ウクライナ和平に奔走するトランプ米大統領:しかし、成功の気配はなし
一向に進展しないウクライナ和平

2024年の米大統領選の中で、トランプ氏はウクライナ和平を就任24時間以内に実現すると豪語した。しかし、第二次トランプ政権の発足後、同氏による和平合意の試みは停滞。目に見える成果は乏しいと言わざるを得ない。専門家の一部は、最近の取り組みも大きな前進にはつながらないだろうという悲観的な見方を示している。
28項目の和平案

トランプ和平がもっとも実現に近づいたとされるのは、28項目の和平案が報じられた時だった。この案をめぐってはウクライナが猛反発したが、それも無理からぬことだった。
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トランプ和平案に対する怒り

トランプ和平案の内容が公になると、ロシア寄りだとの批判が相次ぎ、一部からは「クレムリン発」ではないかという指摘まで出るほどだった。いずれにせよ、この案は欧州各国やウクライナの反発を受けて早々に棚上げされてしまった。
縮小されたトランプ和平案

その後、ジュネーブで行われた米国とウクライナの協議により、和平案は19項目に縮小。ウクライナのゼレンスキー大統領は「意志の連合」の首脳らとの会談の中で、ウクライナはこの改訂案を支持すると表明した。
ロシアは米国主導の和平案を受け入れるのか?

11月30日には、ウクライナの代表団がマイアミで米側と協議。会談は順調に進んだとされるが、和平の実現に向けては根本的な疑問が残されている。つまり、ロシアが米主導の和平案を受け入れるのか、という点だ。
和平に消極的なプーチン政権

『キーウ・インディペンデント』紙はこれについて、各国は和平を模索しているが、ロシアのプーチン大統領は停戦受け入れに消極的な姿勢を崩していないと分析。
プーチン大統領の主張

実際、プーチン大統領は11月27日、キルギス訪問中の記者会見の中で、ロシアが一方的に併合を宣言した地域からウクライナ軍が撤退しない限り、戦闘は終わらないと述べた。
ウクライナ側のレッドライン

『キーウ・インディペンデント』紙によれば、ウクライナ側も交渉における「譲れない一線」を改めて強調。西側諸国との同盟関係や軍事力に制限を課されることは受け入れられず、ロシアに対するウクライナ領の割譲もあり得ないというものだ。
真っ向から対立するロシアとウクライナ

ウクライナの和平条件はロシアの要求と真っ向から対立する。プーチン政権はウクライナのNATO加盟阻止、軍事力の制限に加え、一方的に併合した地域の国際的承認と同地からのウクライナ軍撤退を求めている。
「戦局の大きな変化が必要」

両国が一歩も譲ろうとしない中、国際政治学者のジェニー・マザーズ氏は『キーウ・インディペンデント』紙に対し、「双方が戦争継続によって得るものがほとんどないと判断するような、戦局の大きな変化が必要だ」と指摘した。
ロシアが態度を軟化させる可能性はほぼゼロ

マザーズ氏いわく、ロシアが態度を軟化させるのは「深刻かつ長期的な挫折、あるいは主要同盟国の支持喪失」が起きた場合のみだ。しかし、そうした事態が近いうちに起きる気配はない。
一貫性がないトランプ政権

ウクライナ国家戦略研究所の研究員で、「カムバック・アライブ」プロジェクトの上級アナリストであるミコラ・ビエリエスコウ氏は『キーウ・ポスト』紙に対し、トランプ政権はロシアを交渉に向かわせる「一貫した戦略」を構築できていないと批判。
プーチン政権には停戦合意を進める動機がない

ビエリスコウ氏はさらに、ロシア軍が戦場で進撃を続けている限り、プーチン大統領には「前線を凍結し、立場の相違を保留して交渉する」動機がないと指摘した。
じわじわと進軍するロシア

実際、ロシア軍はじわじわと進軍している。戦況ウォッチャー「ディープステート」によれば、ロシア軍は2025年10月に267平方キロメートル、9月にも同程度の領土を奪取したとされる。これはウクライナ全土のおよそ0.04%に相当する。
ドネツク州全域の占領

一方、戦争研究所(ISW)は11月26日の戦況分析の中で、現在の進軍速度が維持されれば、ロシア軍がドネツク州全域を制圧するのは2027年8月になるとの見方を示した。プーチン大統領がドネツク州を完全に占領した段階で停戦に動く可能性もあるが、さらなる目標を追い続ける公算の方が大きいだろう。
ロシアは問題を抱えているが、戦争継続は可能

欧州外交評議会の客員研究員アントン・バルバシン氏は『キーウ・インディペンデント』紙に対し、ロシアはさまざまな問題を抱えているが、近いうちに大きな挫折に見舞われる兆候は今のところないと指摘。
経済面では苦境も、「崩壊には至っていない」

同氏いわく:「戦況は意思決定に影響を与え得る。しかし、現時点ではロシアが近いうちに軍事的敗北を喫するとは考えにくい」また、経済面では苦境に立たされているものの、「崩壊には至っていない」とのこと。
識者らの見解

バルバシン氏は、外圧にさらされない限りロシアは現状の戦争遂行をあと1年は維持できると見ている。反体制派のロシア人政治家ウラジーミル・ミロフ氏もこの見解を支持。『キーウ・インディペンデント』紙に対し、「この規模の戦争なら当面は継続可能だ」と述べた。では、プーチン大統領を和平に向かわせるためには何が必要なのだろう?
何が起きればプーチン政権は和平に動くのか?

戦場での決定的な敗北や深刻な経済危機が生じない限り、ロシアが交渉に応じるだけの圧力が生まれる可能性は低い。トランプ大統領による和平の試みは失敗に終わるかもしれないのだ。とりわけ、ロシアが戦場で主導権を握っているのは自分たちだと認識している場合はなおさらだ。
先行きは不透明

先行きは不透明だが、米国による圧力によってウクライナが交渉の場に着いたことは確かだ。しかし、ロシアが譲歩を迫られるような和平案が成立するとは到底、考えられないのが実情だ。
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