「肉がジューシーで存在感すごい」肉じゃが作る技 ジャガイモも肉もおいしくする調理法は?

作る人によって味わいが変わるのが、家庭料理の定番、肉じゃが。今回は、意外と難しい肉じゃがの調理の手法を紹介します(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は意外と難しい肉じゃがです。

肉じゃがの手法は大きく「3型」

家庭料理の定番、肉じゃが。作るのが意外と難しく、同じ材料、同じレシピで、同様に調理をしても、作る人によって味わいが変わってくる料理です。

【写真】肉の存在感がすごい!ジャガイモもホクホクの肉じゃが

肉じゃがのレシピは人によってさまざま。材料も

肉 牛または豚

水分 だしまたは水

副食材 ニンジン、シラタキなど

などの違いがありますが、注目するべきポイントは材料ではなく、手法です。肉じゃがには大きく

1 煮含め型

2 すき焼き型

3 蒸し煮型

の3種類の作り方が存在します。

「煮含め型」は肉とジャガイモ、玉ねぎを炒め、出汁を注ぎ、醤油を中心とした味付けでことこと煮る方法。優しい味に仕上がるのが特徴で、作り置きをしても味の劣化が少ないことから料理店などで採用されています。

「すき焼き型」は同じ具材を炒めた後、割り下に近い配合の調味料を注ぎ、強火で煮上げる方式です。ご飯によく合う濃い味に仕上がります。料理研究家の小林カツ代さんが考案したレシピが代表的でしょうか。

「蒸し煮型」は炒めるところまでは同じですが、蓋ができる厚手の鍋を使って、少ない調味料で蒸し煮にしていくスタイル。こちらも「すき焼き型」同様、短時間で仕上がりますが、素材の味を生かす点に特徴があり、一番、現代的なレシピです。

「肉じゃがはそもそもじゃがいもと薄切り肉という加熱時間の異なるものを同時に加熱するという不合理な料理」

というのはこの料理を紹介するとき、筆者がいつも強調する部分ですが、この料理が難しいのはこの部分。どのような手法を使ってもジャガイモはやわらかく、肉はそれなりにジューシー感を残す必要があります。

ポイントはジャガイモの加熱温度です。野菜にはそれぞれ固有の「軟化温度=やわらかくなるために必要な温度」がありますが、ジャガイモのそれは95℃以上とやや高め。それよりも低い温度、とくに60〜70℃付近で加熱するとペクチン硬化という現象が起きるので、やわらかく煮えないのです。

すなわちジャガイモをかんたんにやわらかく煮る方法は2つ。強火で煮るか(すき焼き型)、蓋をして約100℃の蒸気で火を通す(蒸し煮型)です。しかし、これまでの方法では肉に火が通り過ぎてしまうリスクがありました。そこで今回は「あらかじめジャガイモにレンジで火を通しておく」手法を導入し、短時間で肉の味わいを残した肉じゃがを目指します。

旧 ジャガイモがやわらかくなるまで火を通す

新 ジャガイモはあらかじめ火を通しておく

肉じゃが

材料 2人分

牛切り落とし肉  100g〜125g

ジャガイモ   200g(大1個)

玉ねぎ     1/2個(100g)

しょう油    大さじ2

砂糖      大さじ2

水       100ml

サラダ油    大さじ½

ジャガイモはあらかじめ洗って乾かしておきましょう

まず、ジャガイモの皮を剥きます。頭とおしりを切り落とします。

芽が出ていれば包丁の先端やピーラーの芽取りで取り除いてください

頭とおしりを切り落とすことで、ひっかかりやすくなり、ピーラーで剥きやすくなります。上から下に一息にピーラーをすべらせれば、一気に皮がむけます。ジャガイモは凸凹しているので、皮が少しは残るかもしれませんが、スーパーで買ったもので、芽が出ていなければそこまで気にする必要はありません。

中心部分は大きくなるので半分に切ります

1.5cm厚さに切ります。大きいものはさらに半分に切るといいでしょう。いずれにせよ、ある程度大きさを揃えるのが重要です。耐熱容器に移し、ラップをかけてレンジ600Wに3分かけ、そのまま3分ほど蒸らします。

繊維を断つことで味が出やすく、やわらかくなります

玉ねぎは繊維を断つように、5〜7mm厚に切ります。

調理バサミで切るとまな板を洗う手間が省けます

牛肉も小さく切っておきます。牛肉は加熱するとタンパク質が収縮し硬くなりますが、脂肪は縮まないので細かい脂が入っているもの(サシといいます)が煮込み料理には向いているので、国産牛か和牛がベターです。

フライパンは26cmフッ素樹脂加工を使用しています

フライパンにサラダ油をひき、玉ねぎと牛肉を並べ中火にかけます。

肉は片面焼きのイメージです

底に焦げ目がついてきたら砂糖としょう油を加え、ざっくり混ぜます。砂糖としょう油、牛肉のタンパク質が反応し、メイラード反応やカラメル反応の香りが出てきます。煮含め型や蒸し煮型の肉じゃがの場合、この香りは長時間加熱しないと出てきませんが、この作り方は高温で加熱することでそれを短縮しています。

水の半分を酒に変えても味わいに深みが出ます

とはいえあまり長い時間加熱すると焦げるので、水を加えます。一緒にレンジで火を通したジャガイモも加えましょう。

この段階では肉に赤い部分が残っていても大丈夫です

牛肉をジャガイモも上に移し、蓋をして蒸し煮にしていきます。

蒸し焼きにすることでさらに火を通していきます

蓋をして3分加熱します。

ここで料理の分岐点があります

蓋をとるとこんな状態。ここでジャガイモの硬さをチェックし、やわらかくなっていなければ弱火に落とし、蓋をしてさらに加熱しますが、やわらかくなっていれば蓋をあけて中火で煮汁を煮詰めましょう。

ジャガイモが崩れやすくなっているので注意

煮汁を煮詰めれば煮詰めるほど味が濃くなりますし、あまり煮詰めなければ薄味に仕上がります。このあたりの加減によっても味わいに差が出てくるので、肉じゃがは作る人によって仕上がりが変わってくるのです。

ざっくりと盛るのがコツ

頃合いになったら出来上がり。3分から煮詰める時間を入れても5分程度しか肉を煮ていないので、肉は硬くなっていません。ニンジンやインゲンを入れたければ別に茹でておき、最後の煮詰める段階で加えればいいでしょう。

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