競馬学校卒業生ゼロの「真相」…留年・退学が相次いだ42期生に起きた「異常事態」と騎手候補生が挫折してしまう理由

競馬学校の卒業生がゼロに

JRAの発表によると、千葉県白井市にある競馬学校の42期生7人のうち、4人が退学し3人が留年したため、来春に新人騎手としてデビューする者がいなくなったという。スポーツ紙の記者がこう補足する。

「あくまで『競馬学校の卒業生が来年春はいない』ということです。外国人騎手、地方競馬所属騎手などが受験する騎手免許試験(新規)の申込者数は9人であることを発表しましたし、そのうちのひとりが地方競馬(南関東)での短期免許を取得したミカエル・ミシェル騎手であることも分かりました。9人の中で合格者が出れば、来春JRAでデビューする新人ジョッキーはいることになります」

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最近では調教助手から騎手に転身した坂口騎手や、障害馬術の選手から騎手になった小牧加矢太騎手なども活躍中なので、昔より間口も広がったようにも思うが、

「それでも、1985年に競馬学校1期生を騎手として送り出して以降、卒業生がゼロだった年はありませんでしたし、JRAも『責任を重く受け止めております』とコメントしました。異例の事態といっていいですね」(前出・スポーツ紙記者)

退学や留年が相次ぐ

この状況で来年3月にどうなるかというと、見習騎手として減量の恩恵があった松本騎手、古川奈穂騎手の減量が切れ、新規の参入がないのだから単純に減量騎手の人数が減る。また、春や秋のローカル戦で行われている若手騎手限定競走(デビューから7年未満)にも、出馬投票できる人数が減少。ジワジワとだが影響が出てくることになる。某エージェントが言う。

「馬主や厩舎サイドでも、減量騎手を積極的に起用する人は多いし、小柄な馬や非力な馬、先行力のある馬に減量騎手を、というニーズはかなりある。もし地方騎手あがりや外国人騎手が騎手免許試験に受かっても減量は適用されないし、騎手の確保に困る陣営も少なくないだろう」

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しかし、そもそもなぜこんな事態を招いてしまったのか。スポーツ紙デスクが解説する。

「元々、競馬学校は合格率が10倍以上の狭き門で入学するのに苦労するが、本当に大変なのは入学後だね。一番が体重の管理で、伸び盛りの15、6歳の子供が筋力アップも図りながら減量していかないといけないから、そこで挫折してしまう子が多い。41期生をみても、9名が入学したが2名が体重オーバーで退学しているし、40期生も2名、39期生も1名が退学処分となっているから、厳しさがうかがい知れるよね。あとは、実際に馬に乗る騎乗訓練での負傷が、その後の授業に影響することも大きい。実際、古川奈穂騎手や角田大知騎手、木幡巧騎手なども授業での落馬による怪我で1年留年したし、発表された42期生の3人の留年も負傷によるものとの話。部位や程度によるが、骨折でもすれば最低でも2か月くらいは馬に乗れないし、授業での遅れがそのまま免許取得の遅れに繋がるから、デビューまでの道のりはやはり険しいよ」

「スマホの使い方」の問題も

先のスポーツ紙記者は「留年や退学が相次いだのはたまたまで、卒業者ゼロが続くことはないハズ」との見通しを話すが、昨今はまた別の問題が持ち上がっている。それが、一昨年に端を発して続々と発覚している「調整ルームへのスマホ持ち込み事件」だ。

JRAは「競馬学校では、以前から競馬学校生徒に対して、技術面はもとより、法令、規則及びコンプライアンスの順守・徹底について教育しており、各種事案発生時にはその都度徹底を図ってきたところです」とコメントしていて、通信機器等の使用についてより厳格な管理体制を敷いたと思われるが、

「『スマホ事件』の前から、ここ数年の競馬学校ではSNSの使い方やリスク、上手な付き合い方などを学ぶ授業はやっている。✕やインスタにアカウントを持っている騎手も多くなったし、巧くセルフプロデュースしている例もあるけど、一歩間違えばファンの反感を買ったり、発言によって炎上するケースもあったからね。競馬学校生に求められるルールやマナーは、昔より多くなっているのも確か」(前出・スポーツ紙デスク)

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それでも、騎手といえばやはり「競馬の花形」でもある。以前、現在は引退している元騎手と雑談していたときに「1着でゴールしたときの快感と、口取りの際の馬主さんや厩務員さんの笑顔、ファンからの祝福を一度でも味わうと、また勝ちたいとの想いが強くなりなかなか辞められなかった」と言っていて、それが非常に印象に残っている。騎手になる道は平坦ではなく厳しく険しいものだと思うが、怪我やルールの順守などで心が折れず、華々しいルーキーのデビューを待ちたい。