【藤井キャスターが聞く】ホルムズ海峡に「機雷設置」のワケとは?自衛隊元統合幕僚長・河野克俊さんが解説

藤井貴彦キャスターが自衛隊の元統合幕僚長、河野克俊さんに話を伺います。

藤井キャスター)

まず、世界経済に影響を与え続けているホルムズ海峡について整理していきます。そもそも、イラン周辺には数々の原油大国があり、世界で消費される原油の20%が通ると言われているのがこのホルムズ海峡です。普段は多くのタンカーが行き来しているんですが、ホルムズ海峡を通る船がイランから攻撃を受けているとみられ、日本を含む多くの船が通れなくなり、ペルシャ湾に取り残される状況が続いています。

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ここにきて、イラン軍が機雷を設置したという報道が出てくるなど、連日、この場所をめぐる攻防が続いています。

■なぜこの場所が攻防のポイントとなっているのか?

河野さん)

このホルムズ海峡の狭さですね。これが大体33キロぐらいと言われております。ここにタンカーが集中して、出たり入ったりしています。ここが、チョークポイントだということで、原油を止める、あるいはその海峡をブロックするという作戦に出るなら、イランはここを狙うことになります。

藤井キャスター)

(ホルムズ海峡には)約12個の機雷が設置されたと言われていますが、大体2キロおきに敷設したとしたら、その間を通るということはさすがに難しいのでしょうか。

河野さん)

その場合、機雷がどこにあるのか特定しなければいけませんが、まだ特定はできていないと思います。民間の船舶なので、敷設された機雷が12個であろうが、20個であろうが、リスクが高まるため、なかなか通れないと思います。心理的効果も非常に大きいということです。

■もし河野さんが今の状態で統合幕僚長だった場合、どのように総理大臣に進言する?

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河野さん)

そこは、政治が決定するわけです。 アメリカからの要請があろうが、なかろうが、それは政治として決定すると思います。政治がここの機雷除去について、日本も役割を果たすということになれば、そしたら、今度は私のほうの立場としては、それをするためには、これだけの兵力が必要ですとか、後方支援をどうやるとかを考えます。派遣する船の部隊の編成について、「このようにやります」という助言を、私のほうでやるということですね。

■実際に自衛隊が過去に機雷を除去したことも

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河野さん)

これは1991年の湾岸戦争が終了した後ですね。戦闘中ではなくて、湾岸戦争が終わった後です。海にイラクが撒いた機雷が残っていたんです。これを戦後という形で、もう戦闘に巻き込まれることはないという解釈で、海上自衛隊の掃海部隊が派遣され、行き帰りも含めて半年間、34個の機雷を処分して帰ったということです。

(映像に出ているように)このときは、ダイバーが潜っていって、その機雷を見つけて、爆薬を仕掛けて、爆発させて処分していったということでした。非常に地道で、時間のかかる、丁寧にやっていた作業でした。

■今回、約12個と言われている機雷が、もし除去されるようなタイミングになった場合、どれぐらい時間がかかると想像される?

河野さん)

これは、機雷の種類によります。本当に単に浮いているだけの機雷であれば、簡単に言えば、機銃を撃ってどんどん処分していいんですけども、今回は海底で、なおかつここは、水深が最大で100メートルぐらいあるんです。海底に潜む機雷が敷設されているとすれば非常に厄介ですから、湾岸戦争の後の掃海のように、ダイバーが潜って確認をするというような作業が必要かもしれません。そうなると、やはり月単位でかかるかと思います。

■交戦状態が続く中、機雷を除去するのは不可能でしょうか?

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河野さん)

不可能というか、その場合は、制空権あるいは制海権を確保してもらい、掃海部隊の安全を確保した上で作業するということになると思います。

藤井キャスター)

前回、イラクが撒(ま)いた機雷を除去したときには、すでにその戦闘は終わっている状況でした。

河野さん)

あれは、もう戦後処理なので、法的根拠も、普通の平時の自衛隊の任務の法的根拠になっていました。例えば、今でも時々、瀬戸内海あたりで残存の機雷が出てきて自衛隊が処分するんですが、これと同じ解釈で、ペルシャ湾にまで範囲を広げたというのが1991年の当時のペルシャ湾派遣です。

藤井キャスター)

これは、もし今の状態で機雷を除去するということになりますと、これは戦闘行為にあたるんですか。

河野さん)

戦闘行為になると思います。というのは、この機雷はイランがここをブロックするために撒いたわけですね。武力行使として、イランが撒いたわけですから、それに対して日本が除去するということは、イランから見れば、敵対行為になります。

したがって、日本は、これは戦後の処理ということではなくて、武力行使として機雷を除去することになりますので、法的根拠としては、いわゆる限定的集団的自衛権、いわゆる存立危機事態になりますね。

そうでないと、逆に言えば、この機雷除去の処分ができないという状況だと思います。

■日本の船がホルムズ海峡を通過するとしたら攻撃対象になる?

河野さん)

今回、イラン側が攻撃対象としているのは、アメリカ、イスラエル、そして、その関係国ということですね。そうすると、当然、日本も関係国にカウントされると思いますので、攻撃対象になる可能性があります。

ただし、以前は、日本とイランは関係が非常に良くて、1991年には掃海部隊がペルシャ湾あたりで作業していました。ホルムズ海峡のところにバンダルアッバースという軍港があるのですが、そこに海上自衛隊は寄港させてもらい、補給も受けていたんです。 それぐらい、当時は交流がありました。しかし、今はだいぶ状況が違います。