同世代内の賃金格差も…「就職氷河期世代」の実態とは? 専門家「スキルがないわけではない」

同世代内の賃金格差も…「就職氷河期世代」の実態とは? 専門家「スキルがないわけではない」
石破政権そして野党も次々に「氷河期世代への支援」の声をあげている。実際に氷河期世代の実像とは何なのか。
政府は4月25日、就職氷河期世代への就労支援などを検討する関係閣僚会議を初めて開催した。今もなお様々な困難を抱える人が大勢いるとした上で、具体策を取りまとめ「骨太方針」に反映させる考えだ。
これには野党からも前向きな声が上がっている。
「与野党を超えて就職氷河期の皆さんをどうしようかと考える。本当にすばらしいことだと思う」(国民民主党・榛葉賀津也幹事長)
「与野党が対立する話でもなく、政党間で対立する話でも全くない。そこは連携しながらやっていくべき課題だ」(立憲民主党・吉川沙織参議院議員)
そんな就職氷河期世代への支援について、労働経済学を研究する東京大学 社会科学研究所の近藤絢子教授は以下のように考えている。
「何かしなければいけないということが広く認識されたというのは第一歩で、それは喜ばしいこと」(東京大学 社会科学研究所・近藤絢子教授、以下同)
氷河期で少子化が加速?

そもそも、就職氷河期世代とはバブル崩壊後、1990~2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っていた世代のことだ。非正規雇用や就職浪人などを経験し、正社員になれない人が少なくなかった。その影響は現在もあると、近藤氏は述べる。
「世代全体の平均年収が上の世代に追いつかないという特徴がある。意外と世代内の格差も拡大していて、平均的に下がっているのももちろんだが、下側がより下がるような形で下がっているため、非常に生活が苦しい人の割合が高いという特徴もある」
就職氷河期世代とその前の世代、さらに同世代内でも賃金格差が広がり、収入が低い人が多く見受けられているが、より就職が難しかった女性に関しては状況が変わっているようだ。
「女性で、せっかく正社員の仕事につけても出産退職しちゃう人がたくさんいる。その割合は若い世代ほど、どんどん減っていっている。子育て支援などがどんどん拡充してきたことや、社会規範も変化している。30代、40代になった時の状況を見てみると、バブル世代よりも氷河期世代の方が正社員でいる率が高かったり、年収が高かったりということが起きている」
また少子化についても、就職氷河期世代が子どもを産まなかったことが原因との声が上がっているようだが、それは偽りのようだ。
「団塊ジュニア世代は1970年~75年に生まれた人たちで、確かに氷河期の前半に重なっているが、この人たちが出生率最低で1回底を打っている。しかしそれよりもうちょっと若い80年生まれぐらいの人たち、ここで出生率が実は回復している。したがって氷河期で少子化加速したというのは、ちょっとおかしいかなと」
非正規雇用の人は「スキル不足」?

現在、そして将来への不安の中で立ち上がった就職氷河期世代への支援。しかし、石破総理の「賃金上昇に向けたリスキリングを含む就労処遇改善の支援…」という言葉への引っ掛かりを感じているという。
「非正規雇用の人にスキルがないわけではなく、ちゃんと非正規の仕事をするためのスキルをこれまで蓄積してきたが、高い賃金を払ってもらえていなかった。しかも必ずしも付加価値という意味で生産性が高いか低いかという意味ではそんなに低くないかもしれない仕事だが、賃金が安いということが起きていた」
社会情勢から就職できなかっただけで貼られている「スキル不足」というレッテル。近藤氏はこの現状に不満の声を上げている。
「リスキリングで全部が解決するとは考えない方が良くて、やはり年金であるとか社会保障みたいなところを考えていくこと。あとは税による再分配みたいなところも減税ばかりに行かないで、もう少し所得再分配を考えて税制を変えていった方がいいのでは」
(『ABEMAヒルズ』より)
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