「アラスカ産」原油調達で──日米はウィンウィンに? 日本のメリットは 専門家「採算は怪しい」「いいことばかりでは…」

イラン情勢が緊迫し、原油の調達先の多角化が一層求められる中、高市首相はトランプ米大統領との会談でアラスカ産の調達を表明する見通しです。一方で大統領は、ホルムズ海峡の安全確保に関し「支援は必要ない」とも発言。今後も難しい対応を迫られそうです。

■輸入先の多角化で…日本は増産に投資

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藤井貴彦キャスター

「首脳会談でトランプ大統領が何を求めてくるのか分からないという状況の中、日本が検討しているアラスカ産の原油調達は、日本にとってメリットがあるのでしょうか」

小栗泉・日本テレビ報道局特別解説委員

「官邸関係者はこの案について“ウィンウィン”だと表現し、これをカードにトランプ大統領を納得させようとしています。今、日本は原油の輸入の90%以上を中東地域に依存していて、アメリカからの輸入は3.8%とあまり多くはありません」

「また、調達を検討しているアラスカ産の原油のほとんどはアメリカ国内に供給されていて、そのすべてを日本に輸入したとしても、日本の年間消費量の1割超にとどまる量です」

「そこで日本はアラスカ産の原油の増産に投資して、その増えた分を調達することで、原油の輸入先を多角化していくことを検討しているということです」

藤井キャスター

「トランプ大統領としてはアメリカのものを買うわけですからうれしいでしょうし、日本は原油の調達先を増やすことができて、“ウィンウィン”と考えていいのでしょうか?」

小栗委員

「野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは『この投資が去年、日米政府の間で合意した約86兆円の対米投資の1つとして行われるのであれば、将来的に日本の利益も確保できるいいプロジェクトになる可能性もある』と話していました」

■アラスカ産、位置関係がメリットに

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小栗委員

「アメリカ産の原油を輸入するメリットの1つが、日本との位置関係です。多くの原油を輸入している中東からのルートは、今イランが事実上の封鎖をしているホルムズ海峡を通って、うねうねと島国を通って日本へと運んでいます」

「一方でアラスカからの場合、中東からのルートと単純に距離だけを比べたら近いです。そのため輸送費のコストを下げることができると指摘されています」

藤井キャスター

「日本にとってメリットがあるように見えますが、どうなのでしょうか?」

小栗委員

「木内さんは、いいことばかりでもないといいます。というのも、アメリカとしてはなるべく原油を外に出したくはないと考えているので、思っているように増産分を日本に還元してくれない可能性もあると指摘します」

■専門家「米国内ではコストがかかる」

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小栗委員

「また、アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授は『採算がとれるかどうか怪しい』と話していました。アラスカには大型タンカーが入る港がなく、まずアメリカ国内の別の港まで小型のタンカーで運んでから大型タンカーに積み直す必要があります」

「さらにアラスカでは過去にタンカーの大きな事故があり、アメリカ船籍で、かつアメリカ人の船員を雇って運航しないといけないため、コストがかかってしまうということです」

藤井キャスター

「かなりの費用と時間がかかりそうです。今の原油不足をすぐに解消できる状態ではないということですね」

小栗委員

「『だからこそ、これまではやってこなかったんだ』と小谷教授は話していました」

■米側「軍事・金銭面の支援は当然」?

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藤井キャスター

「日本からアラスカ産原油の投資を提案するとして、アメリカ側はそれで満足するのでしょうか?」

小栗委員

「小谷教授によると、トランプ大統領が日本に求めているのは、やはりホルムズ海峡でのアメリカ軍への補給支援です」

「アメリカは中東の原油に依存していないのに、ホルムズ海峡の安全をお金を使って確保している。ならば、日本が軍事面でも金銭面でもそれを支援するのは当たり前で、せめて燃料などの補給支援をするべきだとトランプ大統領は考えているといいます」

「一方でそれをするためには、日本としてはそのまま放置すれば日本への武力攻撃につながる恐れがあるなどとする『重要影響事態』であると認定しなくてはならず、ハードルは高いのが現状です」

「イランから敵対視される懸念もあります。小谷教授は『トランプ大統領の“支援は必要ない”という言葉を額面通りに受け止めたら、日米同盟の関係に大きなヒビが入るだろう。首相が国益を守るというのであれば、決断が必要になるかもしれない』と指摘しています」

(3月18日『news zero』より)