崩壊寸前の地域医療 「病院の約7割が赤字」日本病院会会長が訴え 倒産加速の可能性

 およそ2600の病院が加盟する日本病院会・相澤孝夫会長が「病院のおよそ7割が赤字」だとする動画を公開した。「地域医療は崩壊寸前」とも訴え、国に対策を求めている。

【画像】なぜ多くの若い医師が「美容外科」に?

■病院が経営危機に陥る要因は?

倒産急増の懸念 病院の7割が赤字

 まず病院が赤字経営に陥る要因について見ていく。病院の倒産が急増している。

 相澤氏は日本病院会のYouTubeで、病院とは病床が20床以上の医療機関のことだが「日本の病院のおよそ7割は赤字。しかもこの赤字は毎年どんどん増えていく」と訴えた。

 日本病院会など6団体は、全国およそ1700病院の去年6月から11月の経営状況を調査。経常利益が赤字の病院が61.2%、補助金などを除いた医業利益が赤字の病院が69%という結果だった。

赤字の理由は“診療報酬”と“物価高”

 赤字の理由は“診療報酬”と“物価高”だという。診療報酬とは、保険医療サービスに対して支払われる報酬で、医療機関の収益源となっているもの。

 政府は2年に1回見直しを行い、2024年度は医療従事者の人件費などは前回より0.88%増えたが、点滴などの薬価・材料価格が1%下がったため、全体で0.12%引き下げとなった。

 そもそも、社会保険の財政が圧迫している現状がこうした問題を引き起こしている。

 一方で、物価高により支出は増加している。2023年6月から11月と去年6月から11月を比較すると、診療材料費が4.4%増、人件費が4.3%増、病院給食などの委託費が4.3%増えた。

“病院”ならではの理由も

 相澤氏によると、20床未満または病床を持たない「診療所」は人件費の負担が少なくコンパクトな運営が可能だが、20床以上ある医療機関の「病院」は入院設備など固定費がかかり、多数の職員も必要になる。

 そのため、すでに倒産する病院も出てきている。東京商工リサーチによると、去年、倒産・休廃業などをした病院は2023年の80件から106件に増えた。コスト増と診療報酬のバランスが崩れると、倒産などが加速する可能性が指摘されている。

■経営難となる救急病院

救急・高度医療も窮地 対策は?

 救急医療や高度医療も危機的状況だ。

 救急病院とは、救急隊が緊急に搬送する医療機関で、医師や設備状況を審査し、都道府県知事が認定する。

 去年10月から診療を休止している吉祥寺南病院の藤井正道元院長は「今の状態だと救急病院で利益を出すことはほとんど不可能」と話している。

 吉祥寺南病院も位置している東京・武蔵野市では、この10年で地域医療を支えてきた病院が次々と病床廃止や診療休止になっている。入院や手術を必要な重症患者に対応する2次救急の2病院も閉院・診療休止し、330病床以上が使用不可になっている。

閉鎖理由は救急病院ならではの負担

 相澤氏によると、閉鎖の理由は救急病院ならではの負担だという。24時間体制で救急医療の提供が必要なうえ、採算の取れないサービスの維持も必要なため、地域医療を支える役割を担うことが病院経営の重荷になっている。

 武蔵野市に隣接する三鷹市の野村病院の野村幸史理事長は「もっと広い医療圏で考え、自治体の枠を超えて協力するべき。これまでの仕組みや慣習を見直し、新しいスタイルを見つけることが求められている」として、病院同士が経営協力し、電子カルテの導入や給食事業などを一緒にやることが必要だとしている。

■「直美」増加も…一般病院は若手医師不足

一般病院で若手医師減少!?「直美」の実態

 美容医療業界に直接就職する「直美(ちょくび)」が増える一方で、一般病院では若手医師不足に陥っているという。

 美容外科の医師が急増している。2008年は411人だったが、2022年は1247人と、およそ3倍に増えている。

 なかでも急増しているのが「直美」と呼ばれる医師だ。臨床研修の2年後の勤務先を調べた結果、美容外科に進んだ医師は2014年の18人から急増し、2022年は198人。8年前と比べると10倍以上に増えている。

美容クリニックの数も増加

 「直美」の増加と同時に美容クリニックの数も増えていて、2008年には983施設だったが、2023年は2016施設と倍増している。

 美容外科の医師の特徴としては、2022年時点で、40歳未満の医師が占める割合は医師全体で3割程度なのに対し、美容外科に限ればおよそ5割だ。

なぜ多くの若い医師が「美容外科」に?

 こうした状況について、朝日新聞は「美容外科医の急増ぶりや若年化が際立っている」と報じている。

 なぜ多くの若い医師が美容外科になるのか?

 まずは「収入」だ。美容医療は「自由診療」で、医師が報酬を自由に設定できるため、収入増につながっている。

 2つ目は「労働環境」だ。夜間や休日の緊急対応、残業が少なく、労働環境が良いという。

大慈弥医師「保険診療に限界を感じた人たち」

 自由が丘アカデミー代表理事で福岡大学名誉教授の大慈弥裕之医師は「美容医療に進む医師は、保険診療に限界を感じた人たちといえる」と指摘している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年6月10日放送分より)

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