高騰するロシア新兵の俸給:国内経済への悪影響も?
戦時経済に移行したロシア

いまや完全に戦時体制に移行したロシアの製造業は、ウクライナへの全面的軍事侵攻が始まってから3年以上が経過しても崩壊する気配はみせていない。だが、同時に前線における兵士不足も変わっておらず、新兵勧誘のためには手段を選ばない様子だ。
一時金が倍増

2023年夏、ロシア政府は新兵に支給される一時金を19万5,000ルーブル(約36万円)から40万ルーブル(約74万円)へと倍増させている。
平均月収の5倍

『ビジネスインサイダー』誌によると、これはロシアにおける平均月収の5倍に相当するという。経済的に取り残された地方の若者にとってはとりわけ魅力的だろう。
インフレを招く?

同誌はこれについて、こう分析している:「(軍の一時金があがったことで)民間企業との人手の奪い合いが熾烈になり、特にサービス部門における給与・価格の上昇を招いている」
強制的な徴兵には消極的

同誌によると、米国のシンクタンク戦争研究所は次のように指摘しているという:「現在の死傷率のままでは、ロシアは不足した兵士を補うためには強制的な徴兵を行わざるを得ない。だが、プーチン大統領は徴兵に対して非常に消極的な姿勢を示している」
100万人に迫る累計死傷者数

今年6月時点で、戦争研究所はロシアの累計死傷者数を95万人と試算している。
報酬上昇にも限界がある

戦争研究所によると、徴兵を行わない場合は「兵士の報酬を徐々に上げていくことになるが、現今のロシア経済ではそれも不可能」だという。
「ひとつのろうそくを両端から燃やしている」

戦争研究所のアナリストはまた、ロシア政府は「ひとつのろうそくを両端から燃やしている」ような状態だとも述べている。政府の放漫な金融政策が軍事費の増大を招いているからだ。これもまた、ロシア経済の不安定性を増加させることになる。
一時金の上昇がインフレやルーブル安を呼ぶ

実際、軍隊における人件費が維持不可能なほどに増大したことでインフレは加速し、消費者の購買力は低下、国際経済におけるルーブルの価値も下がっている。
一時的に経済成長するも

『Slate』誌によると、2023年および2024年において、ロシアはいずれも3%以上の経済成長率を記録しているという。ただし、現在はその傾向は和らいでおり、成長トレンドは一時的な現象だったともみられている。
バブルはすぐにはじけるのか

たしかに、軍事部門は政府の支出によって支えられており、公的資金が大量に投入されたことで消費が刺激されたのも事実だ。だが、『Slate』誌も言うように、「バブルはすぐにはじける」との指摘もある。
中央銀行は利上げを実施

同誌はこう述べている:「2023年中頃からロシア経済は過熱の傾向を見せており、ロシア連邦中央銀行は利上げを余儀なくされていた」利上げはインフレ抑制には効果的だが、成長を阻害することにもなる。
軍事部門と民間部門が分断される

ロシア政府にとっては侵攻を継続することが最重要である以上、予算は軍事部門に重点的に分配されることになる。それによって割を食う形になった民間部門はいっそう弱体化していく。
実体経済が弱体化

欧州シンクタンク「ブリューゲル」のレポートにはこうある:「軍事関連産業には貸し付けに対する補助金も出ており、公的市場に支えられてもいる。利上げは基本的に、戦争とは関係のない部門にのみ影響している」『ビジネスインサイダー』誌が伝えている。
軍事産業も人手不足に悩まされる

しかも、「ブリューゲル」によると、その軍事産業にさえ鈍化の兆しがみえているという。その原因は「供給面での制約」とされており、労働力不足が要因となっていることは間違いない。
慢性的な弱点が浮き彫りに

『Slate』誌は次のようにまとめている:「ロシアの選択は高くついた。武器輸出は減少、制裁の影響は強まり、労働政策の効果も薄い。戦争によって経済の崩壊を免れている一方で、慢性的な弱点が浮き彫りになってもいる。これは、一時的なばらまきで修復することは難しい」
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