耐熱ポリ袋で災害時にも温かい食事 ご飯やすいとんを、水を節約しながら衛生的に調理

ライフラインが寸断されても、耐熱ポリ袋を使ってご飯を炊くことができる(鴨志田拓海撮影)
間もなく東日本大震災から15年。自宅の備蓄に加えたいのが耐熱性が高いポリ袋だ。衛生面での用途だけでなく、調理にも重宝する。使い方や留意点を確認しておこう。

岩谷マテリアルの耐熱ポリ袋「アイラップ」を使って炊いたご飯で、おにぎりを作った(鴨志田拓海撮影)
そもそも調理に用いることができるのは、耐熱性の高い食品用ポリ袋。スーパーで食品を詰める際に無料で使えるあのポリ袋は包装用なので適さない。
よく知られているのが、オレンジ色の箱が目を引く岩谷マテリアル(東京)のアイラップだ。耐熱温度は120度。50年前に発売された。
「米と水を入れて湯煎すれば、災害などの非常時にもご飯を炊くことができます」と教えてくれたのは、同社に勤務する防災士、坂本英明さん。平成30年の北海道胆振(いぶり)東部地震や令和6年の能登半島地震の際は、「おかげで温かいご飯を食べることができました」と被災者から感謝の声が多く寄せられたという。

耐熱ポリ袋を使って作ったすいとんは、もちもちとしていて食べ応えがあった(田中万紀撮影)
3つのポイント押さえて炊飯や湯煎
あの日を忘れず防災力を高めようと、ライフラインが寸断された在宅避難の状況を想定し、耐熱ポリ袋で炊飯する方法を教わった。
坂本さんによると、ポイントが3つある。まず、米と水を入れた袋の口の結び方。袋の先をこよりを作る要領でねじり上げ、できるだけ上部で結ぶ。「温まって膨張した空気の逃げ道を作るためです」。口を結ぶ前には、「袋の空気はしっかり抜いておく。残っていると、鍋の中で浮いて火の通りが悪くなります」
2つ目は、鍋底に耐熱皿や布巾、金ザルなどを入れ、その上で湯煎すること。高温の鍋底に袋が直接当たると、溶けてしまうことがある。3つ目は、鍋の湯がポコンポコンと緩やかな沸騰状態を保つ程度に火加減を調整すること。ぐつぐつした沸騰が続くと熱源を余分に消費するし、泡が出ないほど温度が下がると加熱不足になる。
この3点は炊飯に限らず、耐熱ポリ袋を使った湯煎調理に共通する注意点。守らなければ、袋が溶けたり加熱むらができたりするので、気を付けよう。
小麦粉と即席みそ汁で主食に
耐熱ポリ袋は炊飯以外の湯煎調理も得意。昨年秋に「決定版アイラップBESTレシピ」(ワニブックス)を著したアイデア料理研究家のmakoさんは「在宅避難中の食事なら、少量の小麦粉と即席みそ汁さえあればできる、すいとんはいかがでしょうか」と提案。材料を袋に入れてこね、てきぱきと作ってくれた。
出来たてのすいとんは、もっちりとして食べ応えがあり、普通に調理したものと遜色ない。緊迫した状況でも、食べればほっと一息つくことができそうだ。
普段から使い方に慣れて備えを
makoさんは、耐熱ポリ袋を調理に使う利点を「非常時に貴重な水を節約しながら、衛生的に調理できること」と説く。湯煎した袋ごと器に盛れば、鍋や食器を汚さず洗い物が出ない。食材に触れずに調理できて衛生的。湯煎の鍋の湯は何度も使い回せる。
坂本さんは「普段使いにも便利で、いざというときにも活躍する。台所に常備して、年に数回、炊飯や調理をして使い方に慣れておくことが災害への備えにつながる」と強調した。(田中万紀)
耐熱ポリ袋で炊飯
❶袋に米1合(180ミリリットル)と水約220ミリリットルを入れる(容量比で米5に対し水6)
❷袋の中の空気を抜き、袋の先をねじり上げて上方で結ぶ。そのまま20分おいて浸水させる
❸鍋の中に耐熱皿を入れ、湯を沸かす。②を入れ蓋をして、軽く沸騰する火加減を保ち25分ほど加熱する
❹鍋から取り出し、そのまま10分おいて蒸らす。袋の口を開き、ご飯をしっかりほぐす
耐熱ポリ袋で作るすいとん
(1人分)
❶袋に薄力小麦粉大さじ4杯と水大さじ1杯半を入れ、よくもみ混ぜる。袋の中で5ミり厚さにのばし、上から割り箸を押し付けて4~6等分する
❷袋の空気を抜いて口を結び、5分湯煎する
❸器に即席みそ汁1袋を入れ、湯煎の湯適量で溶かす。袋から出した②を加える
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