武蔵小杉駅の隣の「元住吉駅」には何がある?【住みたい街の隣も住みよい街だ】

武蔵小杉駅の隣の「元住吉駅」には何がある?【住みたい街の隣も住みよい街だ】
今や川崎市を代表する駅のひとつとなった武蔵小杉駅。
再開発によって高層マンションや商業施設が立ち並び、駅周辺だけで生活が完結する利便性の高さが特徴だ。JR線・東急線が乗り入れ、都心や横浜方面へのアクセスも良好なことから、近年人気を集めている。
じゃあその隣の駅はどうだろう?
ということで、【住みたい街の隣も住みよい街だ】第12回は武蔵小杉駅の隣駅「元住吉駅」周辺を散策します!
子鉄も大人も興奮する元住吉駅
初めて元住吉駅に降り立った。この日は晴天というのもあり、船の帆のようにテントが張られた駅構内がとても清々しく見えた。そして駅の改札を出ると、すぐさま興奮する光景が目の前に広がった。

大きい船みたいな景色。開放的でワクワクした。
改札の前にちょっとしたスペースが設けられていて、線路がよく見えるようガラス張りになっているのだ。
近くにいたファミリーによると鉄道好きには有名なスポットだそうで「うちの子も子鉄なので見に来ました」という。

鉄道好きな子供を子鉄というらしい。かわいい。それにしても武蔵小杉駅前のマンション群が際立ってるなあ。
さて、まずはにぎやかだという西口のブレーメン通りに出ることにした。するとなんということだ、まるで原宿の竹下通りかのように人でごった返しているじゃないか!
まるで竹下通り!? エネルギッシュなモトスミ・ブレーメン通り商店街
あとで元住吉に住んでいた友人に竹下通りみたいだったよ! と話すと全然違う恥ずかしいと言っていたけど、私の印象は変わらない。それくらい人が行き来していた。
不思議に感じたのは、駅に向かう人が多いのはまだ理解できるが、駅と反対に向かう人も多いのはなんで?ということ。みんなどこへ向かっているのだろう? この先に何かイベント会場でもあるのだろうか。

こちらは商店街の途中で撮った写真。ここから900mはまっすぐの道が続く。
そのあと地元の方に聞いたり散策してみた結果分かったことだが、駅と反対側に向かう人たちは「ただ家に帰っているのだろう」ということ。
たしかに、この商店街をほんの少し横に逸れると両側ともすぐ住宅地になる。つまりみんなこのブレーメン通り商店街を通りながら自宅に散っていっているだけのようなのだ。もちろん、商店街のお店を目当てに訪れた人もいるだろうけど。

駅からも見えたモニュメント。ブレーメンの音楽隊がモチーフのものがあちこちで見られる。
脇道に逸れて住宅地を少し歩いてみたが、やはり見通しのよいまっすぐの道。道がぐにゃぐにゃしておらずシンプルな区画になっているようだった。
なんとなく目にとまった老舗の履き物屋さん『徳植履物店』で話を聞くことができた。

荒川区町屋出身というお店の方。「ここの商店街はうちの地元よりも活気があるように感じます」
こちらの女性やのちほど出会う地元の方々の話をまとめると、元住吉は以下のような街らしい。
・閉まっているお店がほぼ無く商店街が元気。
・イベントは地元の人たちが主となって盛大にやる。
・地元のヒーロー戦隊がいて、クリスマスのときなどに人を集めてる。
・物価が安い(でも家賃は高いかも)
・ドイツのブレーメン州のロイドパサージュとの友好提携している。
・ブレーメン通り商店街は石畳で道がきれい。
・個人商店も多いし、スーパーも多い。
・電車は渋谷や横浜に一本でいけるし、一度乗り換えれば割とどこにでも行けて便利。
・ドラッグストアの『トモズ』が4つもある。
・高いビルがなく、道が平坦で高低差がない。お年寄りに優しい。
・プリペイドカード「ブレカ」がお得(詳細は後述)。
店の奥には、いかにも職人さんといったご年配のお義父さんもいた。昔から人気の街なんですかね、とたずねると一拍置いてから「まあ、それなりの努力をしてきました」としみじみ。
自分たちで街を盛り上げてきたのだという自負が伝わった。

おすすめされた『カレー専門店 パピー』は残念ながら忙しくて店内は撮影できなかった。ダブル盛りが人気で、付け合わせのレーズンの漬物がおいしそうだ。また次の機会に行こう。
履き物屋さんのお姉さんは意外や日本酒好きだそうで、2軒の酒店を教えてくれた。
まず行ってみたのが『宇野商店』さん。
ブレーメン通り商店街のことなら『宇野商店』に聞け
『宇野商店』さんは日本酒・ワイン・焼酎・ビールにつまみなどを売っているお店だ。履き物屋さんのお姉さんによるとお酒の量り売りをしているらしい。

