参政党投票者を揶揄しても意味はない――参院選の結果に関する俗説の検討

参政党投票者を揶揄しても意味はない――参院選の結果に関する俗説の検討
2025年参院選は、与野党逆転という結果に留まらず、かなり特異な選挙だったと思われています。「激動」とも形容された選挙で何が起きていたのか、メディア等でも議論が続いていますが、このニュースレターでも徐々に分析を示していきたいと思います。
今回は、2025年参院選の中心的な話題となっている参政党に関する、俗説的な議論をいくつか取り上げたいと思います。マス・メディア関係者や政治評論家などの方々は、ときに思い込みに促されて目立つ要素に着目するような議論を行いがちです。それらは仮説として有効な場合もありますが、細かい観察や分析の際にノイズともなり得ます。そこで、簡単なデータや論理で処理できるものは先にしておきます。
参政党は自民党の敗因か
投票日直前に発表した2つの分析記事では、衆院選では参政党候補が自民党のみから票を奪っているわけではなく(記事)、むしろ「第三極」と称される政党に投じられていたような票を吸収していた部分があった(記事)と報告しました。そして、選挙後を見越して、「参政党に票を奪われたから自民党は負けた」といった言説は適切でないと指摘しました。
これらの記事はおかげさまでメディアや政界の関係者を含む多くの方に読んでいただいたようで、参政党候補が自民党候補の保守票を奪ったから立憲民主党候補が救われたといった軽率な議論はあまりなされていなかったように思います。しかし、負けた自民党とその周辺からは「『保守票』が参政党に流れたので自民党候補が負けた」といった議論がやはり沸き起こっているようです。
何かしらの当たり障りのない、自分たちにダメージのない敗因を求めたいということなのか、「保守的」な政党と組む必要性の口実にしたいのかよくわかりません。ただ、誤った敗因の指摘や総括が悪影響をもたらすことは、2007年参院選の「小泉構造改革の負の遺産」や2021年衆院選の「共産党と組んだから票が逃げた」のその後を知っていればわかる話です。
今回参院選の比較対象となる非改選の2022年参院選は、石破内閣に比較して内閣支持率も自民党支持率も高かった岸田内閣の下で行われています。この選挙で野党側は、やはり岸田内閣を相手にした2021年衆院選で「敗北」したのは、立憲民主党候補を多くの選挙区で共産党が支援する野党共闘を行ったためだとしてバラバラに戦い、1人区で4勝しかできない惨敗を喫しました。
この反省を多少活かして、立国、立共それぞれで多少の棲み分けを行ったことが今回奏功したことは、参院選序盤情勢の分析からも明らかでした。比例区得票率野党第3位の立憲民主党が選挙区で15議席(前回10議席、両年とも補充1議席含む)も獲得したことからも明らかでしょう。低迷している与党が、今回は多少協調できた野党を相手に戦ったら、前回から議席を減らすのは当然です。
ただし、「保守票」の意味が極右的、排外主義的、その意味で局所的な票を指すのであれば、その可能性を否定することは難しいです。ただし、雑な分析ではこれを析出することはできません。
産経新聞は、彼らが認定するところの「自民党保守系」候補の合計票が減少したことをもって「岩盤支持層離反」としています。この計算では63万票が減ったことになっていますが、これを額面通り受け取ったとしても63万票は有権者の0.6%、投票者の1%に過ぎません。ずいぶん薄い岩盤ですねという皮肉はともかく、メディアの世論調査などで簡単に分析できる規模の現象ではないです。仮に影響が存在したとしても、規模が小さいため「敗因」の箇条書きの最後のほうに入れるかどうかでしょう。
参政党が勢いに乗る前から自民党は負けていた
何某かの要素が「敗因」であるかどうかを考えるには、その要素がなかった場合にどうだったかを考えることが大切です。つまり、参政党が出現していなかったら、選挙区に候補を擁立していなかったら、自民党はもっと議席を得られたのか、という反実仮想を行うわけです。
今回参院選で全ての選挙区で参政党は候補を擁立していますから、前回、前々回の記事で衆院選について行ったような、参政党候補出馬区、不出馬区の比較はできません。しかし、その衆院選選挙区ですでに自民党は大幅に得票率を減らし、野党に対して負け越していました。衆院選では参政党は一部の選挙区でしか候補を擁立せず、比例区得票率も4%を切っていたにもかかわらずにです。
この衆院選から自民党と石破内閣はさらに支持を失っています。その状況から何ら挽回していないのに、参政党が選挙区に候補を擁立していなかったら自民党はもっと議席を得られたと想像するのは、なかなか難しいと思います。
