【検証】混乱続く兵庫県政 斎藤知事巡る問題の収束は? 会見中の抗議デモ続く 埋まらぬ議会との溝

 兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を調査する百条委員会で委員を務めた、元県議の竹内英明さんが死亡してまもなく1年。

 去年11月には、斎藤知事の数々の疑惑をめぐり刑事告発されていた事案は不起訴処分となった。

 一方で、自身の給与カット案は三度目の継続審議となるなど、いまだ県政の混乱は続いている。2025年の斎藤県政を総括し、2026年の行方を占う。

■「PR会社へ"報酬"疑惑」「パレードの“補助金還流”疑惑」など不起訴処分…いまだ捜査中の事案も

読売テレビニュース ©ytv

 斎藤知事をめぐる一連の刑事告発については、11月に大きな動きがあった。

 斎藤知事をめぐる公職選挙法違反と背任の疑いで刑事告発され、その後書類送検されていた事案について、神戸地検が不起訴処分としたことを明らかにしたのだ。

 この問題は、2024年11月に投開票された兵庫県知事選挙で、斎藤知事の陣営が県内のPR会社にポスター制作費などの名目で71万5000円を支払っていた疑いがあるとして、公職選挙法違反の疑いで書類送検されていたものだ。

 これに対して、神戸地検は去年11月に、斎藤知事とPR会社の社長について嫌疑不十分で不起訴処分にしたことを発表。

 理由について、「71万5000円を選挙運動の報酬として認定することは疑義がある。選挙運動の報酬として支払った金額とは認められない」としたほか、同様に刑事告発されていた2023年の阪神・オリックス優勝パレードの補助金をめぐる背任の疑いなどについても、神戸地検が嫌疑不十分で不起訴処分としたことが明らかとなる。

 一方、刑事告発していた郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授は、神戸検察審査会に「起訴相当の議決」を求める申し立てを行っている。

片山元副知事 ©ytv

 また、斎藤知事をめぐる刑事告発はすべてが捜査を終えたわけではない。

 今も残っているのは、兵庫県の斎藤知事の疑惑を告発して亡くなった元県民局長の私的な情報について、知事の“側近”だった井ノ本知明元総務部長が県議会議員に漏洩し、知事らがそれを指示をしたなどとして、地方公務員法違反の疑いで刑事告発されている事案だ。

 この問題をめぐっては、斎藤知事・片山元副知事・井ノ本元総務部長の3人が刑事告発されているが、いまだ処分が出ておらず、神戸地検による捜査が続けられている。

■議会との溝は埋まらず… 斎藤知事の給与カット条例案は半年経過もいまだ「継続審議」

議会に給与カット条例案を提出(2025年6月) ©ytv

 斎藤知事は「漏洩に関する指示はしていない」などと一貫して否定しているが、去年6月の県議会では「組織の長としての管理責任」をとるなどとして、3か月間、自らの給与を現行の「3割カット」から「5割カット」に引き上げる“給与カット”条例案を提出。

 これに対し、議会の各会派からは「知事自身が指示を否定していて、詳細が判明していない状況で、管理者責任として知事を処分することはできない」などとして「継続審議」となっていた。

 そのうえで、去年12月の県議会では、斎藤知事が「情報が適切に管理されなかった責任を明確にする」と明記した修正案を提出。主要会派である自民・維新・公明も当初は賛成する意向を示していたが、その後、各会派の方針が一転。

 6月・9月議会に続き12月議会でも、給与カットの修正案を「継続審議」とすることが確定した。

 背景にあるとみられるのは、斎藤知事の報道陣に対する取材の場での発言。議会関係者によると、知事は報道陣の取材に対して「(当初案と改正案で)内容は変わらない。技術的な修正だ」と繰り返し発言したことが、最大会派である自民党の多くの議員などからの反発を呼んだという。

■いまも県庁周辺に響く「斎藤やめろ」デモの声…定例会見の時間は前倒しの措置も

読売テレビニュース ©ytv

 兵庫県庁では毎週1回・1時間程度、斎藤知事による定例会見が開かれている。

 この時間帯にあわせて、毎回欠かすことなく県庁横の歩道橋で斎藤知事に対する抗議デモが行われている。「斎藤やめろ」といったデモ隊の大きな声が響き渡り、記者会見内での質疑や答弁が聞こえづらく感じるほどだ。実際に会見内では、斎藤知事が記者に質問を聞き返す場面が何度も見受けられてきた。

 さらに、ことし10月以降、定例会見の時間が前倒しになった。実はこれには、県民からの不安の声が背景にあった。神戸市によると、県庁周辺は小学校の通学路となっていて、抗議デモが行われている時間が下校の時間帯に重なっていた。

 そのため、歩道橋を避けて別の道から帰宅する児童がいたり、デモの参加者から話しかけられる子供たちがいたりしたことなどから、保護者から不安の声があがっていたという。

 しかし、定例会見の時間帯が変わっても事態は収束することなく、現在も会見時間にあわせた抗議デモは続いている。

■「外部への告発も保護」 公益通報制度の保護対象に明記 県が要綱を改正

兵庫県庁 ©ytv

 12月24日、兵庫県は公益通報制度における不利益な「体制整備義務」の対象として、報道機関などに外部通報した場合でも公益通報者保護法に基づき保護を受けられるよう、要綱に明記したことを発表した。

 これまでの要綱では、県の窓口などに対する内部通報者は保護すべき対象として明記されていた一方、外部への通報者を保護対象とする記述は存在しなかった。

 内部告発を巡っては、斎藤知事の疑惑をめぐり、告発文が報道機関に送られた際、県が「告発者捜し」を行うなどしたことについて、違法性を指摘する声もあがっていた。

 斎藤知事は「(通報者の保護について)外部通報は含まないという考え方もある」などと説明。

 これに対し、消費者庁からは「公式見解と異なる」として外部通報者も保護すべきと指摘されるなどの事態となっていた。

 兵庫県は12月24日付で要綱を改正し、担当者は「通報しやすい体制を作り、県政改善につなげたい」としている。

 斎藤知事は、要綱改正を受け「職員への研修・周知を通じ、制度の適切な運用を図る」とコメントした。

■いまなお続く県政の混乱… 収束は?

斎藤知事に辞職を申し入れる立憲系会派の県議(6月) ©ytv

 斎藤知事をめぐる一連の問題が起きてから、今年3月で丸2年を迎える。公益通報制度に関する整備が進むほか、900億円を超える補正予算案も可決されるなど、県政が一定の進展をみせる部分もある。

 一方で、いまだ一部について処分が出ていない斎藤知事に対する刑事告発や、給与カット案をめぐり平行線が続く知事と議会との関係性など、兵庫県政を取り巻く数々の問題はいまも残ったままだ。

 混乱の先へー。 2026年、斎藤知事は自身の言葉通り「県政を前に進める」ことができるのか、分水嶺となる1年になるだろう。