イラン、打ち破れない米海上封鎖に解決策を模索

イランはホルムズ海峡の商船の通航を停止した
イランのイスラム体制は約50年にわたり、中国に石油を販売することで米国からの財政的圧力を生き延び、ゲリラ戦術で米国の軍事力に対抗してきた。しかし、アナリストらは、米海軍の海上封鎖によって、その戦略が限界に達した可能性があると指摘する。
イラン政府は、2月に戦争が始まった後、ホルムズ海峡を航行する船舶を攻撃して商業交通を遮断し、世界の石油・液化天然ガス(LNG)供給の5分の1を止めたことで優位に立ったと考えていた。しかし、紛争開始から6週間後、米国はイランの全ての港からの輸送を封鎖することで対応した。
これにより、イランの「影の船団」が機能停止に追い込まれた。このネットワークのタンカーは長年にわたり、イランの大規模な石油輸出に対する米国の制裁を無視し、位置情報を隠して航行し、中国への積み荷を洋上でひそかに移し替えてきた。だが、今ではインド洋まで追跡してくる米軍艦の包囲網を突破できずにいる。
ホルムズ海峡において「イランは市場の信頼に対する危機を生み出した。しかし、混乱はコントロールではない」と、かつて米国防総省でペルシャ湾政策を担当した元局長のデービッド・デロッシュ氏は述べた。「米国の封鎖によって、イランは正念場を迎えている」
代替の貿易ルートでは不十分だ。イランは石油の一部を鉄道で中国に送り、食料品をカフカス地方やパキスタンから道路で輸入しようとしている。しかし、イラン海運協会が4月30日、イラン革命防衛隊(IRGC)系のファルス通信を通じて明らかにしたところによると、封鎖された港湾から転換できる貿易量は全体の40%にとどまるという。
危機が拡大していくとの懸念から、イランの政治体制内では、マスード・ペゼシュキアン大統領のような穏健派と、最も保守的な派閥を率いる元大統領候補のサイード・ジャリリ氏などの強硬派との間で亀裂が生じている。
穏健派は、攻撃を控えてドナルド・トランプ米大統領と有利な条件で交渉すべきだと考えている。トランプ氏がこの泥沼化した戦争から一刻も早く抜け出したがっていると見ているからだ。また、開戦当初に高まった民族主義的な高揚感が冷め、イラン国民が紛争に疲れ始めていることを懸念している。
「政権はこの行き詰まりを打開するために何らかの手を打たねばならない」と、テネシー大学チャタヌーガ校でイランを研究するサイード・ゴルカー氏は言う。「穏健派は合意を望んでいる。これ以上の破壊は政治的自殺行為だと考えているからだ」と同氏は語った。
強硬派の一部は、イランが軍事的主導権を握り、再び戦闘を開始して石油価格を急騰させ、トランプ氏への圧力を高めるべきだと考えている。彼らは海上封鎖について、イランがこれまで乗り越えてきた制裁の域を超えており、軍事的対応が必要な戦争行為に相当すると主張している。

イランの首都テヘランで行われた集会で最高指導者モジタバ・ハメネイ師の肖像を掲げる参加者(4月29日)
イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師は30日、米国に対し新たな脅しをかけた。「悪行を働く外国人は水の底に沈むべきだ」との同師の声明が、国営テレビのアナウンサーによって読み上げられた。モジタバ師は、2月28日にイスラエルの攻撃で殺害された父親のアリ・ハメネイ師の後を継いで以来、公の場に姿を現していない。
「封鎖はテヘランで、戦争の代替手段としてではなく、戦争の異なる形態として見られるようになっている」と、ベルリンを拠点とするシンクタンク・ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)の客員研究員で中東を専門とするハミドレザ・アジジ氏は述べた。「その結果、イランの意思決定者たちは、長期的な封鎖に耐え続けることよりも、紛争の再開の方がコストが低いと考えるようになるかもしれない」
イラン当局者は、同国は潜水艦から機雷を装着したイルカまで、これまで使用していなかった兵器を使って米軍艦を攻撃できると述べた。IRGCはホルムズ海峡の電話ケーブルを切断して事態をエスカレーションさせると脅しているが、これが実行されれば世界規模でインターネット通信が混乱に陥る。
IRGC系のタスニム通信は最近、ホルムズ海峡を横断する海底インターネットケーブルの地図を掲載し、地域の通信インフラが標的になり得ることを暗に警告した。
先週末、イラン政府は地域の仲介者に対し、海峡での攻撃停止と引き換えに、戦争の完全終結、イランの港に対する米国の封鎖解除、核交渉の延期を求める提案を提示した。
トランプ氏は27日、イランが核開発に関する要求に応じるまで封鎖を維持する長期封鎖の準備をするよう側近に指示した。「封鎖は天才的だ、いいか、封鎖は100%完璧だ」と同氏は今週、記者団に語った。
イランのために活動する商船44隻が引き返すか港に戻るよう命じられたと、中東における米軍の作戦を統括する米中央軍が30日に述べた。イランの石油貨物が米国の封鎖を突破して中国やその他の買い手に届いた証拠はないと、商品データ会社のケプラーは述べた。
イランのアッバス・アラグチ外相は最近、イラン政府は輸送制限を「無力化する」方法を見つけると述べた。イランの通常海軍は最大90%が米国の爆撃によって破壊されたとみられており、米軍艦と対峙(たいじ)できない状態にある。
イランは、米国が先に折れてイランの港への封鎖を解除し、世界市場を落ち着かせて米国のガソリン価格を引き下げることに賭けている。米国当局者は、深刻化する経済危機のためにイランが折れると見込んでいる。
この戦争はイラン経済に多大なコストをもたらしており、100万人以上が職を失い、食料価格が急騰し、長期にわたるインターネット遮断がオンラインビジネスに打撃を与えている。同国の経済は今、崩壊の危機に直面している。
イランの通貨リアルは1年前と比べて50%以上下落しており、封鎖が終わる気配を見せない中、対米ドル相場は最近、1ドル=181万リアルと過去最安値を付けた。

イラン国民は食料価格の高騰に直面している