佳子さま 子ども会を「いえ、知りません…」 雅子さまは天皇陛下をアシスト! 皇室が「子ども会」を知らなかった理由

澄み渡る秋空の下、天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会が開催された。ひとりでも多くの招待者と交流できるように、と春には62年ぶりに動線を変更。この日は、「子ども会」の関係者が皇室のメンバーに、思い切ってある質問を投げかけた。多くの人にとっては、子ども時代の記憶とともにある「子ども会」。だが、生まれ育つ環境によっては、縁のないこともあるようだ。
* * *
「陛下は、『こども会』というものをご存じでしょうか」
思い切って、天皇陛下にこう訊ねたのは、矢野晃代さん(78)。香川県のこども会育成連絡協議会の元会長として、園遊会に招待された。
「子ども会」とは、遊びを通して、小学生の子どもたちに生きる力をつけることを目標とした組織。終戦間もない時期、親のいない子どもたちを地域の大人たちが集め、支えたのが始まりだという。
夏休みのキャンプや運動会、クリスマス会、正月のかるた会など季節の行事を中心にイベントを多く開催しており、子どもの頃にお世話になった人も多いのではないだろうか。
矢野さんが所属した香川県の子ども会組織が、園遊会に招待されたのは、はじめてのこと。仲間から「がんばって、子ども会のことを、皇室にお伝えしてきてね」と送り出されてきた。
矢野さんの質問に対して、天皇陛下の反応は、
「あ…」
という、気遣いと曖昧さが混じったものだった。お返事がためらいがちであったのは、ご存じでなかったのだろうか――。矢野さんがやや肩を落とした瞬間、皇后雅子さまがアシストするように、会話を引き取った。
「香川県はどちらから?」

園遊会でのやり取りは、両陛下の気遣いと温かさを感じるものだった。それでも、心残りがある。
若い皇族方であればご存じかもしれないーー。
矢野さん夫妻は、三笠山から中の池の脇を通り、松山テントの芝生まで移動した。愛子さまや佳子さま方が「担当」するエリアだ。

思い切って、佳子さまのそばに行き、訊ねてみた。
「佳子さまは、子ども会をご存じですか」
申し訳なさそうな表情で、佳子さまはこう口を開いた。
「いえ、知りません…」
矢野さんは話題を変えようと思い、佳子さまが「瀬戸内国際芸術祭2025」を訪問してくれたお礼を伝えた。矢野さんが住む香川県、そして岡山県の瀬戸内の島々を舞台に開かれる現代アートの祭典で、佳子さまは10月に視察に訪れていた。このとき、佳子さまの付き添いを務めたのが、母の紀子さまが総裁を務める、母子愛育会。
「瀬戸内芸術祭に来てくださってありがとうございます」
そう感謝を伝えると、佳子さまは、矢野さんを「子ども会」ではなく「母子愛育会」の関係者と誤解したのか、こう言葉を継いだ。
「母子愛育会の方ですか?」
佳子さまの言葉は、公務でどのような団体が皇室をサポートしてくれているのかを、記憶しているからこそ出たもの。そして、母子愛育会も「子ども会」と連携した組織である。
とはいえ、生まれながらの皇族である佳子さまが「子ども会」について、知らないのも無理はない。

公益社団法人全国子ども会連合会の木村謙治・常務理事によれば、「子ども会」とは、主に小学生の子どもが住んでいる地域をベースとし、町内会単位でのつながりを土台とした組織。
すべての「子ども会」が同連合会に加盟しているとは限らず、親や祖父母世代を中心に独自に「子ども会」を名乗って活動しているケースもあるという。
「地域に根差した公立の小学校ならば、子ども会と学校が連携したイベントなども出てきます」
天皇陛下や佳子さまらは赤坂御用地で生まれ育ったし、戦後に皇族として生まれた方々は、幼稚園から学習院やお茶の水女子大付属といった私立や国立の幼稚園や小学校に通ってきた。

皇室と「子ども会」に接点はあるのだろうか?
「 通うのが私立や国立の小学校であるうえ、外出や交流に制限のある環境ならば、接点はほぼないでしょう。たとえば、赤坂地域に根差した『子ども会』があったとしても、赤坂御用地に、お声がけをする機会はないでしょうから」(木村さん)
皇族と子どもの教育運動団体といえば、皇太子時代の天皇陛下が名誉総裁を務めていた、青少年のための世界的な団体、「ボーイスカウト」がある。いまは、佳子さまが「ボーイスカウト」、「ガールスカウト」の行事を引き継いでいる。
「戦後に発足した団体である『子ども会』は、皇室とのご縁はなく、厚労省や文科省と深く関りがあり、活動しています」
とは、前出の全国子ども会連合会の木村常務理事。

「それでも、『子ども会』は、メインの会員である小学生が中高生や大学生、社会人へと成長すればジュニアやシニア・リーダーへとつながります。そこで小学生らの面倒を見たり、地域や学校の行事を手伝ったりすることで、社会性や協調性、生きる力やリーダーシップを育む場でもあるのです」
世界的な組織ではないが、その地域に合わせて子どもたちを見守り育ててきた、日本独自の組織だ。
先の香川県子ども会・元会長の矢野さんは、こう振り返る。
「陛下や皇族の方々に、われわれ『子ども会』は、子どもたちが学び成長するために、遊びを通じてたくさんのことを(伝えられるよう)、頑張っていますよ。そう、ひと言でもお伝えしたかったのです」
矢野さんは、愛子さまとも園遊会で言葉を交わすタイミングに恵まれたが、言い出すことはできなかったという。
「愛子さまにも、子ども会にぜひ興味を持っていただける機会があれば、とても嬉しい。全国で、その地域に住む大人たちが、子どもを見守り育ててきた、日本の誇るべき活動ですから」
(AERA 編集部・永井貴子)

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