受験料は21万円、英検準1級でも不合格に…英検利用入試の落とし穴【一般選抜・体験談】

■先輩パパ・ママの受験体験記

 2026年4月から中央大学国際経営学部に通う柴田凛さん(仮名)は、一般選抜で合格しました。都立高校のテニス部に所属し、部活動が週6日あったため、本格的に受験勉強を始めたのは高3の5月末に部活を引退してからでした。得意な英語を生かして「英検利用入試」にチャレンジした合格までの紆余曲折を、母の実佳さん(仮名)に聞きました。(写真=本人提供)

 早いうちから「一般選抜」に決めた

 今どきの大学受験は、学校推薦型選抜などで年内に進学先を決める人が約半数とのこと。でも、娘は初めから推薦は考えていませんでした。そもそも、入学した高校が娘にとってはチャレンジ校だったので、自分よりレベルの高い人ばかりの中で、推薦のためにさらに高い成績をとるのはかなりハードでした。私から「推薦入試にもいろいろな形式があるから、調べて受けてみたら」と声をかけたこともありましたが、実際に調べてみると、評定平均(成績)が圧倒的に基準に足りません。「私は一般選抜で頑張る」ときっぱり娘に言われて、そこからは私も推薦は考えないことにしました。

娘には、小学生の頃から「英語を学びたい」という思いがありました。小学6年の頃、クラスに転校してきた帰国子女の子と友達になり、彼女が書いていた筆記体を自分も練習したり、単語を覚えたりするうちに、自然と英語が好きになったようです。当時、英語の習い事に通っていましたが、さらに力が入り、それ以来、英語の成績だけはほぼ「5」を取っていました。

高校では、1、2年の時にオーストラリアの高校生を迎え入れるホストファミリーになったり、逆にホームステイに行ったりする機会に恵まれました。この体験も、「もっと外国語を学びたい」という気持ちを後押ししたようでした。

■先輩パパ・ママの受験体験記,  早いうちから「一般選抜」に決めた,  何学部を受験すればいいかわからない, 複雑すぎる受験方式, 今だからわかる、受験の反省点

オーストラリアでは、大自然の観光も楽しんだ(写真=本人提供)

とはいえ、テニス部の部活が忙しく、休みは月曜日しかありません。学校では2年に進級してすぐに大学受験に関する指導が始まったのですが、どこか「まだ先のことだし」と構えていました。夏休みに入り、大学のオープンキャンパスに行きました。部活と重ならない日に参加できたのは、明治大学立教大学中央大学でした。オープンキャンパスは学園祭とは異なり、大学ではどんなことを勉強するのかがよくわかります。受験のスイッチを入れてくれる、いい機会だと感じました。

 何学部を受験すればいいかわからない

高校2年の12月頃から、部活後の週3回を目安に予備校に通い始めました。娘には合っていたようで、3学期から学校の成績がぐんと上がってきました。3年になり、5月末に部活を引退してからは、平日の放課後は学校の自習室で勉強し、その後、予備校に行って21時過ぎに帰宅するという生活が始まりました。

■先輩パパ・ママの受験体験記,  早いうちから「一般選抜」に決めた,  何学部を受験すればいいかわからない, 複雑すぎる受験方式, 今だからわかる、受験の反省点

部活で使っていたラケット(写真=本人提供)

この時期に一つ悩みがありました。それは「どの学部に進学するか」ということです。英語を学びたいので文系選択は即決でしたが、文系の何学部に進学したいのかが見えませんでした。英語を使ってどんなことを学びたいのか。周りの友達が「建築を学びたい」「経営を学びたい」と具体的に挙げているのを聞いて、娘は内心、「私はどうしよう」と焦っていたようです。

そんな娘に、学部選びのヒントをくれたのは、やはりオープンキャンパスでした。勉強の合間を縫って、上智大学東洋大学などのオープンキャンパスに足を運びました。オープンキャンパスの学部説明会では、教授や先輩たちから「この学部ではこんなことを学びます」と、丁寧な説明を聞くことができます。娘もようやく、すごく興味があると思える学部を見つけることができました。

なので、学部説明会はぜひ予約して参加することをお勧めします。時間が合えば、模擬授業も受けてみると、よりイメージがわくようです。

 また、高校の先生たちに「受験に有利になるから」と英検の受験を勧められ、夏休み前に準1級を取得しました。

複雑すぎる受験方式

 今の大学受験で私が最も衝撃を受けたのが、複雑な受験方式です。共通テストや英検を活用したり、学部独自の試験と組み合わせたりと何方式もあり、しかも大学や学部によって異なります。高校や塾で何度も説明を聞いても、「複雑……」と100%理解できたことはありませんでした(笑)。ですから、受けたい大学と学部が絞れてきたら、あとはもうプロにお任せして見守るスタンスに徹しました。娘も、この時期からは高校の先生と予備校の先生と相談して決めたことを、私たちに報告するという感じでした。

