凶悪犯罪者の帰還におびえるロシア地域社会:ウクライナでの戦闘参加と引き換えに、受刑者が恩赦されるため
帰還する大量の元受刑者

ウクライナにおける戦闘と引き換えに恩赦を受けるロシアの受刑者たち。前線での任務期間をまっとうしたり負傷したりすれば、地元に引きあげて来るため、ロシアの地域社会に新たな悩みの種をもたらすこととなりそうだ。
暴力犯罪の件数は61万7,301件

ロシア内務省によれば、同国内で昨年、発生した暴力犯罪の件数は61万7,301件。ここ10年間で最多だ。また、2023年にも58万9,000件の暴力犯罪が記録されており、2017年より15万件あまり増加したという。『ワシントン・ポスト』紙が報じた。
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受刑者12万〜18万人

ロシアの刑務所当局およびウクライナの情報機関によれば、ロシアは2020年以降、受刑者12万〜18万人を徴兵してウクライナに送り込んできたという。
ウクライナも受刑者を徴兵しているが……

一方、ウクライナ側も受刑者を入隊させているものの、ロシアほど無制限ではない。ロシアでは従軍さえすれば、いかなる犯罪であっても赦免されることになっているが、ウクライナの場合は多重殺人に手を染めた受刑者の入隊が禁じられているのだ。
帰郷した受刑者たちのケース

ここからは従軍後に故郷に舞い戻ったロシア人受刑者のケースを見てゆこう。たとえば、ロシア兵ドミトリー・マリシェフは頭部を負傷したため、ヴォルゴグラード州ラヒンカ村の自宅に戻ってきた。
画像:screenshot Novaya Gazeta
人肉食事件の犯人

マリシェフは知人を殺害して遺体を食べた上、2013年にも2人を殺害する事件を起こして拘禁刑25年を言い渡されていた。しかし、ウクライナとの戦闘に身を投じたことで、10年ほど服役しただけで出所してしまったのだ。安全保障問題を専門にあつかうメディア「Lawfare」が伝えている。
不安を感じる隣人たち

その後、地元の人々はSNSを通じてマリシェフの帰還を知り、不安を感じているという。
画像:Wikipedia
元妻とそのパートナーを殺害した犯人

一方、『ワシントン・ポスト』紙はキリル・チェプリギンのケースを取り上げている。この男は今年初め、シベリアにある都市アチンスクで元妻とそのパートナーを殺害し、逮捕されたという。
画像:Kanal13
恩赦に反対する地元の人々

その後、チェプリギンは投獄されるのを避けるために入隊を希望した。これを受けて、地元の人々はチェプリギンが「手を染めた蛮行を最後までやり遂げる」ために帰郷するのではないかとおそれ、オンライン署名サイト「Change.org」で恩赦を阻止する署名運動を始めたという。
妻を殺害した男

2021年にサラトフ市で妻を殺害し、拘禁刑9年を言い渡されたアザマト・イスカリエフ。しかし、刑期の3分の1も終えないうちに、ウクライナでの戦闘に身を投じた。
休暇中にふたたび事件を起こす

ところが、イスカリエフは休暇を利用して帰郷し、求めに応じなかった元恋人を60回にわたって刺すという事件を引き起こしてしまった。
どうやって受刑者を社会復帰させるのか?

ロシア社会は今後、戦場でトラウマを負った帰還兵に加え、恩赦された無数の受刑者を地域社会に復帰させるという難題に直面することとなる。
通常の兵士にとってもトラウマ克服は困難

そもそも、最前線でのトラウマは前科のない通常の兵士であっても、社会復帰をさまたげる原因になりうるのだ。
アフガニスタンからの帰還兵

実際、1989年に旧ソ連がアフガニスタンから撤退した際には、暴力に慣れきっていた帰還兵による犯罪がロシア国内で急増してしまった。
アルコール・薬物依存

当時、帰還兵のうちおよそ37万2,000人がアルコール・薬物依存に陥っており、1989年末までに殺人や強盗で有罪となった元兵士は3,700人に上ったという。ロシア紙『コメルサント』が報じている。
記録的なアルコール消費量

そして、現在のロシアはアフガニスタン撤退のころと似たような状況に置かれている。実際、2023年のアルコール消費量は過去最高の23億リットルに達し、前年比で4%増加したとされる。
部下にトラウマを植え付けるロシア軍司令官

ウクライナの前線で、ロシア軍の司令官らは部下に対する暴力的なパワハラを日常的に行っており、兵士らにトラウマを植え付けている。戦線を離脱した元ロシア兵のダニル・アヒポフは『ワシントン・ポスト』紙に対し、「(ロシア兵らは)PTSDを抱えています。そのせいで、非常に攻撃的になり、タガが外れた行動に出てしまうのです」と語っている。
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