トランプ政権の新たな反移民政策:技術者向けビザの手数料を10万ドルに値上げ
新たな移民抑止策

トランプ米大統領は9月19日、H-1Bビザ(技術者向けの就労ビザ)の申請にかかる手数料を年間10万ドルに引き上げる大統領令に署名した。
懸念を示す企業

この動きを受け、H-1Bビザによって就労した外国人従業員を抱える米企業には動揺が走った。その後、ホワイトハウスは財界の懸念を払しょくするコメントを行ったが、企業側は選択を迫られることになりそうだ。
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もっとも影響を受けるのはハイテク産業

H-1Bビザによる外国人労働者をもっとも多く抱えているのはハイテク産業だ。トップ10にはタタ・コンサルタンシー・サービシズやコグニザントなど、多国籍企業も複数名を連ねている。なお、このグラフには、すでに米国に滞在している就労者とビザを更新中の就労者の両方が含まれている。
画像:米移民局(USCIS)
ハイテク産業だけというわけでもない

トップ10にはハイテク産業以外の事業を営む企業も含まれているが、ハイテク企業に比べると外国人労働者の雇用数が少ない傾向にある。さらに、全従業員の中でH-1Bビザによる外国人従業員が占める割合は高くないのが一般的だ。
昨年の発行・更新件数は40万件

『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によれば、2024年に発行・更新されたH-1Bビザは合計およそ40万件で、その大部分はすでに米国に滞在している外国人労働者を対象としたものだという。なお、H-1Bビザの新規発行数は年間8万件までと定められている。
全労働者数に占める割合は1%未満

H-1Bビザを発給された外国人技術者が米国の全労働者数(1億7,100万人)に占める割合は1%未満に留まっている。
大多数がインド出身

米国移民局のデータによれば、このビザを発給された外国人労働者の70%あまりはインド国籍、次いで12%が中国籍だとされている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じた。
フィリピン国籍やカナダ国籍も

さらに、フィリピン国籍やカナダ国籍が続くが、両国の出身者を合わせて中国人労働者の4分の1程度だ。その他の国々については、すべて合計してもおよそ12%に過ぎない。
STEM分野に携わる労働者

広い枠組みで見ると、H-1Bビザによる外国人労働者はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に携わっているケース(およそ10万人)が多く、いわゆるエンジニアのほかに大学教授や研究者なども含まれている。
その他の分野

また、STEMに続く4つの分野(製造・情報・金融・教育)はH-1Bビザによる外国人労働者を合計11万7,000人抱えている。
トランプ大統領の主張

ニュースサイト「Politico」によれば、トランプ大統領は米企業が安価な労働力を手に入れるためにH-1Bビザ制度を悪用し、米国人労働者に悪影響を与えているとして、ビザ申請料の引き上げを正当化したという。
安価な労働力ではない

ただし、データはトランプ大統領の主張とは食い違っている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙いわく、このビザを発給された外国人労働者の年収は中央値が12万ドルとなっており、全労働者の中央値のほぼ2倍に相当する。つまり、安価な労働力などではないということだ。
賛否両論

今回の措置はハイテク業界内で議論を巻き起こしている。一部のCEOが大統領令を歓迎する一方で、人材確保の面で懸念を表明するCEOも少なくない。
現行のシステムに対する不満

トランプ政権の決定に好意的なCEOの多くは、申請料の引き上げをきっかけとして現行の抽選制度が廃止へと向かい、本当に外国人労働者を必要とする雇用者のもとに彼らがやってくるようになると考えているようだ。
10万ドルでビザが保障されるなら安いもの?

たとえば、リップリング社のCEOパーカー・コンラッド氏は「もし、10万ドルでビザ取得が保障されるというのなら、わたしは喜んで支払いますよ」とコメント。同社は昨年、H-1Bビザを65件申請したが、発給されたのはわずか12件だったという。
苦悩するスタートアップ企業

一方、スタートアップ企業のCEOらは『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に対し、申請料の引き上げはそれを負担することができる大企業に有利なシステムであり、新興企業は人材確保が難しくなると懸念している。
米国人労働者に対する影響

また、同紙によれば、この件については専門家らの間でも賛否両論が別れているそうだ。もちろん、申請料の引き上げによって、IT系の米国人新卒者が就職先を見つけやすくなるだろう。その一方で、H-1Bビザを発給された外国人労働者は企業の生産性を上げるだけでなく、他の労働者にとってのチャンスを生み出しているとする研究もあるのだ。
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