ネットギャンブルをした中学生の親が「損失分の調整を学校がしろ!」 “モンスターペアレンツ対処法”都教委が策定へ 千差万別な学校現場で必要な“マニュアル”とは?

ネットギャンブルをした中学生の親が「損失分の調整を学校がしろ!」 “モンスターペアレンツ対処法”都教委が策定へ 千差万別な学校現場で必要な“マニュアル”とは?

先日、東京都教育委員会が策定するとした、“モンスターペアレンツ”への対応マニュアル。いわゆるモンペとは、学校などの教育機関に対し、理不尽なクレームや過剰な要求をする保護者のこと。

ネットでは度々目にするワードだが、なぜ都の教育委員会が対応のマニュアル化に動いたのか。背景の1つにあるのが、都で4月1日から施行された全国初の「カスハラ防止条例」。カスタマーハラスメントから労働者を守るため、顧客・従業員・事業者の対応を定めたものだ。教育委員会は、保護者による教員への不当要求もカスハラに当たるとしているが、モンスターペアレンツの具体例が乏しく学校側がどう対応すべきかわからないため、新たなマニュアル作りが必要だと判断した。5月にも有識者会議を設置し、今年度中にマニュアルとしてまとめたいとしている。

ただ、一部では「どこからがモンペなのかな?判断難しいね」「マニュアルで決められちゃうと正当な要望でもモンペ認定されかねない」といった不安の声も。果たして、モンペの境界線はどこにあるのか。『ABEMA Prime』で考えた。

■ネットギャンブルをした中学生の親が「損失分の調整も学校がしろ!」

三重大学教育学部教授で、マニュアルは必要だという松浦直己氏。「モンスターペアレントに明確な定義はなく、常識をはるかに逸脱した要求、不当な要求を繰り返す方々を指すと考えている」との認識を示した上で、最近の具体事例をあげる。中学生がネットギャンブルをしたことに対して、親が「学校で違法と教えていないからだ!損失分の調整も学校がしろ!」と要求。小学生同士が放課後、学校外で起きたけんかに対して、親が「いじめや対人関係のトラブルは全部学校の責任だ」と主張してきたという。

番組取材によると、都内在住で小学校低学年/中学生(当時)の母親が、席の近い子から嫌なことをされたために「席を変えて」、持ち物の紛失が多いために「盗難ではないか。調査して」と学校に要望。担任と交渉も結論が出ず、「管理職と話したい」と校長とのアポを取ったところ、校長から「特別扱いで対応できない」と言われ納得したそうだ。

これに大阪大学名誉教授の小野田正利氏は、「いじめに関連して席を変えてほしいという要求は、正当なものに入る」と説明。「“安心安全な学習環境を用意する”という内容が、いじめ防止対策推進法の第23条第4項に入っている。“席替えしてほしい”という要求を出すこと自体は悪くなく、できないと言われた後に“別室指導しろ”“その子を転校させろ”と言うのは行き過ぎになる」との見方を示す。

また、学校外で起きたけんかの対応も「いじめなら学校がやらなければいけない」と指摘。「いじめに関わることは全て学校の守備範囲で、SNSでのトラブルも全部学校がやれとなっている。子どもの生活に関わるかなりの範囲まで学校の責任領域にしてしまったのが、12年前にできたいじめ防止対策推進法だ。私は良くない法律だと言い続けているのだが、これが学校現場の先生たちを苦しめている」と述べた。

■学校現場の事象は千差万別…必要な“マニュアル”とは?

マニュアル作成について、小野田氏は大阪市や横浜市などが過去にも作ってきたことを紹介した上で、良い面と悪い面があると指摘する。「学校現場にはマニュアルに書いていないことが山ほどある一方で、文科省も“個に応じた多様な学び方”を盛んに言ってしまっているわけだ。カスタマー・ハラスメント防止条例で言っている“社会通念上不当なものはダメだ”というかたちであれば、例えば長時間にわたる電話や面談を求めて学校の機能が脅かされれば威力業務妨害、謝罪を必要以上に要求すれば強要罪、『謝罪しないとどうなるか』と言えば脅迫罪に当たるだろう。先生たちは“刑法上の罪と繋がるものがある”と自覚する中で、一線を越えたものは仕切るというやり方をしないといけないが、それはこれまでにも書かれてきた。状況が実にバラバラで、白に限りなく近いグレーもかなりあって見極めが難しい」。

マニュアルの必要性を訴えている松浦氏だが、「ほとんどが常識的な親だ」とも語る。「“学校は気の合わない人とも一緒になる場所。自立のためにはある程度仲良くするスキルをつけることも大事だ”という合意形成ができる親御さんであれば全く問題はない。私自身が精神医学や心理学の研究を続けてきて、99%の保護者は常識的だ。ただ、その1%の方が過剰・不当な要求を繰り返して、先生が心身を病んでしまうことだけは避けたい」。

松浦氏が考えるのは、教員を守るための“強いマニュアル”。自身の校長時代には、電話対応は30分以内と決め、まだ言いたいことがあるようであれば校長室に来てもらうよう説明、学校外では教職員を守れないため家庭訪問は原則禁止にしていたという。すでにマニュアルを作っている自治体もあるものの、内容は不十分だと考えている。

「“宿題をもっと出してくれ・一切出してくれるな”などと言う親のダブルスタンダードの中で、個々の先生は裁量権を与えられずに苦しんでいる。学校内で“こうしよう”という合意形成をして、まずは担任が保護者に話すべきだが、それでも納得いかない場合には校長が出ていく。そういう問題解決のシステムが整理されてないのは、校長を経験してよくわかった。必要なのは、個々の教員に対してではなく、あくまで管理者である校長が“教育的に正しい対応とは何か”を周知させる上でのマニュアルだ」

(『ABEMA Prime』より)

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