3年の年末が近くなると、予備校から帰宅する時間が23時になることが増えました。夫もよく駅まで迎えに行き、「この時期になると、親ができることは体調を気遣うことくらいなんだね」と夫婦で話していました。最後の模試の判定は、第1志望の明治大学の国際日本学部がC判定。それまでの模試で一番上の判定でした。

■先輩パパ・ママの受験体験記,  早いうちから「一般選抜」に決めた,  何学部を受験すればいいかわからない, 複雑すぎる受験方式, 今だからわかる、受験の反省点

試験当日に直前まで書いていた古文のルーズリーフ(写真=本人提供)

1月の共通テストが終わり、2月に入って私立大学の試験が始まりました。第1志望の明治大学国際日本学部は4つの方式で受験しました。

●英語4

技能試験活用方式

出願資格は英検準1級取得。英語の独自試験が免除されて、国語のみの試験。

●大学入学共通テスト併用型英語4技能試験活用方式

出願資格は英検準1級取得。国語の独自試験と共通テストの選択科目の点数で採点。

●大学入学共通テスト併用型3科目方式

国語・英語の独自試験と共通テストの選択科目での点数採点。

●2科目方式

国語と英語の独自試験。

しかし、残念ながら、これらは不合格でした。その後、東洋大学国際学部(英検+共通テストの併用)、法政大学法学部国際政治学科と国際文化学部(どちらも英検利用+国語の試験)とまさかの不合格が続きました。正直、「これだけ出願したので、どこか合格をいただけるのでは」と楽観していたのですが、ここまで不合格が続くと、「今年は無理かもしれない」と覚悟しなくてはいけない状況になりました。泣きそうになる娘を励ましながら、家族で浪人や予備校の話までしました。

そして、不合格が続いた翌日。最後の合格発表で、中央大学国際経営学部(英検利用+国語の試験)に合格しました。娘から合格のメールが届いた時、出先で思わず大声をあげてしまいました。

今だからわかる、受験の反省点

 無事に合格した今だからこそ、親子で「もっとこうしておけばよかったね」と思う反省点があります。

まずは、いわゆる安全校の組み方です。 娘は「本意ではない大学は受かっても行かない」という気持ちが強く、私たちも「浪人もあるかもしれない」と考えていました。しかし、いざ試験が始まって不合格が続くと、本人の精神的なダメージは想像以上でした。どん底の状態から合格できたのは本当に幸運でしたが、やはり1校でも「合格」という体験があれば、もう少し心の余裕が持てたかもしれません。

■先輩パパ・ママの受験体験記,  早いうちから「一般選抜」に決めた,  何学部を受験すればいいかわからない, 複雑すぎる受験方式, 今だからわかる、受験の反省点

英単語の参考書は表紙がぼろぼろになるまで使い込んだ(写真=本人提供)

次に「英検準1級があるから大丈夫」と、どこか過信してしまった部分がありました英検利用入試で英語試験が免除になるのは助かりますが、もちろん、ほかの科目も必要です。娘は世界史がなかなか伸びずにいたので、英語と国語だけで受験できる学部に絞ることになりました。「もっと早くから世界史を固めておけば、併願の幅が広がったのは確実」と娘も反省していました。得意科目に頼りすぎず、苦手科目を底上げしておくことが大切だと思います。

また、先輩のお母さんたちから「大学入試の受験料は高い」と聞いていました。そんなことはないでしょうと思っていましたが、受験前になると「これだけで本当に大丈夫? あの大学、あの学部も出願しておいたほうがいいのでは」と心配になり、さらなる出願を促してしまって、そういう気持ちが理解できました(笑)。「えっ、いいの? もっと受けなくていいの?」とつい口を出し、娘から「私はこれでいい。自分で決めたから」と言われて引っ込むということが、何度かありました。

結局、かかった受験料は、出願した8方式で約21万円。私の助言を娘が断らなかったら、もっと高くなっていたでしょう。娘の周りの友達の様子を聞くと、多くも少なくもなく、平均的なケースだったようです。もちろん、中にはもっとたくさん出願して受験料が40万円を超える人もいたようで、まさに「家庭の数だけ受験がある」ことを実感しました。

ともあれ、わが家のドキドキ受験が終了しました。指定校推薦、総合型選抜、一般選抜と入試の方式はさまざまですが、どれが楽で、どれが入りやすいということは決してないと思います。どれも間違いなく努力が必要で、入りたいと思う大学への強い思いが必要なのだと、娘や友達の受験の様子を見ていて心から感じました。

私たちの体験が、これからの受験生に少しでもお役に立てば幸いです。

(文=三宅智佳、写真=本人提供)