この傍証は、今回参院選の「情勢」から得ることができます。図表1は、全国紙4紙と共同通信の参院選情勢報道で、各選挙区選出議員数内とされた候補を政党別に集計し、序盤、終盤(中盤)の差を確認したものです。

参政党は、この選挙の序盤でも「勢い」は指摘されていました。しかし、結果に比べるとそれはまだ小さいものでした。序盤調査で参政党が選挙区で結果的に獲得する議席数7を当てていたのは毎日新聞のみで、他社は読売の1、共同の2というようにかなり控えめな予想となっていました。
このように、参政党への投票予定がまだ伸びていない序盤の段階で、自民党と公明党の与党は非改選を合わせて過半数を取れるかどうかという報道がなされていました。そして、参院選の期間を通じて、参政党への投票予定は大きく伸びました。これを受けて自民党の結果がどうなったかと言えば、序盤情勢からそこまで大きく減ったわけではなく、終盤情勢からは戻していました。
このように、参政党が伸び切る前から自公過半数は危うい、自民党は大きく議席を失うと伝えられていました。そして、参政党がさらに大きく伸びた後で自民党の負け幅は急拡大していません。このことから、選挙中に参政党が増やした票は、自民党から流出した票が主流ではない可能性が高いと考えられます。
参政党は立憲民主党からも票を奪った?
もう少し詳しく見てみましょう。図表2は選挙区の実際の結果と、各社による序盤・終盤情勢との差を示しています。これを見ると明らかなように、序盤との比較でも終盤との比較でも、議席を落としているのは立憲民主党です。

2024年衆院選の分析では、第三極候補が参政党候補に票を奪われ、立憲民主党は奪われていなかったのではと報告しましたが、今回の参院選では立憲民主党も参政党の伸長により、衆院選時から多くの票を奪われた可能性があると考えられます。実際、立憲民主党の比例区得票率は衆院選時から3分の2になっており、2022年参院選と同レベルです。それでも選挙区で大幅に議席を増やせたのは、野党間の棲み分けの進展と与党の弱体化のおかげと言えるでしょう。
ただし、表に示された結果と情勢との差には、投票意向の分布の変化だけでなく、各社の予測精度の良し悪しも含まれている点には注意が必要です。特に終盤と結果の差は、立民から自民へと票が移動したかのように読めますが、実際には立民を過大に予測する何らかのバイアスが存在していた可能性があります。出口調査でも同じような傾向があったことから、今回の選挙では自民党投票層が自民党に投票したと答えにくかったことなどが考えられます。
このあたりの議論も含め、情勢報道については今後より詳しく分析していこうと思います。
根拠も論理もない参政党投票者への揶揄
いずれにしても、前々回記事で述べたように「参政党の出現は自民党だけでなく他党にとっても脅威」であったことは間違いなく、仮に参政党が存在していなかったとしても与党は大きく議席を減らしていたはずです。そもそも、今回の参院選の結果は選挙のかなり前からある程度予想されていました。昨年衆院選と同様に自民党と公明党が大幅に議席を減らす、ということです。
先に述べたように、2022年参院選では岸田自民党は一定の支持を保っており、野党は無様にも分立して戦った結果、自民党と公明党の与党は大勝していました。この選挙との比較で野党は、大幅に議席を増やすことは確実と言えました。ただし、この2022年の与党大勝が壁となり、今回参院選での与野党逆転は難しいだろうという見方が多かったと思います。
この見方を覆した最大の要因は、おそらく前回参院選や昨年の衆院選に比べて伸びた投票率であり、そしてこれに乗った、あるいはその一部を生み出した参政党にあると考えられます。
ところで、これに関連して参政党支持者や投票者を揶揄する言説をインターネット界隈の至る所で見かけます。選挙にも行ったことのない無関心層が急に目覚めて投票したとか、「勝ち馬」に乗ってマウントを取りたかった奴らが悪さをした、みたいな感じでしょうか。もちろん、これら言説の背後に適切な根拠はなさそうですが、今回の選挙の背景を理解し、今後を見通す際に障害となるので、こういった議論のどこがダメなのか簡単に論じておきます。
