埼玉・行田「自家製うどん えんや」 武蔵野と讃岐の良さ合体

汁の辛味が爽やかな辛味肉汁うどん=埼玉県行田市(昌林龍一撮影)

 埼玉県を縦断する国道122号を利根川の手前で熊谷市方面に曲がる県道59号線沿いの田園地帯。車を使わなければ、市内の駅からタクシーで行くしかない。そんな場所に店はあるが、店内は老若男女問わずにぎわっている。特徴は、武蔵野うどんの麺の歯応えと讃岐うどんのうま味ある汁の合体。その味を求めてやってくる。(昌林龍一)

◆ボリュームがある麺

 県道59号羽生妻沼(はにゅうめぬま)線沿いの「利根大堰(おおせき)」を超えた西方に店はある。

 冷たいうどんを温かい汁につけて食べる「つけうどん」は、並盛で約600グラムと他店よりボリュームがある。最大は「ダブル盛」(1・2キロ)まであり、300円増し。注文すれば、麺が温かい「あつもり」もできる。

 「辛味肉汁うどん」(並盛、870円)を注文した。麺はやや長めで表面に光沢がある。かむと小麦の味を感じ、武蔵野うどんらしい食感だ。肉は甘味があり大きめ。汁はやや酸味があり爽やかな辛さだ。

 店主の荒井康晴さん(60)は「麺は多少色味をつけたい」とあやひかりの粉に北関東産の小麦をブレンド。自慢の出汁は、瀬戸内海でとれたカタクチイワシの煮干しをベースに、カツオ節やサバ節をブレンド。そこに、讃岐を感じさせる「昆布を入れている」と荒井さん。カウンターには出汁を取る材料から「捨てるのはもったいない」と再利用したふりかけがあり、汁にかけると味変を楽しめる。

店主の荒井康晴さん=埼玉県行田市(昌林龍一撮影)

 温かいうどんが好きな人には「えんやうどん」がぴったり。注文すると、豚バラ、キノコ類、揚げた玉がぎっしりのっていた。「温かいうどんは上に隙間がない方がおいしいと習った」と荒井さんはその理由を明かす。寒い季節にはカレーうどんもおすすめだ。

◆はしにも細やかな気遣い

 会社員だった荒井さんは群馬県前橋市に赴任していたときに、現地の讃岐うどん店の味に魅了され飲食店を開こうと決意。平成23年に脱サラし、製麺店が営む「うどん学校」で学んだ後、故郷の埼玉県でうどん店を開店した。少々交通が不便なこの場所にしたのは、「うどん店をやるのによい物件。たまたま」。店名は人との縁に感謝する気持ちを込めて名付けた。

「自家製うどん えんや」の外観=埼玉県行田市(昌林龍一撮影)

 カウンターに座り、はし箱をみると、通常のはしのほかに割りばしもあり、好きな方を選べる。そんな荒井さんの気遣いも人気の一因だろう。

■埼玉県行田市下中条1581の9

連絡先:048・564・7777

■観 光

「自家製うどん えんや」から東に約1・5キロメートルの場所に日本屈指の規模の堰「利根大堰」があり、「大堰自然の観察室」(行田市須加船川4369)が設置されている。利根大堰は川を遡上(そじょう)する魚のための道「魚道」を設置し、観察室から魚道を通って遡上する魚を見ることができる。無料。午前9時~午後4時半(10月~1月)、午前9時~午後5時(2月~9月)。