生命の宇宙起源説は本当? 隕石衝突の衝撃でも死なない微生物

Image: Johns Hopkins University

生命は、隕石に乗って地球へたどり着いた…のかも?

生命の起源を宇宙に求める探査研究が続いています。宇宙空間を旅することができるかもしれない生物の可能性として、良く知られているのが強い放射線耐性を有するクマムシ。

しかし仮に宇宙の放射線に耐えられたとしても、生物が惑星間を渡り歩くことができるかを左右する大問題は、実は惑星への到着時の衝撃にあるのかもしれません。

はたして、地表に落下したときの衝撃に耐えられる生物なんて存在するのでしょうか?

隕石衝突時を再現して実験

ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の研究チームは、微生物が隕石や彗星の岩石中に潜んで宇宙空間を旅したとき、別の惑星にたどり着いた際の衝撃に耐えられるのかをテストする試験装置を開発しました。

この装置は、極限環境微生物として知られる細菌Deinococcus radiodurans(デイノコッカス・ラジオデュランス)を金属板で挟み、その金属板ごと弾丸で撃ち抜くという方法で、衝撃(すなわち圧力や物理的ストレス)への耐性をテストするもの。

人間の想像を絶するような圧力や物理的ストレスへの耐性を持つ生物というのは存在するもので、世界最深部ともいえる地球でもっとも深い海底、水深1万mを超えるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵にさえ、微生物は存在しています。

しかしながら、宇宙空間から地表への隕石衝突を生き残るには、さらに10倍以上の圧力が加わる場所で生存できる頑丈さが必要。そこで、弾丸に撃ち抜かれる金属板にかかる衝撃でテストしてみたのだそうです。

Image: Johns Hopkins University

実験に用いられた弾丸の発射速度は、最高で時速483kmを記録。実験装置にかかる圧力は1~3ギガパスカル。すごさが直感的には理解できないレベルの圧力ですが、これは金属板が粉々に破壊されるほどの衝撃とされています。

そんな強烈な衝撃にさらされた微生物のデイノコッカス・ラジオデュランスですが、なんと1.4ギガパスカルほどの衝撃であれば低度の損傷レベルで済んだとのこと。 さらに大きな衝撃を加えても、一部の損壊は認められたものの、死滅することはありませんでした。

宇宙を旅して生命は地球へ?

これまでの研究でも、極限環境微生物は、極度の放射線や紫外線にさらされたとしても生存可能で、極度の高温や低温、さらには光や酸素がない場所で生き延びられることがわかっていました。

さらに今回の研究で、物理的なストレスに対してもかなりの耐性を持っていると実証されたことになります。

最初の衝撃でさえ、とても生きてはいられないだろうと想定されていました。ところが、どんどん弾丸発射速度を高めて、衝撃を加え続けたとしても、まったく死滅にはいたらなかったのです。

今回の研究チームを率いたジョンズ・ホプキンス大学のLily Zhao氏は、こんなふうに語っています。

この実験データは、もしこうした極限環境微生物が隕石などに含まれた状態で地球へ落下してきていたとして、地表への衝突時の衝撃を生き残れた可能性があるのかも、という想像にもつながります。

ただし、これはあくまでも極限環境微生物の一種を、実験室内でテストして実証された結果にすぎません。同研究チームは、隕石の構成や軌道によっても、生存確率は大きく変動するであろうことを認めています。

今後は別の微生物でも検証が進められるとのことですが、それにしても金属を粉々に打ち砕くほどの衝撃を受けても生き残れる生物が存在するなんて、文字通り衝撃的な事実。もしや本当に生命の起源は宇宙にあって、隕石に乗ってこの地球へやってきたのでしょうか…?

Source: Johns Hopkins University