南鳥島「核ごみ処分場」調査へ 小笠原村長が事実上容認 住民説明会で「国が責任を持って判断するべき」

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定で、東京都小笠原村の渋谷正昭村長は13日、国から申し入れがあった南鳥島での文献調査について「国が責任を持って判断するべきだ」と事実上容認する考えを明らかにした。国から名指しされる形で南鳥島が候補地に浮上して1カ月余り。調査に向けて動きだすことになった。

◆北海道の寿都町と神恵内村、佐賀・玄海町に続く4例目へ

国からの文献調査の申し入れを巡り、母島で開かれた説明会(東京都小笠原村提供)

 文献調査は最終処分場の選定に向けて3段階ある調査の第1段階にあたる。経済産業省が3月3日に村に申し入れた。事前に議会が請願を採択するなど受け入れに向けた動きがない自治体に国が調査を申し入れたのは初めてで、実施されれば北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村、佐賀県玄海町に続き、全国4例目となる。

 渋谷氏は午後に母島と父島で説明会を開き、考えを表明。両島での説明会後、オンラインで報道陣の取材に応じた渋谷氏は「国が実施の判断をするのであれば、その判断は受け入れる」と述べた。4月中に国に考えを伝える意向を示した。

 渋谷氏は「調査が行われたとしても、処分施設を建設すると決めたわけではないと確約すること」を国に求めるとした。

 また、小笠原村と同様に候補地となりうる他の自治体にも調査の申し入れが行われるべきだと主張。文献調査が実施されても申し入れがされるまでは次の段階に進むかどうかの意見表明はしないとした。

 国は申し入れ後、事業主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)と村との共催で計4回の説明会を開催。村の人口の1割にあたる約300人が参加し、賛成の意見があった一方で、自然環境や観光業などへの影響を懸念する声が出ていた。

 南鳥島は面積1.5平方キロの日本最東端の島。全域が国有地で、防衛省や気象庁などの職員が駐在しているほかに住民はいない。東京都心から約2000キロ、住民がいる父島、母島からはそれぞれ約1200キロ離れている。 (渡辺聖子、浜崎陽介)

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◆住民は複雑「なぜ自治体に押しつける」「もっと声を聞いて」

 13日に小笠原村で開かれた説明会で渋谷正昭村長の考えを聞いた住民たちは、複雑な胸の内をのぞかせた。

60代男性は国に判断を求めた村長の考えに理解を示しつつ、「なぜ自治体に押しつけて、首長が判断しないといけないのか」。調査の進め方について疑問を口にした。

国からの文献調査の申し入れを巡り、母島で開かれた説明会(東京都小笠原村提供)

 宮沢かれんさん(27)は「村の声をもっと聞いてから決めてほしかった」とこぼす。3月の説明会から約1カ月での方針表明になったことに「村民のアンケートを取ったり、議会で議論したりしてからでもよかったのでは」。

 宮城ジャイアン村議は「国に判断させるというのは残念。国策に翻弄(ほんろう)されてきた島なので、自ら判断し、小笠原のアイデンティティーを示してほしかった」と語った。核のごみの処分については「小笠原だけで考えることではない。国民一人一人が自分のこととして考えてほしい」と求めた。

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