『宇野商店』さん。

店内にはとても立派なタンクがあってまず驚く。蔵元から運ばれてきた原酒が1000Lも入るそう。

お酒は量り売りしてもらえる。ビンに好きなメッセージを書いてラッピングできるそう。
生まれも育ちも元住吉のご主人はこれまたお話好きだった。かつ、この商店街のフリーペーパーの編集をしているそうで、もりもりと情報が入ってきた。

ほぼボランティアの人たちで作られているというフリーペーパー、モトスミ・ブレーメン通り商店街マガジン『BREaTH(ブレス)』(季刊誌)。ちゃんと広告枠もあって立派!
この元住吉駅に着いてずっと疑問だった「なぜブレーメン通りという名前なのか」についても教えてくれた。
約30年前、商店街の地面をタイル張りにする大規模改修で国から助成金が出ることになった。せっかくなら中世ヨーロッパ風にしたいねとなり、それならドイツかねとなり、グリムやブレーメンのイメージが候補にあがった。もともとこの商店街では「10月祭」という音楽イベントを毎年開催していたので、音楽隊といえばブレーメンだろう、ということで「ブレーメン通り商店街」に改名することが決まった。
そのあといろいろとブレーメンの音楽隊のモチーフのものを作ったあと、ふと気がついた。本場ブレーメン市に何も報告していないぞ、と。慌てて日本大使館に連絡して掛け合ってもらったところ、ブレーメン市が「それなら友好提携しましょう」といってくれたそう。なんとおおらかな話!
その後、理事長がブレーメンに赴き、正式に姉妹商店街となったのだそうだ。

商店街所属の音楽団体「ブレーメンバンド」が実際にドイツのブレーメンに行ったときの様子。ちなみにご主人はホルンを吹いているそうだ。楽しそうだなあ。

お土産に生ビールの「モトスミブレーメンビアー」を買った。ブレーメン通り商店街オリジナルエコバッグもめちゃくちゃかわいい!
「ブレカ」が元住吉の健康寿命をあげる!?
ブレカとは、ブレーメン通り商店街で使えるICカードだ。ブレカ加盟店で何か買うとポイントがたまり1ポイント=1円で使えたり、駐車サービス券と交換できたりする。
2万円で2万6000円分のプリペイドカードとして使えるようなイベントもあるそうだから、住むなら持っておきたいカードだ。
しかも面白いのが、75歳以上の方がコミュニティーセンターにある機械にカードをかざすと、1日1ポイントためられるという仕組み。

コミュニティーセンター。手前のブレーメン音楽隊の像は、ブレーメン市にある商店街ロイドパサージュから贈られたもの。

コミュニティーセンター内にあるブレーメン通り商店街のポイントカード「ICブレカ」の機械。75歳以上だと1日1ポイントつく。
ちょうどポイントをつけに訪れたお母さんがいた。ニコニコ元気そうなお母さんを見て私もなんだか元気になってきた。なにかとパワーをくれる商店街だなあ。
オムライスに果実のリキュールにとろとろざんまい
もう一つの酒店に向かう途中、『宇野商店』の主人が編集に関わっている商店街の冊子でおすすめされていた『オムライスカフェ ぽわるぅ』を見つけたので行ってみることに。
2024年にできたばかりのまだ新しめのオムライス屋さんのようで、外に並ぶほどの人気っぷり。入るとレトロなステンドグラスの照明がかわいらしい。
オムライスのソースは6種類から選べる。どれもおいしそうだと悩んでいると店員さんが好みを聞いてくれて無事選ぶことができた。

美しいオムライス。もう目からおいしい。「ほろっと柔らかポークリブセット スープ付」を頼んだ。スープはおかわり無料。

ナイフで切れ目を入れるとこうなって、

ソースをかけるとこうなります! 奥のポークリブもおいしいので必ず食べてほしい。

ミニパフェまたはドリンク付き! コーヒーゼリーが敷かれており甘すぎずちょうどよかった。
完熟トマトソースは私好みに酸味がほどよくあり、フワフワの卵とマッチしてとろけるようにおいしかった。また、ポークリブはホロホロでなんと柔らかなことよ……!
デザートまで付いちゃって、満足すぎたなあ。
そして履き物屋さんのおすすめのもう一つの酒店『地酒や たけくま酒店』も行ってみよう。

なんと、運よく試飲会をしているぞ!

