サウジアラビアは気候変動で「存在の危機」を迎える? それでも原油を売り続けるしかない皮肉
サウジアラビアの富の源泉、原油

『ガーディアン』紙によると、、代表的産油国であるサウジアラビアでは毎分17万ドルもの富が原油採掘によって産み出されているという。原油の採掘コストは1バレル当たり2ドルほどだが、販売価格は60~80ドルにもなるのだ。
原油で潤う

この原油生産のおかげで、サウジアラビア(人口3,600万人)のひとり当たりGDPは3万5,230ドルと、世界平均の1万4,210ドルを大きく上回っている。
アル・ゴア氏の批難

従って、そんなサウジアラビアが石油消費を減らそうとする地球温暖化対策の妨害に血道を上げるのは当然のことと言える。先日ブラジル・ベレンで開催されたCOP30でも、米元副大統領アル・ゴア氏がサウジアラビアの振る舞いを批難している。
「露骨に強欲かつ自己中心的」

ゴア氏は『フィナンシャル・タイムズ紙』にこう語っている:「サウジアラビアは気候変動対策に反対するという強い決意を抱いているようです。それもただ、化石燃料を売ることで得られる富を手放したくないがためです。まさにその化石燃料が気候変動の主要な原因なのですが。サウジアラビアのこのような露骨に強欲かつ自己中心的な振る舞いを止めるために、世界各国が団結することを望んでいます」
気候変動の影響を真っ先に受ける皮肉

皮肉なことに、サウジアラビアに巨万の富をもたらした世界有数の原油埋蔵量(ベネズエラに次いで世界第2位)は、同国を人間の生存に適さない不毛の地へと変えつつある。
「存在の危機」

アブドラ王立科学技術大学及びアブドラ王立原油研究センター(KAPSARC)が2023年に出した報告書では「サウジアラビアの環境指数はすでに居住可能性の限界に達している」と指摘されていた。現在の予測通り2100年までに気温が3℃上昇した場合、サウジアラビアは「存在の危機」を迎えるとも言われている。
急速に上昇する気温

サウジアラビアは世界でももっとも暑い国のひとつで、水資源にも乏しい。そのせいで、ひとり当たりのCO2排出量は世界平均の5倍に達している。世界全体で気温が上昇しているが、サウジアラビアの気温はその3倍の速度で上がっている。
巡礼者に多数の死亡者が発生

世界的に見ると、1979年から2019年にかけて気温は2.2℃上昇した。だが、サウジアラビアではこの上昇量は3倍に達している。イスラム教の聖地メッカや首都リヤドではさらに上昇しており、2024年の熱波では1,300人の巡礼者が熱中症で死亡している。
「グリーン経済」の矛盾

もうひとつの皮肉は、サウジアラビアは国として再生可能エネルギーの導入に積極的だが、「グリーン経済」において存在感を発揮し続けるためには原油によってもたらされる資金が常に必要になるということだ。
原油を売り続けるしかない

中東に拠点を置く気候変動シンクタンク、カルブーン研究所のカリーム・エルゲンディ所長はこう語っている:「サウジアラビアは『グリーン』な国になろうとしています。いま形成されつつある『グリーン経済』に参画しようという目論見ですが、そのためには原油を売って得ている資金が欠かせないのです」
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