大阪はキタ・ミナミだけじゃない「ヒガシ」が熱い 公立大新キャンパス、新駅、アリーナ

9月に開学する大阪公立大の森之宮キャンパスの図書館。一般の利用も可能だ=大阪市城東区
いま大阪市の「ヒガシ」が熱い。有名な繁華街の2大巨頭「キタ」「ミナミ」に続き、大阪城の東側にある森之宮周辺が新たな「街」として生まれ変わろうとしている。9月に開学する大阪公立大の新キャンパスを中心に、令和10年には大阪メトロ「森之宮新駅(仮称)」が新設されるほか、駅ビルやアリーナをつくる構想も。将来的には大学をハブ(拠点)に、地域や企業と共同して新たなイノベーションを生み出す街づくりを目指している。

図書館やラウンジを一般開放
大阪城に近く、遺跡が眠るなど歴史を色濃く残しながら、オフィスや公共施設も設置される森之宮。今年7月発表の路線価では、府内で伸び率が最も大きいエリアとなった。新たにエリアの顔を担うのが、9月に開学する大阪公立大の森之宮キャンパスだ。
7月上旬、キャンパス内部が報道陣に公開された。広さ1万9千平方メートル、13階建てのキャンパスは「知の森」をコンセプトに、教室や実験室のほか体育施設やラウンジ、カフェを備える。1、2年の一般教養や文学部、食栄養学科などの約6千人の学生や教職員が通う予定。

9月に開学する大阪公立大の森之宮キャンパス=大阪市城東区
最も特徴的なのは「地域に開かれているキャンパス」であることだ。26万冊を擁する図書館は、登録をすれば一般市民も学生と同様にいつでも利用が可能になる。
大阪城を望める見晴らしの良いラウンジや展望テラスも一般に開放。イベント開催にも貸し出し、地域住民や企業らと連携して新たなイノベーションを生み出す試みなどを想定している。

大阪公立大森之宮キャンパスのラウンジ。一般の利用も可能=大阪市城東区
広場や中庭も利用でき、災害時には一時避難場所として活用する。また健康と福祉を目的に区役所や病院と連携し、運動教室や健康測定会などのイベントも実施する。
公立大の広報は「学生と地域住民が、ともに街を育てていくことを標榜(ひょうぼう)するようなキャンパスでありたい」と話す。
万博とつなぐ「東西軸」
このように開かれたキャンパスにしたのは、公立大を中心とした街づくりの構想が背景にある。
森之宮エリアは、JR環状線と大阪メトロが乗り入れ、交通の利便性が高い。しかし、ごみ焼却施設や府立成人病センターの跡地など大規模な未利用地があり、地域のポテンシャルを生かし切れていなかった。
そこで大阪府市は平成24年から、森之宮エリアの活性化を図るため、総面積約53ヘクタールという広大な土地の再開発に乗り出した。新大阪から天王寺までの「南北軸」に加え、大阪・関西万博が開催される夢洲を含むベイエリアと森之宮をつないだ「東西軸」を発展させることで、大阪市内全域の活性化をもくろむ。
令和元年に公立大が森之宮にキャンパスを構えることを表明したことで、大学を核とする街づくりを推進。都市部にキャンパスを構えることが民間企業や研究機関との連携を有利にし、公立大の学生からスタートアップ(新興企業)が出るようなイノベーションを狙っている。
空飛ぶクルマの離発着場も
新キャンパスを皮切りに、10年には大阪メトロ新駅や、これに伴う駅ビルを新設。収容人数1万人以上のアリーナ建設も予定する。将来的にはJR大阪城公園駅から大学までデッキでつないだり、空飛ぶクルマの離発着場を整備したりするなど、社会実験的な取り組みを行う構想もある。
大阪市の横山英幸市長は8月7日の定例会見で「森之宮は文化や学術、交通インフラが集積するエリア。新たにできる新キャンパスのリソース(資源)を活用し、文化の発展や大学発のベンチャーの拠点になれば」と期待を寄せた。(石橋明日佳)