維新・藤田文武氏による「嫌がらせ」に失望の声 赤旗記者の名刺をSNSでさらし…立花孝志氏ばりの「犬笛」
自身の公設秘書の会社への税金還流疑惑報道を巡り、日本維新の会の藤田文武共同代表が、取材した共産党機関紙「しんぶん赤旗」記者の名刺をX(旧ツイッター)に投稿した問題。藤田氏は4日の記者会見で問題ないとの認識を示したが、政権与党の政治家によるどう喝とも受け取れる行為に、本当に問題はないのか。(加藤文)

「しんぶん赤旗の記事について」と題した動画の中で釈明する藤田文武氏(自身のYouTubeチャンネルより)
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◆「記者個人への攻撃や嫌がらせの危険性が」
問題の投稿があったのは10月30日未明。赤旗日曜版からの質問文に対する回答とともに、名刺の画像をXに投稿した。画像には記者名、所属部署、直通電話番号とファクス番号がそのまま記載され、記者の携帯電話とメールアドレスのごく一部を消していた。

公設秘書が代表を務める会社への支出について話す日本維新の会の藤田共同代表=4日、国会で(佐藤哲紀撮影)
藤田氏は4日の会見で「携帯電話番号は消し、メールアドレスのドメインも消している。それ以外は住所も含めて公開情報だ」と述べた。だが、赤旗日曜版編集部によると、取材部門の電話やファクス番号は一般には非公表という。
「記者個人への攻撃や嫌がらせを誘発する危険性がある。報道の自由を侵害する行為にほかならない」
◆「反論が目的なら名刺の投稿は不必要」
赤旗は4日、藤田共同代表に対し、名刺画像の削除と謝罪を求める申し入れ書を提出した。

赤旗の申し入れ書
日曜版編集部によると、5日夕までに、無関係の民間業者の問い合わせフォームに、名刺が公開された記者のメールアドレスを使って「日本維新の会に対する偏向記事を書かないで」などとメッセージを送ったとみられる自動返信が約5500件、記者のメールアカウントに送信された。日曜版編集部の直通番号に「記者を出せ」といった電話も30件以上あり、正常な業務を妨害されている。
上智大の奥山俊宏教授(ジャーナリズム)は「赤旗の報道に対する反論が目的なら、名刺画像の投稿は不必要で、記者に対する嫌がらせ目的と疑わざるを得ない」と指摘する。
◆犬笛による「攻撃」は取り返しの付かない事態を招く
政治資金の収支の公開は、政治資金規正法1条で「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」として制度化されており、名刺と併せて投稿した藤田氏の反論について「公開されているから適法だという理由だけで正当な批判を拒否するのは、まともな政治家のとるべき態度ではない」と批判した。
名刺画像の投稿を巡っては、SNS上で「犬笛だ」などと批判が相次ぐ。犬のしつけに使われる犬笛だが、特定の層にしか分からない言葉で人々を特定の方向に導く政治的な意味合いでも使われる。
犬笛による「攻撃」は、取り返しの付かない事態を招く。兵庫県の内部告発文書問題に絡む竹内英明元県議の死去だ。政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏を名誉毀損(きそん)容疑で刑事告訴した妻は今年8月の記者会見でこう訴えた。「夫は立花氏から黒幕と名指しされて、人々の憎悪の対象にされ、絶望して命を絶った」
◆「支持者に攻撃を促しているとも受け取れる行為」
ネットを通じて記者が攻撃対象になることもある。兵庫県の斎藤元彦知事に質問をした時事通信の記者への誹謗(ひぼう)中傷がSNS上で繰り返されているとして、日本新聞労働組合連合(新聞労連)は8月、「重大な人権侵害」などとする声明を公表している。

斎藤元彦・兵庫県知事(資料写真)
ジャーナリストの青木理氏は名刺の投稿について「公党の代表、ましてや政権与党に入った高度な権力者側による、メディアに対するどう喝、けん制であり、自らの支持者らに攻撃を促しているとも受け取れる論外の行為だ」と指摘する。
「メディア側に自省が必要な点があるのは事実だが、メディア不信を盾にメディアや記者個人を攻撃する流れは止められない」とした上でこう述べる。「的外れな批判など気にせずに一蹴し、歯を食いしばって権力の監視を続け、報じるべきを報じることがわれわれの仕事だ」
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