午前2時起きで着付け…小学校の卒業式で「袴ブーム」翻弄される親たち 5万円超の費用、転倒リスク…自粛要請の学校も「友達や先生との思い出を第一に。服装はその次」

午前2時起きで着付け…小学校の卒業式で「袴ブーム」翻弄される親たち 5万円超の費用、転倒リスク…自粛要請の学校も「友達や先生との思い出を第一に。服装はその次」
昨今、小学校の卒業式で袴を着用する子どもたちが増えている。一方で、経済的な負担や着崩れ、トイレ問題などの課題から、袴の着用を自粛するよう促す学校もあり、賛否の声が上がっている。
ニュース番組『わたしとニュース』では、小学校の卒業式における袴着用ブームについて、お笑いコンビ・たんぽぽの白鳥久美子氏とともに深掘りした。
■早朝3時半から着付け、費用は5万円超え…保護者の苦労

今年卒業する小学6年生の娘がいるAさん。「卒業式で袴を着たい」と言われたのは2月のことだった。
「2月中旬頃にネットで着付けやヘアセットができる場所を必死で探し、なんとか3月上旬に見つけました」(Aさん、以下同)
卒業式での袴の着用は人気で、着付けの予約はどこもほぼ埋まっている中、やっと予約できたのは夜も明けきらない時間の枠だったという。
「(卒業式)前日18時には(娘を)寝かしつけ、午前2時前に自宅を出て、3時半から着付けとヘアセットスタート。4時半頃終了で帰宅。娘は9時登校です」
そんな状況だからこそAさんには懸念が…。未明から長時間かけて準備して式に臨む娘の体力と袴の着崩れの心配に加え、経済的な負担もあったという。
「袴のレンタルや小物、ヘアセット、早朝料金で5万4000円。その他ブーツと髪飾りは別にこちらで購入でした」
■「卒業式の本来の目的を」元教員が語る安全面やトイレの懸念

このように卒業生が袴を着用する流れがある中、自治体や学校によっては自粛を促すところもある。背景にある学校現場での懸念点について、小学校で長年教員を務めたナナホシ氏は次のように語る。
「1つ目は安全面で、袴は普段着ていない、履き物も普通の靴ではないので、転倒や階段を降りる時につまずいてしまうリスク。2つ目はトイレの問題。子どもたちも緊張していたりということがあって、『今から卒業式に移動するよ』という時になって、『先生トイレに行きたいんです』というのはよくあることだが、そんな時に袴の子だと結構大変になってしまう。あとは着崩れ直しとか、特に女の子で担任が男性の先生の場合だと直すこともできない。少しきつかったりもするので体調不良になってしまうこともある。(袴で体調不良になった子を)少し落ち着かせて、としていると、式自体も前後してしまう」
一方で子どもの側には、大事な式だから着飾りたい、誰かが袴を着ていたら自分も着たいという思いがあることも。こうした中、教員としては卒業式の目的を改めて子どもたちに伝えていたという。
「その日の服装だけで卒業式すべてが決まってしまうものではない。今までの学校に対しての思い出とか友達関係とか先生とか、そういった思いを大事にするということを第一に考えてほしい。服装はその次であってほしい。晴れやかな気持ちで『この学校で良かった』と思って卒業してほしいというのは、担任を経験した身から言うと一番伝えたいことだと思っている」
この意見に対し、白鳥は「先生が言うのがごもっとも。卒業式の本来の目的はちゃんと思い出を噛み締めて感謝する場所ですもんね」とコメント。
一方で、周りが着るなら自分も着たいと思う子どもの気持ちにも理解を示した。「自分が小学6年生で、友達が5人組だったとして4人に着るって言われたら、『私も』ってなるもんね。親としても、最後だから『私だけ…』みたいになるのもかわいそうだなって思うよね」。
■保育園でも袴ブーム…「世の不条理を学ぶ場に」規制を求める声も
実は小学校だけでなく、保育園の卒園式でも袴ブームが来ているという。
これに白鳥は「小さい子が袴着るとかわいいんだよね」と微笑みつつ、トイレなどの苦労について「大人でも大変。私も仕事で着たことがあるけど、どうやってトイレに行ったかが全く思い出せないぐらい。面倒臭いから我慢していたんだと思う。子どもとなったらもっと大変だろうな」と語った。
実際に小学6年生の娘に袴を着せたAさんに話を聞くと、「着崩れなどのトラブルはなく、子どもが初めてのことを経験できて、かわいくてよかった。かわいくなって嬉しかったと思ってもらったのが一番親としても満足です」とのことだった。
Aさんの娘の袴姿を見て白鳥は「子どもが喜んでくれるのが嬉しいですよね。やっぱりかわいい」と絶賛した。
一方で、娘の希望で袴を用意したという児童文学作家の黒田季菜子氏は、「用意してあげられてよかった」としつつも「ある程度規制する方がいいのでは」と感じたという。「『みんなと一人だけ違う服装をする』ことに勇気を要する面。みんなが袴を用意できるわけではなく、体調や身体条件等により着られない子どももいる。晴れの卒業式が世の不条理を学ぶ場になるというのはさすがにどうかな…」。
また、教員の負担が大きくなることも問題として挙げられる。高校生や大学生であれば自分で直せるが、小学生や園児となると教員のケアが必要になる。白鳥は「教室に親は入れないもんね。やっぱり先生が何十人いるってなったら、ちょっと大変だと思う」と懸念を示した。
元教員のナナホシ氏は、学校での対応の限界を示した上で、「子どもと十分話し合って卒業式に臨んでください」と伝えていたと話した。
(『わたしとニュース』より)
【映像】Aさん娘・小学校卒業式での袴姿
【画像】Aさん娘・小学校卒業式での袴姿
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