果実のリキュールをいただいた。
川崎駅のほうに本店があるという『たけくま酒店』さんは、その時に旬なものをおすすめしてくれる。
この日の試飲は、栃木県小山市の小林酒造「鳳凰美田」のお酒と、それをベースにした本格リキュール。日本各地の厳選されたいちご、桃、みかん、葡萄などいろいろ試飲させていただいた。果実がトロッとしていてオムライスにつづいてトロトロ天国である。

ぜんぶとろみがあり、濃厚でおいしい! これは気づいたらけっこう酔っちゃうやつ。
試飲会は不定期ながらやっているそうで、まずこういった機会にぜひ飲んでもらって、おいしさを知ってほしいと言っていた。
ちなみに本店の隣にはオーナーのお母さんがやっていた編み物教室から一文字かえた「たけくま飲み物教室」という試飲コーナーがあるそう。
おっとまずい。こちらでも長居してしまった。ブレーメン通り商店街だけで日が暮れそうだ。駅の反対側も急いで見に行くことにした。
モトスミ・オズ通り商店街
駅の反対の東口側にも立派な「モトスミ・オズ通り商店街」が続いていた。
こちらは聞いていた通り、ブレーメン通り商店街とは違って道がくねくねと曲がっている。
比べると居酒屋さんが多い印象だが喫茶店やドラッグストアやスーパー、お総菜屋さんもあり、住むのに便利そう!

駅の東口側はモトスミ・オズ通り商店街。どちらもメルヘンだなあ。

テイクアウトの焼き鳥が人気だという『鮒忠』。俳優の要潤さんがバイトしてたとかしてないとか。

オズ通りを進むと、武蔵小杉駅の方から続く渋川という川にあたる。「住吉ざくら」と呼ばれ、川に沿って2kmほど桜並木が続くそうだ。
さらに進み綱島街道を渡ると、かつて米軍施設だった場所にできた中原平和公園という大きい公園がある。
やはりこちらも桜並木があり、犬の散歩をしたり地元の人たちの憩いの場だとおすすめされていた。

ファミリーで遊ぶ人たちや、一人で楽器を楽しんでいる人、ジョギングをしている人もいる。奥には武蔵小杉駅前のマンション群。

日吉駅から歩いてきたというファミリー。
武蔵小杉駅とは反対側の隣駅の日吉から歩いてきたというファミリーに話を聞いた。
道が平坦なのでベビーカーをひきながらでも散策に来やすいし、公園には野外音楽堂や、子供たちが喜ぶ芝生があっていいですよ、と教えてくれた。はだしで遊べる「はだしの広場」なんかもある。
また、ついでに個人店の多い元住吉の商店街に行くのが楽しみだそう。八百屋さんや魚屋さん、有名なお豆腐屋さん(この日は残念ながら定休日)や、さきほどの『鮒忠』のことなども教えてくれた。
にぎやかな商店街もあるし、大きい公園もある。子供から大人まで楽しめる街だと思う、とのことだった。

春は商店街で買った焼き鳥やビールでお花見したいなあ。
最後は西口の線路沿いすぐのところにある元住吉神社にお参りして今回の散歩を締めくくった。

夏は盆踊り大会をしたりにぎわうという元住吉神社。

おかっぱの前髪の狛犬がかわいかった。この辺りと一緒で頭が平坦だった(カッパ狛犬という種類かな?)。
「元から住み良い街、元住吉」
こんな感じで今回の散歩は終了。
振り返ると、この日はほぼ商店街だけで時間が経過してしまった。商店街の人たち、お話好きが多くて楽しかったんだよな。
特にたくさん話してくれた『宇野商店』の店主のところに最後ビールを買いにいったときに、元住吉って一言でいうとどんな街なんですかね、と尋ねると「元から住み良い街、元住吉」とキメてくれた。
ブレーメン通り商店街になる以前から活気が良かったと履き物屋さんから聞いていただけにうまい! と思った。それに、そんな風に自信たっぷりに言える街に住んでいるのがうらやましい。
それにしても昔からあるそのエネルギーはいったいどこから来ているのだろう? また次行ったとき商店街の方に聞いてみよう、と『鮒忠』のももニンニクを頬張った。

元住吉で買ったビールと焼き鳥。元気をもらった一日でした!
取材・文=小堺丸子 撮影=橋田玲子、小堺丸子
小堺丸子
ライター/ビル毛収集家
東京都葛飾区生まれ。上野・浅草あたりが庭。視点をちょっとずらした企画や、ガイドブックには載らないだろう地元の人ならではのプチ情報を取材するのが好きです。人にすぐ声をかけがちで、偶然出会った人が記事によく出てくるのが特徴です。趣味はビル毛集め(https://san-tatsu.jp/articles/294153/)。お散歩ラジオも始めました(https://podcasters.spotify.com/pod/show/osanporadio)。