【悲鳴】コメ不足&価格高騰で相次ぐ米穀店の“廃業” 収穫時期まで在庫持たず…行き渡らない備蓄米 「政府の対応の遅さ」指摘も
コメの価格高騰が続く中、少しでも安く消費者に届けようと奔走してきた地元の米穀店が“廃業”に追い込まれるケースが相次いでいます。主な要因は収穫時期までの「在庫」の枯渇と流通価格の「高騰」です。政府は備蓄米の放出を行い、価格上昇の抑制を図っていますが、消費者に届く流通量は十分とはいえず、「対応の遅さ」を指摘する声も上がっています。
■米不足に対応できず…和歌山の老舗米穀店が閉店「不本意な辞め方になった」

高騰するコメの価格(大阪市内) ©ytv
和歌山県南部で100年以上営業してきた老舗の米穀店が4月末、地元紙の広告欄で「閉店のお知らせ」を掲示しました。
『閉店のお知らせ
私事ですが、この度の米不足に対応出来ず、4月30日(水)をもって閉店させて頂きます。
お客様には大変ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。
長い間本当にありがとうございました。感謝でいっぱいです。』
丁寧にお詫びと御礼の想いをつづったのは、今年で76歳になる店主の男性。代々続くこの店で、一般客向けの小売りのほか、地元の保育所や介護施設などへの卸売りも行ってきました。
主な仕入れ先は和歌山県内と三重県の業者。去年夏ごろからのコメ不足で、仕入れ価格は倍以上に高騰したということです。少しでも価格を下げようと、三重県まで自らトラックを走らせ、コメをかき集めたといいます。しかし、価格が高いだけでなく、コメそのものが手に入らなくなり、早期米が出回る次の夏ごろまでに在庫が枯渇する見込みとなり、年齢も鑑みて閉店を決めたということです。
二人三脚で店を営んできた店主の妻も、「不本意な辞め方になった」とやるせなさをあらわにしました。
■“コメどころ”滋賀でも米穀店の廃業相次ぐ 生産増やす取り組みも

米どころの米穀店も苦境 ©ytv
関西随一の“米どころ”として知られる滋賀でも、苦しい状態が続いています。
滋賀県は去年、近畿全体の約3割にあたる14万1700トンのコメを生産していますが、取材した滋賀県の米穀店40店舗のうち3店舗が廃業したのです。和歌山の米穀店と同様、「夏を乗り越えられるか微妙なほど、在庫が激減してしている」ことや、「仕入れ値自体が高いのに、少しでも安くお客さんに届けたるために、価格に反映できない」ことなどがが廃業の理由でした。

滋賀でコメ増産のウラ事情 ©ytv
コメが不足している中、滋賀県では生産を増やそうと25年産は14万8000トンと、前の年に比べて6300トン増やす目標を掲げています。県の担当者によると、家畜用など非主食用のコメを作っている農作地を主食用に転用するようお願いしたり、麦農家にコメ作りを依頼したりするなど、苦心しているということです。
また、JAグリーン近江によると、田植えを約2週間“前倒し”するよう農家に依頼しているということです。田植えの時期が早くなれば収穫時期も早くなり、消費者に早く届ける狙いがあるほか、ここ数年で収穫量が減っていた「猛暑対策」の側面もあります。

"対応"も大変… ©ytv
ただ、田植えや収穫の前倒しはそう簡単にできるわけではなく、JAグリーン近江の担当者は、「コメだけでなく他の作物も作っている農家もいるので、他の農作物のカレンダーとも重なってしまう。今年はコメ不足だからといって、今年急にお願いしても難しく、各農家の調整があってこそ」と打ち明けます。
■店主「備蓄米で状況変わると思ったが甘かった」政府の対応が運命を左右

スーパーでのコメ平均価格の推移 ©ytv
政府が備蓄米の放出を決定したのは今年2月。翌3月には入札業者への引き渡しが始まったものの、コメの価格は17週連続で上昇を続けました。
閉店を決断した和歌山県の米穀店では、地元スーパーでもコメが品薄になってから、これまで取り引きのなかった客もコメを求めてやってくるようになったといいます。なんとか客の希望に応えようと、5キロずつに量を抑えて販売していましたが、在庫不足はますます深刻化し、馴染みの客への供給を優先するためにも、完全に蓄えが尽きる前に閉店を周知したということです。
店主は「備蓄米で(状況が)変わると思っていたが甘かった。私たちには(対応の)遅れを待てるほどの蓄えがなかった。お米は重い。運送はどうするのだろうと思っていたらこうなった」と政府の対応の遅さを指摘しました。

備蓄米の倉庫を視察する小野寺政調会長(14日) ©ytv
12日に発表された最新のスーパーでのコメの価格(4月28日~5月4日)は、ようやく前の週より19円値下がりし、5キロあたり4214円となりました。備蓄米の店頭での販売が本格化したことが要因とみられていますが、コメの流通関係者からは、夏にかけて「再び品薄状態になるのでは」と不安の声も聞かれています。
農林水産省は5月中に4回目の備蓄米の入札を行い、夏にかけて毎月、備蓄米を放出する方針ですが、コメを流通させようと身を削る関係者らが“閉業”に追い込まれるようなことがないよう、早急な対策が求められいてます。