエストル共和国」への道

プーチン大統領の狙いは、モルドバ領内に回廊をつくることにある。たとえばモルドバには親ロシア派の未承認国家トランスニストリア(沿ドニエストル共和国)があり、ロシア軍がそこに到達できるルートをつくる考えだというのだ。トランスニストリアの旗には、旧ソ連を懐かしむかのように鎌とハンマーが描かれている。
平和な農業国モルドバだが......

モルドバは人口わずか1,200万人の農業国だが、その地理的あるいは歴史的要因により国の存亡を賭した戦争の可能性にさらされている。
画像: Vlad Gregurco/Unsplash
高品質ワインの産地

あまり知られていないが、モルドバはワインメーカーの間で高く評価される国でもある。とくに首都圏に近いクリコバ地域が高品質のワイン生産地とされている。
画像: Calin Stan
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親ロシア系の少数民族

モルドバも民族問題とは無縁ではなく、ガガウズという少数民族を抱えている。ガガウズ人はテュルク系だがモスクワ総主教を長とするロシア正教に従う親ロシア派で、人口は約20万人。1989年に建国宣言を行い、画像にあるように独自の旗も持っているほどだ。現在、モルドバ内のガガウズ自治区として一定の自治権が与えられている。
おおむね平穏な国

ともあれ、トランスニストリア紛争が起こった1990年代初頭を除き、モルドバでは一定の平和が保たれている。現在のロシア・ウクライナ戦争では欧州各国の連帯活動に加わっているものの、数十万人のウクライナ難民を受け入れるにとどまっている。
画像: Vadim Russu/Unsplash
ルーマニア・モルドバ統一運動

モルドバ共和国をふたたびルーマニアに組み入れるルーマニア・モルドバ統一運動も存在するが(ルーマニア領内にも「モルドバ」という地域がある)、両国が本格的にこれをすすめたことはない。モルドバの国旗はルーマニアのものとほとんど同じだが、主権維持に努めている。
女性リーダーの国

モルドバ共和国の大統領は元経済学者のマイア・サンドゥ(写真)。2020年11月に就任した女性リーダーは親欧米路線をしいているが、今後ロシアの圧力にさらされる可能性もある。
欧州接近に対するロシアからの圧力

旧ソ連諸国にはEU加盟を目指す流れがあるが、その内情はさまざまだ。ウクライナと同じくモルドバはEU加盟支持者が国民の大半を占めているが、これはロシアにとって好ましくない状況だ。現在、EU入りという夢は画像にある壁画や、欧州各国との幅広い経済取引に表れている。
ロシアとは比較にならない軍事力

また、モルドバ軍の「弱さ」にも留意しなければならない。GFP(Global Fire Power)が提供するデータによれば、例えばモルドバ空軍の装備は主に輸送用のヘリコプター16機、攻撃ヘリ4機、輸送機1機となっている。大国ロシアの軍事力とは比較にならないのだ。
ロシアによる侵攻の可能性

ロシアがモルドバに侵攻を行う可能性は高いとされているが、しかし、プーチン大統領は行動をとる前に深く考えるべきだろう。ウクライナに加えてモルドバにまで戦争を仕掛けたら、ロシアの対外関係はさらに緊迫したものになるだろう。
ロシアへの対抗力は

ロシアが侵攻を行った場合、モルドバの指導者や国民がどのような反応を示すかは未知数だ。主権侵害を非難するのは当然としても、ウクライナがロシアを押し返したようにレジスタンスを続けることができるのだろうか。
東西バランスの上に立つ小国

モルドバ侵攻について、ロシアはかなりの優位性を手にすることになる。モルドバの軍事力は極めて低い上に、欧州とのつながりを重視しながらも旧ソ連国家として微妙なバランスを保ってきた国だからだ。
画像: Dorin Semeret/Unsplash
戦争は予測不可能

しかし、ウクライナ侵攻で明らかになったように、どんな戦争もその展開は予測不可能だ。軍事大国ロシアでも、簡単に勝利を収められないこともある。
かつてのロシア帝国を目指す?

そしてプーチン大統領には、モルドバといった旧ソ連各国を吸収し、ロシア帝国の威光を取り戻そうとしているのではないかという説もある。しかし、それはまた別の話といえるだろう。
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