まるでジェットコースターのような大迫力、沖縄唯一の鉄道、都市モノレール「ゆいれーる」の見どころ、乗りどころ

2003年に開業したゆいレール。那覇空港からてだこ浦西間の17kmを約40分で結んでいる

(山﨑 友也:鉄道写真家)

全面展望が素晴らしい跨座式レール

 日本で唯一鉄道がない県として知られている沖縄県だが、実はしっかりと鉄道が走っている。「ゆいレール」こと、沖縄都市モノレールである。モノレールはれっきとした鉄道であり、ゆいレールは那覇空港とてだこ浦西の間を結んでいる。

 もともと沖縄には軽便鉄道や路面電車、馬車鉄道などの鉄道は走っていたのだが、第二次世界大戦で空襲や地上戦により破壊され、その後は道路整備のほうが優先されたために鉄道がなくなってしまったのだ。私たち大人の世代はこの意識が強いために先述したように沖縄県には鉄道がないイメージが強い。

 ところが1970年代以降には那覇市内では特に交通渋滞が慢性化し悪化の一途だったことから、自動車に代わる交通手段の要望が高まっていった。そのため1972年に都市モノレールの導入が検討され、1982年に第3セクターの沖縄都市モノレール株式会社が設立。1996年に運輸事業免許が取得となり工事が着工。そして2003年8月、那覇空港~首里間で県民悲願の開通を果たし、2019年10月には首里~てだこ浦西間が延伸開業し、現在に至っている。

 とはいえ新たに鉄道のための用地を確保することは不可能だったため、すでにある道路の上に軌道を建設することになってしまった。そのため軌道は道路の勾配やカーブに沿って造られることとなり、それがゆいレールの一番の特徴となっている。つまりゆいレールは急勾配と急カーブが続く、まるでジェットコースターのようなモノレールなのである。

急勾配と急カーブが続く路線はまさにジェットコースター

 ジェットコースターのようなモノレールというと、乗り鉄の人は大船と湘南江の島を結ぶ湘南モノレールを挙げるだろう。確かに標高差でいうと最大勾配が74‰の湘南モノレールには及ばないが、旭橋~県庁前間のS字カーブや、古島~首里間では90度右に曲がってからの60‰の急勾配、さらには浦添前田~てだこ浦西間のトンネルなど、見どころ乗りどころでは申し訳ないが、ゆいレールの方が断然勝っているとボクは思う。

海も望め、眺めも最高

シーサーに見守られながらの空中さんぽ

 しかも懸垂式の湘南モノレールと違ってゆいレールは跨座式であるため、前面展望がこの上なく素晴らしい。また運転席のすぐ後ろには展望席とも呼べるような座席があるので、子どものみならず大人が乗っても景色や雰囲気を十二分に楽しめる。運転士と同じ目線が味わえる席が無料だとは、何という太っ腹。ただし、あまりの開放感とアップダウン等で刺激が強いため、高いところがダメな人はこの席には座らない方が良いかも知れない。

運転席の後ろはまさに展望席。珍しく右側に運転席があるので、進行左側のほうが景色が良く見える

日本で一番西と南に駅がある路線

日本で一番西にある那覇空港駅

 普通鉄道ではないものの鉄道というジャンルでは日本で一番西と南にある駅があるのも沖縄県ならではだ。

 また、きっぷが磁気ではなくQRコードを使っているというのも、全国的にも珍しい。車両は開業当初は2両編成だったが、2027年度までには9編成が約1.5倍の定員となる3両編成にする計画があり、混雑緩和も図られている。

赤嶺駅前には日本一南を記すモニュメントがある

 とはいうものの、経営状態は債務超過の状態が続いている。ただ2024年度には総乗客数が開業後初の2000万人を超えて過去最多となり、運賃引き上げも伴って最終損益は2億2200万円と5年ぶりの黒字となった。同社では2025年度以降も黒字の確保を継続し、2029年度には9億5500万円ある債務超過も解消する予定を立てている。2028~2033年度には信号設備の更新をおこなうほか、2029~2030年度には駅舎の増改築工事を実施する方針だ。路線を延伸する構想もあり、県が調査や検討をおこなっている。

 そのほか那覇市内ではLRTや、那覇と名護を結ぶ普通鉄道の計画も挙がっている。今後は以前のように、沖縄県でも公共交通機関として鉄道が当たり前の時代が来るのかもしれない。

 まだまだ寒い日が続いているが、那覇市は2月でも平均気温が20℃ほど。この冬、心地よく乗り鉄や撮り鉄を楽しみたいなら、海を越えて沖縄へ行ってみよう!

(編集協力:春燈社 小西眞由美)

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