まず、投票者が勝ち馬に乗ることは選挙では当たり前のことです。「与党であること」を存在理由として存続してきた自民党は、そういう勝ち馬イメージで有権者の票、そして政治家が集まってきたと言えます。立憲民主党が大した支持率もないのに自民党に対抗できるのも、野党第1党と見られて与党批判票がいろいろなところから集まるためであり、さらには票が集まると期待されるためでしょう。特に少定数となる選挙区選挙においては、当選可能性がない(勝ち馬ではない)と思われた時点で負けです。デュベルジェの法則とかの小難しい話をしなくとも、政治と選挙をつぶさに観察してきた読者のみなさんにとっては当たり前の話だと思います。
その過程が多数決にしろ熟議による合意形成にしろ、民主主義は最終的に多数の同意を要求します。より大きな塊を形成する作用を持つ「勝ち馬に乗る」行動は、決して否定的に見るべきではなく、むしろ民主主義の政治の性質と言えます。より勢いのあると判断した先に一部有権者が票を移動させることは、その時点の情報を元に個々人が票を有効に利用しようとした結果です。これを非難するのは、選ばれなかった側、「負け馬」側の党派的な主張に過ぎないでしょう。
問題があるとすれば、参院選直前にわずか3議席獲得の都議選結果を過大に伝え、半ば勝ち馬を作りあげたメディアであり、何より勝ち馬として選ばれるだけの材料を提示できなかった各党ということになるでしょうか。ともかく、非難すべきは有権者ではありません。
「就職氷河期世代」は政権交代選挙を経験している
一方、「選挙に行ったこともない」という見方は、身の回りの目立つ例に基づいた印象論に過ぎないように聞こえます。30代くらいまでであれば確率的に常時棄権層の割合は高いかもしれませんが、それはどの党でも一緒です。もし中高年が「選挙に行ったこともないオマエらが~」と言っているのを見かけたら、「あなたみたいのが投票に行ってたから今みたいな政治になってるんですね」とでも言っておきましょう。
10回以上の国政選挙を経験している30代後半より上になってくると、全く投票したことがない層が投票に行くという事象はかなりレアと考えられます。マス・メディアでは出口調査における40代、50代を「就職氷河期世代」と言い換えた上で、この年齢層での参政党得票率の高さを指摘していました。総務省が抽出集計する今回参院選の年代別投票率についてはまだ明らかになっていませんが、仮にこれら中年層の投票率が上昇しているのなら、これは初めてのことではありません。
図表3は、2024年時点の年齢別に過去の選挙の投票率を示したものです。たとえば2024年に40歳だった投票者は2005年衆院選では概ね21歳でしたから、2005年の21歳投票率を40歳のところに置いています。

黄色の枠で囲ったのが、参政党に投票したボリュームゾーンとされる40歳代、50歳代です。この枠内には、2005年、2009年の衆院選の折れ線も入ってきています。つまり、40歳代、50歳代の中年層は、67.5%、69.3%という高投票率を記録した両選挙で、投票権を持っていた人々ということになります。
この折れ線を見ると、2024年から見て15年前の2009年衆院選で、この年齢層の投票率が24年衆院選よりも概ね高かったことがわかります。昨年40歳だった人々の投票率は、25歳の時の投票率とあまり変わりません。現在の30代後半の人々も、15年前と投票率がほぼ同じです。45歳以上になると15年前の投票率が高くなり、50代は平均10ポイント、2009年(35歳~44歳)のときのほうが高くなっています。
そして、同じ年齢層の2009年の投票率は、いわゆる郵政解散で行われ、あれだけ盛り上がったとされた2005年衆院選からさらに跳ね上がっています。仮に今回の参院選で40歳代、50歳代の投票率が上昇していたとすれば、2009年衆院選で政権交代に積極関与したこれらの層が再び動いた可能性があります。この点を確認するためには有権者レベルのデータが必要ではありますが、先に述べた「投票にも行ったことがない有権者が~」という議論に疑義を呈するにはこれで十分でしょう。2009年衆院選を含め棄権し続けた層が今になって初めて動いたことを示すデータが提示されない限り、ですが。
しかし、参政党投票を「勝ち馬に便乗した」と批判をしている方々は、2009年の若年・中年層の民主党への投票について、やはり「民主党という勝ち馬に便乗した」とか非難するのでしょうか? それができないなら、やはり「勝ち馬」に乗った批判は党派的な言説に過ぎないのだと思います。
投票率上昇の意味
導入のわりに長くなってきたので多少まとめに入ります。あくまで仮説ですが、今回の投票率の上昇は、全く政治に関心がないような層ではなく、これまで投票したり棄権したりしていたような中低関心層の投票率が多少上がったことによって生じたのではないかと筆者は考えています。投票に全く行かないような人々まで動員したのなら、上昇幅は数ポイントでは済まなったでしょうから。
