高市首相の足を引っ張る「ヤバすぎ3閣僚」の実態

“女房役”として高市首相(右)を支えるはずの木原官房長官。だが、事務手続きの拙さから、思わぬ形で政権の足を引っ張っている(写真:ブルームバーグ)
12月に行われた各世論調査でも高い支持率を維持している高市早苗内閣。だが、ここにきて「問題閣僚」たちによる失態が相次ぎ、政権の足を引っ張りかねない状況となっている。
【写真あり】木原官房長官だけじゃない、高市政権の足を引っ張りかねない「ヤバすぎ閣僚」の顔ぶれとは?
11日には、国家公務員特別職給与法改正案の概要を記した「要綱」の一部を8日に閣議決定したが、その後に修正していたことが発覚。野党が抗議し、内閣委員会の開催が1時間ほど遅れ、2025年度補正予算を採決する衆院本会議の開催にも影響した。
立憲議員が明かしたお粗末なやり取りの内幕
「閣議決定の後、(尾﨑正直官房)副長官から発意され、総理と(木原稔官房)長官から『検討』の指示が出た。その結果、要綱の概要の一部が修正され、提出が遅れた。実はここ数日、事務方とやり取りをしたが、その説明が二転三転し、これについて副長官から謝罪があった」
11日午前の議会運営委員会(議運)の後、立憲民主党の吉川元議運筆頭理事は問題のいきさつについてこのように説明し、「閣議決定した後に要綱が書き変えられるなんて、知る限り過去に例がない。異常事態だ」と批判した。
その後、木原官房長官が議運に出向いて謝罪し、「報道は要綱を斜め読みにするので、期末手当が上がると報じられることを懸念している」と説明した。だが、吉川氏は「明らかな責任転嫁だ」と憤慨した。
同日の衆議院法務委員会では、再審法改正について質問した自民党の稲田朋美議員が、平口洋法相の答弁にため息をついた。
「今のではダメなんですよ。今のではダメ」
稲田氏は、無罪が確定した1986年の福井女子中学生殺人事件で検察が重要証拠をなかなか開示しなかったことを取り上げ、「これは今回の再審法改正の立法事実そのものであって、この刑事法制度の立案責任である法務省においてしっかり検証すべき事案だ」と断言した。
そのうえで平口法相に対して、「先日の予算委員会で総理が『(平口)大臣に再審法改正の指示をしている』とおっしゃったが、元裁判官63人が『今の法制審の方向性では改悪以外の何ものでもない。まったく現状の改善につながらない。法務省とか検察サイドが主導する法制審に、改正させること自体が誤りだ』とおっしゃっている」と述べ、「(再審請求審での広範な証拠開示義務を盛り込んだ)議連案に添った改正を行うべきだと思うが、いかがか」と訴えた。

国会での危うい答弁で身内からも厳しいダメ出しを食らう平口法相(写真:ブルームバーグ)
ところが平口法相は、「引き続き法制審で十分な検討が行われ、できる限り早期に答申がいただけるよう力を尽くす」と法務省が作成した“答弁書”を読み上げるだけで、稲田氏の質問とかみ合わない答弁となってしまった。
そもそも再審法改正については、12月2日の参院法務委員会で鈴木宗男議員から「法制審へきちんと指示をしたのか」と尋ねられたとき、平口法相は「部内の議論ではやっている」と逃げ、「私が指示したことはない」と回答。さらに「総理大臣から言われたのだから、平口大臣は法制審に指示すべきでは」との鈴木氏の追及に、「私は諮問している立場なので、法制審議会の議論を見守りたい」と言い訳した。
これにはさすがに鈴木氏も「国民から選ばれた国会議員が所属する委員会での発言と、大臣が諮問したから見守りたいという発言では、受け止めが逆ではないか」と批判。さらに「歴代の法務大臣と比較しても、その答弁は役所に言われたとおりで、国務大臣としての答弁ではない。きちんと頭づくりしてほしい」と苦言を述べた。
「おこめ券大臣」にOBが“マッチポンプ”批判
高市政権は首相がすべてを決定する。だから閣僚の一人ひとりの資質は、一部を除いてそれほど重視されていないのかもしれない――。
そうした危惧が自民党には漂っていたのだろう。高市政権発足前夜、入閣適齢期のある議員は「農林水産相だけは絶対に嫌だ。おこめ券を配る政策をやるほど、俺はバカじゃない」と述べた。
それを嬉々としてやろうとしているのが、「おこめ券大臣」と揶揄される鈴木憲和農水相だ。05年に農水省に入省し、12年に政界に転じた。その13年後に高市首相から電話で農水相に一本釣りされ、ただ「稼ぐのよ」との“指令”だけを受けた。
24年に起こった「令和のコメ騒動」で、石破茂政権は減反政策からコメを増産する方向に舵を切った。いわゆる「需要に応じた増産」だ。麻生太郎政権で農水相を務めた石破前首相は、「コメを増産すべき」との主張の持ち主で、多額の税金を転作奨励金として拠出し、農水省が予想する需要量にコメの生産を行う減反政策に対して批判的だった。
「コメを買ったことがない」との失言で江藤拓元農水相を更迭した後、人気と知名度に期待して小泉進次郎前農水相を任命。高騰する米価対策として備蓄米を放出させた。また、小泉氏は備蓄米の売り渡し方法として随時契約を採用し、全国農業協同組合中央会(JA全中)を激怒させている。
もともとJA改革に熱心だった小泉前農水相は、自民党農水部会長だった16年に農協改革の議論を開始。肥料などの購買や流通構造の見直しを求めてJAと対立したこともあった。

開成高校から東京大学へと進んだ鈴木農水相。頭は切れるが、肝心の政策にはOBからも注文がつく(写真:ブルームバーグ)
一方、鈴木農水相は農水省に7年しか在籍せず、同省の渡邊毅事務次官は17年先輩で、同省ナンバー2の渡邊洋一審議官は16年先輩だ。財務省出身で新川浩嗣事務次官より5年先輩の片山さつき財務相とは、ある意味で対照的といえる。
農水省OBの山下一仁キヤノングローバル戦略研究所研究主幹はプレジデントオンラインで、コメの価格を下げることを拒否し、おこめ券を配ろうとする鈴木農水相を「責任を取りたくないために仕事を回避する官僚」に分類。鈴木氏が主導する「おこめ券」政策を「3500億円の減反補助金で米価を上げたうえで(令和7年度補正予算のうち食料品高騰に対する特別枠である)4000億円をかけて救済するというマッチポンプ政策」と批判した。
高市首相も「おこめ券」政策には他人ヅラ?
そもそも「おこめ券」は経費率が高いとして、導入を渋る自治体も少なくない。そうした事情を察知したのだろう、12月9日の衆院予算委員会で高市首相は「農水大臣が大好きなおこめ券」と発言した。それは「自分が指示したのは『稼げる農業』で、不評の『おこめ券』ではない」と言いたげにも聞こえた。
高市政権はただひたすら高市首相の個人的な人気に支えられている。大きな“お荷物”を抱えつつ、高市首相は働いて、働いて、働いて、働いて、働き抜くつもりなのか。