75歳、人生を豊かにするための「人づき合いルール」。無難な関係より深いつきあいを優先

昔なじみの友人との会話が、どこかものたりなく感じるようになった。そんな違和感を感じたことのある人も多いのではないでしょうか。75歳で現役バッグデザイナーとして活躍する江面旨美(えづらよしみ)さんもそうだった、といいます。これからの人づき合いを見直し、自分のために人生を整えていきたいと考えるようになった江面さんが、70代の今だからこそ見えてきた「人生を豊かにするための暮らし方」について、教えてもらいました。

※ この記事は『75歳、心が弾めば人生は楽しい』(KADOKAWA刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています

【写真】75歳・江面さんの「推し活」セレクション

75歳で現役バッグデザイナーの江面旨美さん

75歳、これからのおつき合い

シニアになると、人づき合いもマンネリ化して、少々面倒になってきます。これまで、学生時代の気のおけない友人たちと数か月に1回ランチ会みたいな集まりをやって、私も参加していました。

楽しいようで、案外しゃべることはつまらないんです。昔話や、どこそこのランチおいしかったわよ、なんて、その場で盛り上がって笑っておしまい。なんだかねぇ…と思うことが増えました。

仕事でのおつき合いも、信頼は築けても、打ち解けて話せる関係には意外になりにくいものです。不特定多数の関係は、最大公約数の話題しかありません。差しさわりのない平々凡々とした会話で終わります。

これからは、友達関係は1対1。共通の趣味やテーマを通して、互いに刺激し合える友人を開拓していきたいと思う日々です。

江面さんがよく聴く音楽や落語のCD。スタン・ゲッツ、アート・ペッパー、ジョン・ルイス、桂文楽、柳家小三治

たとえば、落語通と友達になってレクチャーを受けてみたい。歌舞伎鑑賞も、それぞれひいきの役者がいて、あれよかったわよ、だったら私も観るわというような、あうんの呼吸で楽しめる友人がいるといい。

社会で起こっている問題も、あの人があんな意見を言っていたからと関連本を読んでみようとか、旅に出て、お互いにその旅のエピソードを報告し合うのもおもしろそう。

球を打てば、打ち返してくるようなおつき合いがいいなあと思うのです。

そして、これからの残された時間を見据えて、私の年代なりの「これからどう生きていくか、いかに人生を楽しむか」というところまで、心を開いて深いおつき合いができたなら、70代後半からの人生の時間は、もっと豊かになっていくのではないかしら。

そんな期待をしています。

“DIE WITH ZERO” の考え方

“DIE WITH ZERO”。今、注目されているアメリカのベストセラー本のタイトルです。翻訳すると「ゼロで死ね」。死ぬまでにお金を使いきってしまいなさい、という生き方の新しい提案なのだそう。

こんな話を聞いたことがあります。

20万円を好きに使っていいけどなにをしたいかというときに、アメリカ人は「家族で山に行こう」となるけれど、日本人は、家族4人で分けて、ひとり5万円ずつ好きに使いましょうになるんですって。

私も、山分けしちゃうかも。そうして、ひとり旅に使っちゃうでしょう。

でも、アメリカの「お金は、ものより家族で思い出づくり」の考え方に、今の私は大いに共感します。

施設にいる伯母を介護していた頃。99歳で亡くなる1年前、伯母は寝てばかりの状態でした。でも、その寝顔はいつもなんとなくニコニコしているんです。声をかけると、ふっと目を開いて、あら来たのねって、またニコニコ。

楽しかった出来事を夢うつつに思い出しているのかしらと思って、ほっこり心が温まるようでした。

人生の最晩年に見せた伯母の明るく穏やかな笑顔は、私の目標です。

「思い出づくり」をするつもりで日々を過ごしたい

日本人は、子どものためにお金を残そうとする傾向があるようですが、わずかばかりのお金を残してありがたがられるよりは、潔く自分のためにお金を使いきったほうがいいのかもしれません。

思い出をつくって、死に際に、私の人生まあまあだったなと思って旅立ったほうがいい。

現実にはなかなかそうもいかないわけですが、思い出づくりをするつもりで、日々をアクティブに過ごしたいものです。

私は、やっぱりひとり旅。好きなところへ行って、好きなものを食べて、ちょっとしたアクシデントも楽しんで。帰ってから、そして死に際まで、ひとりニンマリ思い出して楽しむつもりです。