とはいえ、今回の選挙で投票率が上昇したことは非常に重要なことです。図表4に示すように、58.5%は参院では第1次安倍内閣が敗北した2007年の58.6%以来、衆院でも民主党が下野した2012年の59.3%以来の高い数字です。

第2次安倍政権とこれ以降の自民党政権は、政党間関係の差(自公協力と野党分立)、低投票率、選挙制度のおかげで政権を維持し続けました。低投票率と大勢力有利な選挙制度を背景として、野党が協力的であれば自公は議席を減らし、非協力であれば自公は議席を増やすという大まかな傾向で推移していました。
野党側がこれを崩すには、得票率を伸ばす、つまり支持率をもっと上げる必要があり、そのためには若年層を中心とする棄権層を開拓して支持層に変えていくことが必要だというのが、これまで筆者が言い続けてきたことです。もっとも、既存各党の政治家は党内党外の政局に忙しかったようで、いかに相手の票を奪うのか、利用するのかばかり考えていたように思います。
その意味で今回の参院選は、政界の中だけで政治をやろうとしてきた政治家に対する軽いジャブのようなものではないか――これが今のところ筆者が考えている今回参院選の意義です。
52.1%から58.6%という少々の投票率の上昇で選挙結果は激変するものです。さらに5ポイント、10ポイント上がるくらいに人々を投票所に向かわせる動きが起きれば、日本の政治の風景は全く変わるでしょう。
当然、これは参院選の評価であり、参政党や国民民主党など票を伸ばした政党の政策や訴えの評価でないことは言うまでもありません。しかし、これらの政党が棄権層を開拓したというのなら、そこにヒントがあるでしょう。投票者や有権者を非難するだけでは、何も学べません。
なお、参政党や国民民主党の具体的な政策なり訴えが、棄権層の開拓による投票率上昇を生んだと考えるのは早計です。実際には、参政党や国民主党への投票が直接投票率を上げたというよりは、各地の選挙区が激戦になり関心を高めたこと、さらに与野党逆転が起きるかもしれないという全体の情勢を受けて選挙自体への関心が高まった部分も大きいでしょう。その場合も、激戦を生み出したのが両党だとすれば、因果関係が直接か間接かの違いでしかないのですが、「排外主義的な訴えが有権者を投票所に向かわせた」といった短絡的な理解を封じるために念のため述べておきます。
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2007年参院選の総括の誤りに関しては、菅原琢『世論の曲解』(光文社新書、2009年)参照。2021年衆院選の「野党共闘」の効果に関しては、菅原琢「小選挙区比例代表並立制における野党共闘—2021年衆院選分析」(『生活経済政策』2022年1月号)参照。http://www.seikatsuken.or.jp/database/files/n202201-300-003.pdf
参考になるのは、東京都議選について分析した社会調査支援機構チキラボの次のレポートである。
参政党は東京都の有権者に「しっかり」理解されている?〜参政党への投票行動を分析する①https://www.sra-chiki-lab.com/250703report/
参政党に投票したのは、どんな人なのか 〜参政党への投票行動を分析する②https://www.sra-chiki-lab.com/250709report/
これらによれば、都議選での参政党投票者は政策的主張や保革イデオロギーの傾向などから「自民党、国民民主党など他の政党と比べても、極めて保守・右派的であるという自認を持つ人が多かった」とされ、「前の都知事選で「田母神俊雄」「桜井誠」を合わせると25.7%」つまり4分の1が両氏に投票したとされている。
ただし、これらの層は都議選の参政党投票者の一部の傾向であり、さらに都議選は参政党が全国的に注目を集める前の段階である。したがって、支持急拡大前の投票者層の一定部分が「極めて保守・右派的」だったということであり、参院選投票者でこの層の割合は低下するだろう。
※※※2025年8月1日訂正※※※
この個所に、スクリーニングの際に選挙区別で選択肢を設定できないために参政党不出馬区の支持者も含まれている可能性があるのではないかとする記述がありましたが、社会調査支援機構チキラボ所長の荻上チキさんから、スクリーニング段階で選挙区と投票先を聞いたうえで、参政党出馬地域で参政党に投じた人を抽出しているとご説明をいただきましたので、該当記述を削除いたしました。ご連絡、ありがとうございました!
