Z世代による抗議デモが世界各地で拡大:シンボルは『ONE PIECE』の海賊旗
若者たちのデモがクーデターに発展

若者たち主導の大規模な反政府デモに見舞われたマダガスカルでは、軍部がアンドリー・ラジョエリナ大統領に反旗を翻し、クーデターが発生。同大統領は10月14日に亡命し、軍部が権力を握った。フランスRFI放送が報じている。
ネパールでも政権転覆

さらに、今年9月には、ネパールでも若者たちによる反政府デモが発生。オリ政権はデモの弾圧を試みたが、人々は国会議事堂に放火するなど暴徒化し、ついに政権崩壊に至った。これを受けて発足した暫定政権は2026年に総選挙を実施すると約束した。
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立ち上がるZ世代

しかし、マダガスカルとネパールだけではない。インドネシアやモロッコ、セルビアなど、世界各地の発展途上国で、Z世代の若者たちが自国政府に対する不満をあらわにし始めたのだ。
Z世代とは?

Z世代(13〜28歳)の若者たちは汚職や格差拡大、特権的なエリートといった社会問題に敏感だとされる。
「ネポキッズ」に対する反感

ネパールの場合、デモ参加者らがやり玉にあげたのは「ネポキッズ」だった。ネポキッズとはエリート層の子供たちのことで、自力で手に入れたわけではない富を利用して優雅なライフスタイルを送り、それをSNS上でひけらかすため、反感を呼んでいた。
「われわれは税金、あいつらは贅沢」

ネット上では、贅沢なネポキッズと貧困にあえぐ一般市民を比較する動画が出回り、「われわれは税金、あいつらは贅沢。われわれが支払い、あいつらが自慢」といったコメントが付されていた。こういった若者たちの怒りによって、ネパールのオリ前首相は辞任に追い込まれることとなった。
バングラデシュでも政権崩壊

一方、バングラデシュでも2024年に、ネパールと同じような社会現象が発生した。アジアにおける社会学の専門家、ジャンジラ・ソムバトプーンシリ博士によれば、その原因は「事実上、権力者らの親族に公職を割り当てるため」の法案が成立したことだったという。RFI放送が報じた。
インドネシアでも抗議デモ

さらに、インドネシアでも今年年8月末に大規模な抗議デモが起きている。汚職や警察による暴力に加え、政治エリートたちの特権(とりわけ、最低賃金の10倍に相当する国会議員の住宅手当)が人々の怒りに火をつけたのだ。
窮地に立たされたセルビアのヴチッチ政権

一方、セルビアでは2024年11月に、ノヴィ・サド駅の屋根崩落事故をきっかけとする反政府デモの嵐が吹き荒れた。これは事故の背景に汚職があるとみなされたためだ。その結果、同国のヴチッチ政権は数ヵ月にわたって、若者たちによる抗議に直面することとなった。
難を逃れたモロッコ王室

また、モロッコでも今年9月以降、若者たちによる大規模な抗議デモが発生している。ただし、同国の王室はZ世代から怒りの矛先を向けられておらず、難を逃れているようだ。フランス・アンテル放送が報じた。
公共サービスをおろそかにする政府への怒り

モロッコで発生した抗議デモは「Gen Z 212」(212は国際電話におけるモロッコの国番号)と呼ばれている。同国政府が公共サービスをおろそかにする一方で、2030年W杯に向けたスタジアムの改修に巨費を投じたことなどが引き金となった。
暴力的な衝突

ネパール同様、モロッコでも警察とデモ隊による暴力的な衝突が発生。治安部隊が発砲して死傷者が出たほか、400人あまりが逮捕される事態となった。
デモのスローガン

モロッコの社会学者、メフディ・アリウア准教授はフランス24放送に対し、「結局、スローガンは一貫しています。よりよい暮らし、適切な富の再配分、きちんと機能する学校制度および医療制度です」と解説している。
公平なゲームのはずが……

同教授いわく:「若者たちは能力主義のゲームを望んでいますが、サイコロにイカサマがあることに気づくわけです」
ネットでつながる若者たち

若者たちによる抗議デモにはひとつの共通点がある。オンライン上で運動が始まり、拡散されるのだ。モロッコの場合、「Discord」と呼ばれるSNSでうねりが巻き起こり、グループ「Gen Z 212」のユーザーは数十万人を突破することとなった。
デジタルネイティブによるデモ組織

Z世代はデジタルネイティブであり、AI動画やハッシュタグ、ミーム、ポップカルチャーといった“ネットの作法”を取り込んで、オンライン上でデモを組織している。
『ONE PIECE』の海賊旗がシンボルに

いま、アフリカ大陸で行われているZ世代デモでは、漫画『ONE PIECE』に登場する海賊旗がシンボルとされている。これはネパールとインドネシアにおける反政府デモで使われはじめたもので、世界各地のZ世代に行動を呼びかける旗印なのだ。
ネットを通じたインフォーマルなつながり

これについて、ロンドンにあるゴールドスミス・カレッジの社会学者フェイジ・イスマイル博士はフランス24放送に対し、「こういった各国の若者たちには(ネットを通じた)インフォーマルなつながりが存在し、自分たちをとりまく状況に合わせてトレンドを取り入れています」と解説。
相互に影響しあう各国の若者たち

実際、若者グループ「Gen Z Madagascar」のメンバーは同放送に対し、「ネパールでの抗議デモはマダガスカルにおけるZ世代運動を生み出すカギとなりました。アジアの抗議デモがSNSを通じて拡散されたことで、マダガスカルの人々が行動しはじめたのです」と語っている。
明確なリーダーは不在、既存の組織に不信感

一方、フランス・アンテル放送はZ世代デモの特徴として、「誰もが認める指導者や自称リーダーが存在しないほか、政党や労働組合に対する根深い不信感がある」と指摘。実際、モロッコにおけるデモを組織した人物はいまも匿名のままとなっている。
世代間の分断から政治的な分断へ

同放送いわく:「世代間の分断は政治的な分断へと変化しつつあり、その行方を予測することはできない」こういった発展途上国では30歳未満の世代が人口の大部分を占め、高齢化と腐敗が進んだ自国政権に対し、意義を申し立てている形だ。
その他の国々に抗議デモが広がる可能性

しかし、このような問題はいま抗議デモが起きている地域に限ったものではない。アフリカ大陸をはじめとする各国で、Z世代によるデモが連鎖的に引き起こされるかもしれない。
今後の展望は?

世界各地で既存の体制に反旗を翻しはじめたZ世代の若者たち。その一部は政権転覆をなし遂げているが、肝心なのはその先だ。はたして、怒れる若者たちはあらたな仕組みを打ち立てることができるのだろうか?
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