新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」初飛行まで2週間/H3ロケット「30形態」は燃焼試験を再実施へ
JAXA=宇宙航空研究開発機構の新型宇宙ステーション補給機1号機「HTV-X1」打ち上げ予定日まで、あと2週間ほどになりました。
HTV-X1を搭載した「H3」ロケット7号機の打ち上げ予定日時は、日本時間2025年10月21日10時58分頃。ISS=国際宇宙ステーションに物資を補給した後も、独自のミッションを実施できるHTV-Xの初飛行に注目です。
新型宇宙ステーション補給機HTV-Xとは
HTV-Xは2020年まで運用されていた宇宙ステーション補給機「HTV(こうのとり)」の後継機として開発された無人補給機で、主にISSへの物資輸送を行います。貨物の搭載能力はHTVが質量4トン・容積49立方mだったのに対し、HTV-Xでは質量5.82トン・容積78立方mと1.5倍ほどに向上しています。

【▲ 新型宇宙ステーション補給機1号機「HTV-X1」。2025年6月の機体公開時に撮影(Credit: JAXA)】

【▲ 新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」のCGイメージ(Credit: JAXA)】
ISSへの物資補給ミッションにおける係留期間は最長6か月間ですが、HTV-XはISS離脱後も最長1.5年間にわたって単体で飛行が可能。物資補給を終えた後は、技術実証や実験に対応する軌道上実証プラットフォームとしてのミッションを行えるように設計されています。
H3ロケット7号機で打ち上げられるHTV-X1ではISSへの物資補給をはじめ、ISS離脱後には超小型衛星放出、展開型軽量パネルの挙動・構造特性計測および平面アンテナの通信実験、次世代宇宙用太陽電池の実証試験、小型リフレクターを用いた衛星レーザー測距の実証実験が、ISS離脱後の約3か月間にわたって行われる予定です。
H3ロケット最大の打ち上げ能力「H3-24W」形態も初飛行

【▲ H3ロケット7号機で初飛行する「H3-24W」形態の説明図(Credit: JAXA)】
また、H3ロケット7号機の打ち上げは、「H3-24W」形態の初飛行でもあります。H3-24WはH3ロケットで最も打ち上げ能力が大きい形態で、1段目エンジン「LE-9」が2基、固体燃料ロケットブースター「SRB-3」が4基、ワイドフェアリングが用いられます。
ちなみに、H3ロケットは2023年3月の試験機1号機から2025年2月に打ち上げられた5号機までは、すべて「H3-22S」(1段目エンジン「LE-9」が2基、固体燃料ロケットブースター「SRB-3」が2基、ショートフェアリング)が使用されてきました。

【▲ H3ロケットの機体形態一覧。5号機までに飛行したのは左から2番目の「H3-22S」で、HTV-X1を搭載する7号機の「H3-24W」は右端の「H3-24L」に近い構成(Credit: JAXA)】
SRB-3を用いない“30形態”は燃焼試験を再実施へ
H3ロケットに関しては、日本の大型ロケットとして初めて液体燃料ロケットエンジンだけで発射される「H3-30S(30形態)」の開発が進められています。
H3-30SはH3の各形態のなかでも打ち上げコストが最も低いとされていて、衛星をより安価に軌道へ投入できるようになると期待されています。H3ロケット6号機が「30形態試験機」として打ち上げられる予定です。
2025年7月24日には種子島宇宙センターで1段目実機型タンクステージ燃焼試験「CFT(Captive Firing Test)」が実施されました。3基のLE-9エンジンは計画通り25秒間の燃焼を実施したものの、対策を要する事象が確認されたことから、改めて燃焼試験が行われる見込みです。

【▲ 2025年7月24日に実施されたH3ロケット6号機(30形態試験機)の1段目実機型タンクステージ燃焼試験「CFT」の様子(Credit: JAXA)】
2025年9月29日に開催された文部科学省宇宙開発利用部会にJAXAが提出した資料によると、CFTのデータを詳細に分析したところ、エンジン燃焼の後半において、1段目の推進剤である液体水素と液体酸素のタンク圧力が不足する事象の発生を確認。原因究明の結果、タンクの加圧不足はH3-30S形態特有の構成が要因となって発生したことが特定されました。
JAXAによると、H3-30Sでは3基のエンジンのうち1基(No.3エンジン)からタンクへの加圧系統に流量を切り替える弁が備わっておらず、このエンジンからの加圧ガスは常に小流量で供給されていました。加圧ガスの量にもともと余裕が少なかったことに加えて、他の形態と比べて加圧効率が低くなったことが要因となって、タンクの加圧不足に至った模様です。
対策案として、加圧ガス流量の増加やタンク圧制御計画の見直しなどが検討されていて、検証を行うためにCFTの再実施が必要になる見通しです。
なお、打ち上げが近い7号機のH3-24Wを含む他の形態については、構成の違いや飛行実績などから問題ないことが確認されているということです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
・JAXA - H3ロケット7号機による新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)の打上げ
・JAXA - 新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)× H3ロケット7号機(ファン!ファン!JAXA!)