ボグダン・フメリニツキー大隊:ロシア側に寝返ったウクライナ人捕虜たちをめぐる疑惑
世界を驚かせたニュース

少し古い話になるが、ロシア国営メディアが2023年11月に、ウクライナ人の捕虜らがロシア軍に加わり、母国と戦いはじめたと報じたのを覚えているだろうか?
ロシア国営メディアによる報道

戦争研究所は当時、ロシア国営のロシア・ワン放送およびRIAノーボスチ通信が報じたこの状況について、国際法違反にあたると指摘した。
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ジュネーブ条約違反

戦争研究所いわく:「ロシアはウクライナ人捕虜からなる大隊をウクライナの前線に派遣した。ロシアは捕虜の待遇に関するジュネーブ条約にたびたび違反してきたが、これはそのことを裏付ける新たな例だ」
ロシア側の主張

一方、ロシア国営メディアは以前から、ウクライナ人捕虜をロシア軍に引き入れてウクライナ軍と戦わせる計画があると報道。ウクライナ人捕虜らは自発的にロシアの味方をしていると主張していた。
戦闘中のロシア軍部隊と合流

RIAノーボスチ通信は当時、ロシア当局の計画として、ドネツク州とザポリージャ州の前線ですでに戦闘を行っているロシア軍部隊にウクライナ人捕虜らが合流する予定だと伝えた。
「ゼレンスキー政権からウクライナを解放」

ロシアメディア側の主張によれば、ウクライナ人捕虜たちはゼレンスキー政権から母国を解放するためにロシア軍に加わったとされ、ウクライナとロシアはひとつの民族だと思うという、捕虜の声も紹介された。
ゼレンスキー大統領は終戦を見届けてから辞任する意向

ウクライナ人捕虜がロシア軍に加わったというニュースから2年あまりが経過した今も、ゼレンスキー大統領は依然としてその地位を保っている。ただし、同大統領はロシアとの戦争が終わり次第、辞任する意向だ。ロイター通信が報じている。
ボグダン・フメリニツキー大隊

一方、ロシア軍は2023年にボグダン・フメリニツキー大隊を創設。アンドリー・ティシチェンコという元ウクライナ軍の戦車部隊長を司令官に据え、ウクライナ人捕虜らを指揮させることにした。
ウクライナ人捕虜およそ70人が参加

ウクライナ人捕虜ら70人が2023年2月にボグダン・フメリニツキー大隊に加わって訓練を受け、同年11月にははじめて戦闘におもむいたとされる。ティシチェンコ司令官によれば、配下の兵士らにはもともと戦闘経験があったようだ。
ロシア連邦に忠誠を誓う

ボグダン・フメリニツキー大隊は2023年10月末に訓練を終え、隊員たちはロシア連邦への忠誠を誓い、出動命令に備えた。
ドネツク州に派遣

戦争研究所が2023年11月7日に行った発表によれば、ボグダン・フメリニツキー大隊は「OBTF カスケード」とともにドネツク州に派遣されたとされる。なお、「OBTF カスケード」はロシアエリートの子息が安全に兵役を果たすための部隊として知られている。
ジュネーブ条約違反にあたるという指摘

ロシア側は自国軍に参加するウクライナ人捕虜について、ロシア兵と同様の給与や福利厚生を受けられると主張。しかし、戦争研究所は捕虜を引き入れて戦闘を行わせることはジュネーブ条約違反にあたる可能性があると指摘した。
ジュネーブ条約とは?

ジュネーブ条約では、捕虜をとらえた側が彼らを戦闘に投入することが禁じられている。つまり、ロシアがかつてウクライナ軍に所属していた捕虜をロシア兵として使用することは、たとえ本人がそれを望んだとしても、戦争犯罪だとみなされる可能性があるのだ。
ウクライナ人捕虜が志願したというのは本当か?

そもそも、ウクライナ人捕虜らが自発的に志願してロシア軍に参加したというのは本当なのだろうか? 国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のユリア・ゴルブノワ上級研究員はロシア側の主張に懐疑的だ。
本当に自発的だとは考えにくい

同氏いわく:「ロシア当局は彼ら(ウクライナ人捕虜)が自発的に応じていると主張しているが、身柄を拘束されている捕虜の判断が本当に自発的だということは考えにくい」
「強制的なストーリー」の可能性

また、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のニック・レイノルズ研究員もAP通信に対し、「このストーリー全体が強制的なものである可能性がある」と述べている。
きわめて厳しい状況に置かれる捕虜たち

同氏いわく、捕虜は多くの場合、「きわめて厳しい状況に」置かれており、「主体的行動力」が制限されている。そのため、ウクライナ人捕虜が心から望んでロシア軍に参加したとは限らないのだ。
ドネツク州とザポリージャ州での戦闘

ニュースサイト「ビジネスインサイダー」によれば、ボグダン・フメリニツキー大隊はドネツク州とザポリージャ州に派遣されることになっていたようだ。なお、両地域はその数ヶ月前から激戦地となっていた。
今もウクライナで戦っているのか?

その後、ボグダン・フメリニツキー大隊に関する続報は届いておらず、現在もウクライナ領内でロシア側に立って戦闘を行っているのかどうかは不明だ。
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