iPhoneからPixelに乗り換えるのって、そんなに大ごと?

Photo: 西谷茂リチャード
最近公開されたPixel 10の広告を観て、最後のその一言が妙に頭から離れませんでした。
「変えるって、そんなに大ごと?」
長年iPhoneユーザーとして生きてきた私にとって、“変えること”って何がそんなにハードルなんでしょう? そもそも、なぜ私はまだPixelに乗り換えていないんでしょう?
スマホユーザーは3タイプいる

Photo: 中橋勇信
スマートフォンユーザーって、大きく分けると3タイプいると思います。
信奉派、乗り換え派、そして受け継ぎ派です。
信奉派はその名の通りで、何を聞いても、死ぬまで同じブランドの商品を使うつもりです。
乗り換え派はニーズ次第で変える人たちです。カメラ機能を優先したいから、3眼スマホを買うっていう感じ。
そして受け継ぎ派は私みたいに、親や知り合いなどからスマホをもらい受け、無意識のまま同じブランドのスマホを買い続けている人たちです。
正直、この広告を観るまで、自分が“受け継ぎ派”かどうかなんて考えたこともなかった…。
たぶん、それが受け継ぎ派たる所以なんだと思います。気づかないうちに、そうなっていました(笑)。

Photo: sage chen
そんなことを考えながらスマホの画面を見ていると、自分が日常的にGmailやGoogle Maps、YouTubeなどGoogleのソフトウェアを使っているという事実を再認識しました。ですが、いざGoogleのスマホとなると、どこか距離感を覚えてしまいました。
ただ、今回海外メディアとして初めて、アメリカ国外最大である台湾のGoogleのハードウェア開発拠点を訪問し、50のラボのうち4つのラボを見学したことで、その感覚はむしろ親近感に変わり始めました。

Photo: sage chen
そこで目の当たりにしたのは、製品に対する執念とも言える緻密さと、生活に自然に溶け込ませるための徹底した設計思想でした。たとえば、最近ではPixel 9シリーズ以降(9a以外)はあのiPhoneユーザーのみが使えたAirdropにも対応してます。
他にも「これはiPhoneにもあれば、いいな」と思っちゃた機能もいくつか。
オーディオラボ:ロボットのあたたかさ

Photo: sage chen
この音響室では周りの8個のスピーカーから大音量の雑音が流れて、Pixelのノイズキャンセル機能を検証しています。同時に、自分や相手の声色やあたたかさやトーンを保ったまま、お互いの言語にリアルタイムで通訳してくれる「マイボイス通訳」という機能もテスト。ロボットのような冷たい声ではないので、想像できませんね。

Photo: sage chen
自分らしい声のまま、海外でも電話予約ができるのです。これは、AIが元の音声から声紋を抽出し、それを翻訳後の音声にマッピングしているからこそ可能になっています。
試したところ、声色とトーンはほぼあっていて、しっかり聞こえました。しかし暖かさはちょっと物足りなくて、翻訳自体もところどころ間違っているので、まだ黎明期の機能のようです。
※Pixel 10シリーズ以降対応
耐久試験ラボ:日常を本気で再現
耐久試験ラボでは6種類のテストを見学。そのうち2種類は生活シーンを具体的に想定しており、特に強い印象が残っていました。

Photo: sage chen
ひとつは“バッグの中再現装置”です。 カバンの中で鍵や金属、鋭利な物がスマホに当たるのは、ちょっと不安ですよね。この不安を解消できるように、カバンの中にありそうな物と一緒にPixelを回転させ、日常の摩擦や衝撃をシミュレーションしています。

Photo: sage chen
もうひとつは、スマホを後ろポケットに入れたままうっかり座ってしまって、「曲がるんじゃないか」とヒヤヒヤしている人へ。この曲がりにくさを確かめるための耐曲げテスト、いわゆる“座りテスト”です。

Photo: sage chen
デニム生地の上に(わざわざ)肌色のシリコン製のパッド(=お尻想定)を重ね、その下にPixelを配置。負荷を加えながら、圧力をかけていく仕組みになっています。
デザインラボ:耐久性は素材から攻める
ここのラボでは「壊れにくさ」への執着を、確かに感じました。