「自民保守系 安倍政権下の6年前から得票47.5%減 岩盤支持層離反が鮮明 参院比例」『産経新聞』2025年7月21日配信、https://www.sankei.com/article/20250721-TWTYEWMAVNDGJBOF7EIA4CUTNQ
産経新聞の分析では両年選挙で票を合算する候補が入れ変わっており、継続候補の中でも得票数変動がバラバラであり、支援組織の変更や事情が想定される。このため、「岩盤保守」なるものの評価手法として当然ながら適切ではない。
この点で、次の記事が提供するデータは参考になる。
田中辰雄「参政党の支持者はどこから来たか?」https://note.com/tanakatatsuo/n/n995cf9b4fd63
この記事のネット調査を用いて作成した図8では、2021年自民党投票者から25年に参政党に票を移動させた層の保革傾向(時点不明)は、21年自民党投票者全体と広く重なっているが、その中で保守的傾向の強い層がやや多めの傾向も読み取れる。
産経新聞が想定する岩盤保守(極めて「保守的」な層と考えられる)がどのあたりでどの程度なのかは不明だが、少なくとも田中の示したデータからは中間層を含んだ広範な21年自民党投票層が移動していることになる。
そもそも参政党投票層は中年層以下が多いため、高齢層と異なり保革軸でその行動を説明することは難しい。したがって、定義不明な岩盤保守なるものに着目する価値はあまりなく、別の説明を探したほうが効率的と考えられる。
参考までに、各社の序盤情勢の与党に関する見出しの表現は、日経「自公で過半数うかがう」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA041LD0U5A700C2000000/、読売「自公の過半数微妙」https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20250704-OYT1T50195/、朝日「自公、参院過半数は微妙な情勢」https://www.asahi.com/articles/AST743QNRT74UZPS004M.html、毎日「自公苦戦、過半数の攻防」https://mainichi.jp/articles/20250706/k00/00m/010/166000c、共同通信「与野党議席、過半数競る」https://www.47news.jp/12815975.html、である。
前掲の田中「参政党の支持者はどこから来たか?」の図7は、ネット調査という留意は必要なものの、立憲民主党をはじめとする野党から参政党に票が流れたことを示している。この図によれば、2025年参院選における参政党比例区投票者の2024年衆院選比例区の投票先は、棄権27.4%、自民20.9%に対し、立民9.5%、維新8.0%、国民2.5%であった。野党3党のみで20%となり、参政、保守以外の他党を含めれば自民党を優に超える値となることから、参政党の躍進が自民党と同等かそれ以上に野党からの票の流入によって形成されたと述べることができる。
なお、情勢報道を分析した簡単な図表を国会議員白書の選挙情勢と結果のページにいくつか掲示している。https://kokkai.sugawarataku.net/special/ce27j.html
「就職氷河期の40~50代が参政に投票 国民民主は20代 出口調査」『朝日新聞』2025年7月20日配信、https://www.asahi.com/articles/AST7N2VKCT7NUZPS002M.html
筆者としては、こういう軽々な言い換えが理解を歪めると考えている。なお、同じ傾向を伝える日経新聞は「壮年層」という表現を用いていた。ただし、別記事ではやはり「就職氷河期」という言葉も使われている。
「参政党を壮年層が支持、国民民主党は若者中心 参院選出口調査から」『日本経済新聞』2025年7月27日配信、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232CV0T20C25A7000000/
ただし、参政党はより若年の年齢層でも国民民主党と並び多くの割合の票を得ている。
すでに述べたように、前掲田中調査での参政党投票者のうち、24年衆院選に投票していなかったのは27.4%であった。
菅原琢「2013年参院選結果分析――安倍内閣の基盤は磐石になったのか」『Voice』2013年9月号。