「子どもに惨めな思いさせたくない」出生数が過去最少 なぜ若者は結婚せず、子どもを持たなくなったのか

「子どもに惨めな思いさせたくない」出生数が過去最少 なぜ若者は結婚せず、子どもを持たなくなったのか
日本の働く単身者の税と社会保障の負担率が過去最高を記録する中、子育て施策の財源として社会保険料から徴収される「子ども・子育て支援金」制度が開始された。単身者や子どものいない層への負担が増す一方、前年の出生数は過去最少を更新し、想定されるワーストシナリオに近い形で少子化が加速している。「ABEMA Prime」で、結婚も諦めた当事者とともに、若者が結婚・出産を躊躇する背景について考えた。
■出生数が過去最低「少子化対策サボったツケ」

日本の働く単身者における税・社会保障負担率は33.1%に達し、25年前から3.3%増加している。欧米諸国が同期間に負担率を下げる中、日本は世界の流れに逆行しており、高齢者や貧困世帯、子育て世帯への手厚い優遇措置のしわ寄せが働く単身者に集中している。
同時に、前年に発表された出生数は67万人と、10年前の100万人から3分の2にまで急減した。これまでの少子化対策のあり方が問われる中、家族社会学者で中央大学教授の山田昌弘氏は現在の深刻な状況を次のように分析する。
「30年間少子化対策をサボってきたツケが回っている。少なくなった子どもが今子どもを生み始めているため、出生数が下がっていくのは必然だ。夫婦が生む子どもの数は長年ほぼ2人前後で安定しており大して減っていない。つまり少子化の原因は結婚しない人が増えていることにある。にもかかわらず、国などはパワーカップルが子どもを生みやすい政策ばかりを進めており、本当に必要なのは結婚支援の方だ」。
若者が結婚を選ばない背景には、経済的不安や価値観、時代背景の変化が複雑に絡み合っている。33歳で早期リタイア(FIRE)した元薬剤師のYURIさんは、単身当事者としての心理を明かした。
「薬剤師としてある程度の収入はあったが、税金面でのマイナスが大きく、子どもを育てて生活し、自分の好きなことをするのは厳しいと感じた。自身が私立の薬学部に6年間通い多額の学費がかかった経験からも、子どもにいい教育や選択肢を増やせるのかという経済面を非常に考えた。結婚は自由が制限される面もあり、子どもと自分の夢の両方を手に入れるのは難しい」。
これに対し、実業家の山本康二氏は、経済的理屈だけで少子化を捉えるアプローチに疑問を呈する。「少子化対策は頭のいい人が頭で考えているが、結婚は『お前が好きだ、一緒に暮らしたい』という、心や愛から始まるものだ。今の若者はルールばかりに縛られ、恋愛初期のイライラしたりドキドキするストレスに耐えきれなくなっており、恋愛耐性がない」。
歌舞伎町ゲイバー「CRAZE」店員・カマたく氏は、時代背景による変化を補足した。 「ガツガツ行く『肉食男子』もいるが、今はそれが『ダサい』とされる時代の背景がある。また、SNSで仲の良くない夫婦や毒親などのネガティブな情報が簡単に見えてしまうため、結婚をしない選択肢が、より生まれている」。
■結婚・出産に後ろ向きな若者たち

議論はさらに、単身者と子育て世帯との心理的分断や、SNSがもたらす影響へと波及した。フリーアナウンサー・柴田阿弥氏は、両者の対立を避ける重要性を強調し、若者の価値観に言及した。
「単身者と子育て世帯が対立しないようにすることが一番大事。社会保障の負担が重いため、改革に取り組まないと、結婚してもやっていけるだけの収入が得られないと怖くなってしまう。友人からは『仕事と子育ての両立は大変すぎて無理。専業主婦になりたい』という声も聞く。これまでの支援は共働き世帯を想定したものが多かったが、子育てに集中したい層へも目を向けるべきだったのではないか」。
17年間の専業主婦期間を経て47歳でキャリアに復帰したSEKAIA株式会社CEO・薄井シンシア氏は、自身の経験から時間軸の捉え方を指摘した。「人生は長くなったが子どもを生める期間は変わらない。10年寿命が伸びたなら、その10年を使って先に子どもを生んでおいて、その後にゆっくりキャリアを築けばいい。十分な時間はある。SNSではネガティブな情報ばかりがバズるが、私自身は子育てが最高に幸せだった。そうしたポジティブな声を発信する人がいないことが残念だ」。
EXIT・兼近大樹は、独身を続けることへの危機感と社会の分断に対する葛藤を語った。 「子どもがいなくても回せる社会なら独身でもいいが、自分がどれだけお金を持っていようが社会が回らなければただの『ゴミを集めているだけの日々』になる。結局、僕らは誰かが生んだ子どもに助けられて生きている。その危機感を一人ひとりが持ち、みんなで支えようと思えるようになる必要がある。一方で、賢い人ほどSNSなどでマイナス面ばかりを見て、大人の見栄や計算で子どもを作らない選択をしており、分断が進んでしまっている」。
番組終盤、山田氏は学生とのやり取りを引き合いに出し、若者が直面している現実的な課題を整理した。
「学生から『恋愛感情は2年で冷めるから結婚で重要なのはお金』『男性も正社員の女性と結婚しないと東京にマンションを持てない』と言われ、衝撃を受けている。今は男性間でも格差が大きく、東京では正社員同士の共働きで稼げる層が子どもを生む一方、地方では育児休業などのないパートや自営業が多く、低所得層が結婚相手に選ばれにくい現状が問題だ。また、自分の子どもに惨めな思いをさせたくないから子どもを少なくする、あるいはそもそも結婚しないという心理が強く働いており、それだけの収入を夫婦で稼げたら子どもを生もうという発想になっている」。
さらに、若者の間で早期リタイア(FIRE)を希望する年齢が年々若返っているデータや、努力しても認めてもらえないという無気力感も浮き彫りとなった。山田氏は「最近の学生は、早期リタイアも含めて働かなくて済むなら働きたくないという人が増えている。職場で努力しても報われない、自分がやったことは認めてもらえないと感じており、大変さに見合わないと考えている」 と指摘していた。
(『ABEMA Prime』より)
【映像】50年前からきれいに右肩下がり…日本の出生数グラフ
【画像】50年前からきれいに右肩下がり…日本の出生数グラフ
【映像】「美人」すぎて悩むという奥峰さん(20代)