高市早苗 自民党新総裁誕生のウラ側で…″落日″小泉進次郎農相「敗戦翌日のたそがれ夫婦散歩」

総裁選を終えた直後、思わず笑みがこぼれた高市氏。その足で「報告会」に向かい、自身を支持した国会議員を前に挨拶を行った

「大逆転劇」の舞台裏

「高市新総裁、バンザーーイ!」

10月4日の夕刻――自民党本部から徒歩3分の距離にあるビルの500人収容の大ホールは、割れんばかりの拍手に包まれていた。開催されていたのは「チーム・サナエ報告会」。司会の生稲晃子外務政務官(57)はマイク片手に何度も「新総裁」と連呼しては会場を盛り上げた。

ひときわ大きな拍手が送られたのは総裁選の票集めに奔走した「旧安倍派5人衆」の萩生田光一元政調会長(62)と西村康稔元経産相(62)の二人。その直後、ついに″主役″が登場。壇上に上がるや、高らかに勝利宣言を行った。

「総裁として今後何をしなきゃいけないのか、党職員に先ほど聞いたところ気が遠くなりました(笑)。これからが大変。しっかり党を立て直し、不安を希望に変えていく」

その後、全員で万歳三唱が行われた。萩生田氏や西村氏も大手を振って壇上に立ち、万歳に興じた――。

10月4日、自民党総裁選の投開票が行われた。高市早苗氏(64)は小泉進次郎農相(44)との決選投票を制し、第29代自民党総裁に就任。70年にわたる党の歴史の中で、初めての女性総裁となった。

「『9割方、進次郎が勝つ』と言われた戦況をひっくり返したのが麻生さん(太郎・85)でした。1回目の投票で敗れた茂木さん(敏充・70)と小林さん(鷹之・50)を抱き込み、決選投票で高市さんを支持。大逆転劇を裏で主導しました。

高市支持の端緒となった出来事があります。9月30日、高市さんは麻生さんのもとを訪ね、郵政民営化の際にできた小泉純一郎元首相(83)と麻生さんの確執を引き合いに出し、自分は麻生さんの盟友・安倍晋三元首相の路線を継承すると訴えたそうです。

決選投票で敗れた前回の総裁戦を受け、高市陣営は『根回しに終わりなし』を掲げ、直前まで総出で態度保留の議員に電話を掛け続けるなど余念がなかった。9月には高市さんが大ファンの阪神タイガースがリーグ優勝しましたが、浮かれムードにならないよう、高市さん自らその話題を封印したそうです」(全国紙政治部記者)

露骨な論功人事に批判が

10月6日に発表された党役員人事は、露骨なほどの論功行賞の場となった。

「麻生さんは副総裁に就き、主流派に返り咲きました。さらに義弟の鈴木さん(俊一・72)が幹事長に、麻生派の有村さん(治子・55)が総務会長に就任した。党内では『事実上の麻生政権だ』との批判が上がっています。麻生さんは笑いが止まらないでしょう」(同前)

「勝てば官軍、負ければ賊軍」が永田町の掟。石破政権下では主流派だった岸田文雄元首相(68)や菅義偉前副総裁(76)、森山裕前幹事長(80)らの影響力は一掃された。そして、敗軍の将には厳しい現実が待っていた――。

総裁選翌日、斜陽が差し込む高級住宅街を散歩する夫婦がいた(2枚目写真)。進次郎氏と妻・滝川クリステル(48)だ。

家族との束の間の時間のはずだが、二人の間には微妙な距離が開き、会話はない。いかに”おもてなしの人”滝クリといえど、総裁のイスを目の前にしながらドン底に落ちた夫に対し、なんと声をかけていいのか戸惑っていたのかもしれない。

事実、進次郎氏の眼前には長く暗いトンネルが待っている。時事通信解説委員を務める山田惠資(けいすけ)氏が分析する。

「2人の総理経験者、3人の元総裁選候補という後ろ盾がありながら敗れた。これはもう彼の政治能力が疑問視された結果です。決選投票前の最後のスピーチでも、『皆さんありがとう』と感謝するだけで具体的な国家像を示すことができなかった。

44歳とまだ若いがすでに当選6回で新鮮味はなく、今後は当選5回の小林さんが世代交代の旗頭になっていくと思います。進次郎さんは再び長い時間をかけて実績を積み上げていくしかない」

7日に行われた定例記者会見で、高市総裁から「農相続投の打診はなかった」と明かした進次郎氏。”次期総理”の芽も完全に潰えてしまった。

 

住宅街を散歩する進次郎夫妻。眼鏡にポロシャツとリラックスした装いだが、敗戦のショックからか表情は浮かない

総裁選を終え、党本部をあとにする麻生副総裁。義弟が幹事長に就くなど、”第二次麻生政権”の成立に笑みを浮かべる

『FRIDAY』2025年10月24・31日合併号