激化する覇権競争で、軽視される国連:分担金の滞納を常習化する米中
緊縮財政を迫られる国連

創設80周年を迎えた国連はいま、深刻な資金難に見舞われており、抜本的な緊縮財政は避けがたい状況だ。一体、どうしてこのような事態に陥ってしまったのだろうか?
未払いの分担金は24億ドル

2025年の国連予算は35億ドルとなっていたが、5月中旬の時点で加盟国から集まった分担金は合計18億ドルに留まった。BFM放送によれば、未払いとなっている分担金の総額は、昨年のものも合わせると24億ドルに達するという。
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分担金の支払いを拒否するトランプ政権

国連がこのような苦境に陥った原因はおもに、米国のトランプ政権にある。米国の分担金は国連予算の22%を占めるが、トランプ氏がホワイトハウスに舞い戻って以来、米国は1セントも拠出していないのだ。
中国も支払い遅延

一方、分担金比率2位の中国も支払いが遅れ気味だ。中国の場合、これは国連に圧力をかけるための戦略だが、2024年の分担金(4億8,000万ドル)は年末になってようやく支払われる始末だった。
予算を前年比で15%削減

このような状況を受け、緊縮財政を迫られた国連は2026年の予算を前年比で15%削減すると発表。
グテーレス事務総長の訴え

同時に、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は加盟国宛ての書簡の中で、緊縮財政の必要性を認めつつ、世界平和と安全保障・人権・持続可能な発展という3つの使命をバランスよく実現することが大切だと訴えた。
「UN80イニシアチブ」

さらに、国連はいま、「UN80イニシアチブ」に取り組んでいる。国連広報センターによれば、これは「国連システム全体を挙げた取り組みであり、業務を効率化し、影響力を強化」するためのものだという。
職員2,680人を削減

この取り組みの一環として、国連は事務職員の19%に相当する2,680人を削減することになっているほか、BFM放送によれば、「オフィスの閉鎖や一部サービスの統合も検討されている」とのこと。
事務局の移転

また、現在はニューヨークとジュネーブに置かれている事務局をナイロビ(ケニア)をはじめとする、物価の低い都市に移転させる計画もある。
コストカットのあおりを受ける人道支援活動

問題はこういったコストカットによって、国連にとって重要な使命である人道支援活動の規模を縮小せざる得なくなっていることだ。実際、人道支援活動に当てられる予算は年間440億ドルから290億ドルまで減らされてしまった。
深刻な影響

その結果、国連による人道支援の恩恵を受けられる人々の数は1億8,000万人から1億1,400万人に減少するものと見られている。さらに、世界食糧計画(WFP)に提供される資金は40%も削減されてしまった。BFM放送が伝えている。
打撃を受ける最貧国

このようなコストカットによって、大きな打撃を受けるのは最貧国だ。実際、バングラデシュでは結核対策プログラムが打ち切られることになっているほか、アフガニスタンでは医療施設400ヵ所がすでに閉鎖されてしまった。
各国で台頭する野心的なリーダーたち

主要国が国連分担金の拠出を出し渋っているのは、各国で野心的なリーダーが台頭し、国際協力よりもパワーゲームに熱中しはじめたからでもある。
トランプ流「ディール」

たとえば、トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、相手国との「ディール」によって米国の利益を最大化することを好んでいるが、こういったやり方は国連の枠組みを無効化してしまうおそれがある。
中国も同じ穴の狢

一方の中国も負けてはいない。BFM放送いわく、習近平政権は「政治的な不適合」を口実として、自国の利益にそぐわないNGOへの資金提供をストップしているのだ。
憂慮すべき事態

世界の超大国が覇権競争に乗り出したことで生じた国連の財政危機。しかし、そのしわ寄せを受けているのは、これまで人道支援によってなんとか生活を営んできた恵まれない人々だ。
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