エジプトの古代遺跡で明らかにされた砦跡の存在
発見された古代エジプトの砦

2024年9月のこと、ある考古学者チームがエジプト北東部にある遺跡で、古代の砦跡を新たに発見した。現場からは数多くの貴重な遺物も出土し、古代エジプトの王の名前が象形文字で刻まれた剣などが見つかったという。しかも、その多くは驚くほど良好な状態で保存されていたようだ。
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テル・アル・アブカイン遺跡で見つかった砦跡

新たな砦跡が発見されたのは、エジプト北東部に位置するテル・アル・アブカイン遺跡だ。最初に砦の遺構調査が行われ、その後、多くの貴重な品物が発掘されたのだ。
写真:Facebook @tourismandantiq
ほぼ同じようなつくりの構造物が発見

米誌『ポピュラーメカニクス』によると、発掘現場からは中央を走る小廊下と、左右ほぼ同じようなつくりに分けられた構造物が発見されたという。これらは貯蔵庫とみられ、そのうちの1つからは器類が出土したほか、食料品があったことを示す跡も見つかった。
写真:Facebook @tourismandantiq
砦のなかには貯蔵庫や兵舎があった

貯蔵庫には穀物やパンを焼くための陶器が保管されていたとみられ、3,200年以上前にそこで生活していた古代エジプトの兵士たちの日常生活を垣間見ることができる。また、この砦からは動物の骨や、牛が埋葬された痕跡も発見されている。
写真:Wiki Commons By Painter of the burial chamber of Sennedjem, The Yorck Project, Public Domain
牛は古代エジプトで重要な動物だった

牛の埋葬跡はそれほど重要なものではないと思うかもしれない。しかし、発掘を行う主任考古学者アハメド・エル・カラドリーによると、牛は古代エジプトでは非常に重要な動物とされていたという。
写真:Facebook @tourismandantiq
牛は豊かさや繁栄の象徴と考えられていた

科学専門メディア「ライブサイエンス」が取り上げた同氏の発言によると、古代エジプトで牛は「強さや豊かさ、繁栄」の象徴とされており、天上の神々の化身として崇められていたという。一方、砦で発見された牛は、兵士たちの食料として飼われていたものだと考えられている。
写真:Wiki Commons By Didia, Own work, CC BY-SA 3.0
食用の牛の骨も重要な象徴として保管されていた

同氏は、発掘現場で見つかった牛の骨は調理場近くで発見されたと指摘。「おそらく牛の骨はいくつかの部分に分けられ、乾燥させた後にサイロに保管されていたことがわかる」という。食用で牛を飼いつつ、繁栄の象徴として重要視していたことがわかる点で、当時の文化を知るための貴重な発見となったようだ。
写真:Facebook @tourismandantiq
青銅の剣が発見される

さらに興味深いのは、軍の兵舎から発見された青銅の剣だ。この剣には、エジプト新王朝時代で最も有名なファラオの1人であるラムセス2世の名が象形文字で刻まれていた。
写真:Facebook @tourismandantiq
ラムセス2世とは

米誌『スミソニアン』によれば、ラムセス2世(別名ラムセス大王)は紀元前1279年から1213年までエジプトを統治したエジプト第19王朝3代目の王。その名を刻んだ剣は、いくつかの観点から重要な考古学的発見だという。
重要な考古学的発見

「これはラムセス2世統治下のエジプト軍の戦略、特に兵站を理解する上で重要な発見だ」とメンフィス大学の歴史学教授で重要な発掘プロジェクトに関わってきたピーター・ブランドは「ライブサイエンス」に語った。
写真:Wiki Commons By Ahmed88z, Own work, CC BY-SA 4.0,
兵士たちは十分な装備をもっていた

「剣などの武具の発掘により、兵士たちが十分な装備をもっていたことがわかった。さらに、この砦で武器を製造していた可能性も示唆している」と同氏は指摘。王の名前が刻まれた青銅の剣については、「王室からの褒賞として高官に与えられた可能性が高い」と語った。
富、権力、寛大さを誇示する

同氏は、今回発見されたような剣は、その銘文によって所有者の威信を高めることができたほか、ファラオが自らの「富、権力、寛大さ」を誇示する意味があったと説明。
写真:Wiki Commons By youssef_alam, CC BY 3.0
敷地内からは他にも多くの品が発掘される

『スミソニアン』誌によると、この遺跡からは剣の他にも祭具や、洗面用具、象牙製の装飾具、ネックレスなど、多くの貴重な品が発掘されたという。
写真:Facebook @tourismandantiq
2つの重要な石灰岩ブロック

さらに、「ベイ」という名の無名の役人の名前が刻まれ、ラムセス2世について言及した文章が彫られた石灰岩のブロック2個も発掘された。その一方で、これらの発見によって新たに浮かび上がった謎があるという。
写真:Facebook @tourismandantiq
砦の防衛には成功したはず

「砦には多くの貴重な品が残っていたことから、駐留していた兵士たちは砦の防衛に成功したと推測できる」と『ポピュラーメカニクス』誌のティム・ニューカムは指摘。
写真:Facebook @tourismandantiq
どうして砦が放棄されたのかは謎のまま

「それにもかかわらず、何らかの理由でこの砦は放棄され、長い間忘れられてきた。つい最近になって専門家による調査が始まったばかりだ」と同氏は付け加えた。さらなる調査により、砦が放棄された理由が明らかにされることを待ちたい。
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