Photo: sage chen
時間とコストを最適化しつつ検証精度を高めるために、ここはデータ収集力とシミュレーション技術で、Pixelの落下や回転テストを何百万回と繰り返しています。
さらに、既存素材や独自開発の複合素材を引き伸ばして、柔軟性や強度を測定し、もっとも耐衝撃性の高い内部構造の設計を支援しているようです。

Source: Google
加えて、実機を用いた物理テストも行ない、いろいろな高さとさまざまな素材の表面に落下させる検証も実施しています。
通信・センサーラボ : 試験はロボットで
ぱっと見ただけでは、ロボットの腕が動いているようにしか見えませんよね。

Photo: sage chen
ここは、センサーと通信機能をテストするロボットの、開発現場です。ロボットが実際にテストを行なえることが確認された後、社内のロボティクス技術の活用により、テストの自動化とスケール化が実現しています。

Photo: sage chen
その中の1つは感光テストです。回転するプレートの上に4台のスマートフォンを設置し、明るい環境と暗い環境を交互にさらすことで、画面の明るさが適切に自動調整されるかを検証しています。
これを見て、屋外に出たときに強い日差しで面が極端に暗く見えて、「壊れたの?」と焦った自分のiPhoneのことを思い出しちゃいました。
iPhoneにできないこと
ラボの見学後、製品に対する執念や設計思想のカッコ良さを感じましたが、製品を実際に使う中で同じような感覚を得られるかのか?
今回、いくつかのカメラ機能のデモを現場で試してみたところ、その中の2つの機能に心がキュンとしました。長年iPhoneのみを使っているユーザーとしては、本当に「iPhoneにもあれば、いいな」と思いました。
Pro Res Zoom:100倍の世界

VIdeo: sage chen
特に印象的だったのが、Pixel 10 ProのPro Res Zoom。最大100倍のズームが可能になりました(従来は30倍)。 どれくらいすごいかというと、肉眼では形すら判別できなかった遠方の建築物の細部まで、しっかり描写されるレベルです。
なぜ100倍ズームができるのか?

Photo: 西谷茂リチャード
簡単に言うと、30倍を超えるズームをすると、Super Res Zoom(アルゴリズム)からPro Res Zoom(AI補完)に切り替わって、画像をクロップして拡大します。AIがディテールを保ちながら情報を生成し、不足した部分を補完することで、高い画質を維持しています。
大好きなアーティストのコンサートでもうVIP席を買う必要ないぐらいすごいです。遠い席でもめっちゃくっきりですよ。
※Pixel 10 Pro / 10 Pro XLのみ
Add Me:他人を邪魔しないように

たとえば山登りをしてる時、山頂に着いたら、山の名前のプレートや、美しい景色と一緒に記念写真を撮りたくなりますよね? もう3時間くらい登ってきたわけですし。でも、見知らぬ人に「この角度で撮ってほしい」といった細かいお願いは、ちょっと言いづらいじゃないですか。
でもAdd Me機能はそれを解決できて、ちょっと革命的でした。
まず自分が立つ場所を想定して余白を残して撮影します。そのあと友達とポジションを入れ替え、構図をざっくり合わせるだけです。あとはAIとARが自然に合成してくれます。

台湾の九份で20〜30人の集合写真を撮ったときも、数秒でほぼ違和感のない仕上がりです。合成されたのは、右端の緑長袖を着てる女性。
ただ詳しく見てみると、隣の人と重なってる部分はちょっと怪しいですね。完全に消えちゃう例でもありますよ(笑)。

Photo:吉岡
※Pixel 9シリーズ以降対応
で、iPhoneをやめるか?

Photo: sage chen
Pixelの新しいハードとソフトの輝きは、正直ずっと頭の片隅に居座っています。
でも、それだけでiPhoneから乗り換えられるのか?
もし変えなければ、私はApple信奉者になるのか?
それと、Pixelのデザインを好きになれるのか?
もしくは、Appleの美学を“好ましいもの”として脳が学習しているだけなのか?
受け継ぎ派の私にとって、これはもはやiPhoneかPixelかという話ではなく、「慣れた安心を手放すか、新しい価値に踏み出すか」──
古い習慣を守るのか、新しい習慣をつくるのかという、自分とのせめぎ合いなのかもしれません。
そう考えると、やっぱり「変える」ことは大ごとですね。
ただ見方を変えると、もし最初にPixelを受け継いでいたら、私はすでにGoogle信奉者だったかも。