【解説】プーチン大統領が誇示する“独自の新兵器”その実力は…「愚かな兵器」疑問の声も
ロシアのプーチン大統領は先月、いずれも核を搭載できる独自の新兵器『ブレベスニク』と『ポセイドン』の開発成功をアピールした。核の威嚇を強め、アメリカをけん制する狙いがあるとみられる。プーチン氏は無敵の兵器などと強調するが、性能には疑問の声も出ている。
■「歴史的な意義」プーチン氏が成果たたえる
ロシア大統領府によると、プーチン大統領は今月4日、原子力推進式巡航ミサイル『ブレベスニク』と原子力魚雷『ポセイドン』の開発者らを表彰し「この成果は誇張なく歴史的な意義を持つ」とたたえた。
いずれも原子力を動力とし、核を搭載できる独自の新兵器だとしている。プーチン大統領は先月下旬に相次いで、発射実験の成功をアピールしていた。それぞれ、どのような新兵器なのか。
■『ブレベスニク』…無敵の新兵器と主張

ロシア国防省 日テレNEWS NNN
プーチン氏は4日『ブレベスニク』について「世界のどんなミサイルシステムよりも長く飛行し、目標を高精度で撃破できる」と性能をアピールした。ゲラシモフ参謀総長は、先月の発射実験では、およそ15時間、1万4000キロメートル飛行したと明らかにしている。原子力を動力とするため、射程はほぼ無限だとされている。
プーチン氏は2018年に開発を公表し、アメリカのミサイル防衛システムを突破できる無敵の新兵器だと強調していた。長時間の飛行で敵の防空網を回避し、予想外の方向から攻撃できるという。
米ウォールストリートジャーナルは、トランプ政権が計画する、新たなミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」にとっても、低空を飛行できる『ブレベスニク』が脅威になる可能性を指摘した。
■「空飛ぶチェルノブイリ」疑問の声も

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しかし『ブレベスニク』をめぐっては、2018年に開発が明らかになって以降、西側の専門家は懐疑的な見方を示してきた。ロイター通信によると、米国務省の元高官は「愚かな兵器システムであり、空飛ぶチェルノブイリだ」「他の国々よりもロシア自体により大きな脅威をもたらす」と評価した。
その安全性に疑問がつきまとうためだ。AP通信によると、2019年には実験中の事故で、核技術者が少なくとも5人死亡したとみられている。周辺では放射線レベルの一時的な上昇も確認されたという。
また、飛行速度は音速以下であり、各国が極超音速兵器の開発にしのぎを削る中、時代遅れとの指摘も。さらに放射線で探知されるリスクも高く、故障リスクも高いという。
■『ポセイドン』…最大500メートルの津波と脅威あおる

提供:Press and Information Office of the Defence Ministry of the Russian Federation/TASS/アフロ 日テレNEWS NNN
また原子力魚雷『ポセイドン』について、プーチン氏は「速度や潜れる深さで、世界に類がなく、迎撃手段は存在しない」と性能をアピールした。最大1000メートルまで潜航できるという。
ロイター通信は『ポセイドン』について、放射性物質を含んだ津波を発生させ、沿岸都市を居住不能にする兵器だと伝えている。ロシア国営テレビの司会者は「イギリスの沖合で爆発すれば、最大500メートルの巨大な津波が発生し、大量の放射能を運ぶ」などと番組内で脅威をあおった。またメドベージェフ前大統領は「ブレベスニクと異なり、ポセイドンは終末兵器とみなせる」と自身のSNSでコメントしている。
■津波を起こす能力に疑問符も

提供:Press and Information Office of the Defence Ministry of the Russian Federation/TASS/アフロ 日テレNEWS NNN
『ポセイドン』についても、津波を起こして沿岸を破壊するという能力には、懐疑的な見方がある。米ワシントンポスト紙は「旧ソ連が同様の能力を研究したが、不可能だという結論に達した」という専門家の声を伝えた。
純粋な軍事的能力よりも、政治的なメッセージの意味合いが強い兵器だとみられる。
■核の威嚇を重ねるプーチン氏の狙いは

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プーチン氏は先月下旬以降、核の威嚇を重ねている。トランプ大統領が米露首脳会談を中止し、ロシアへの追加制裁に踏み切ったことも念頭にありそうだ。ウクライナ侵攻をめぐり米露関係の緊張が高まる中、核というカードで、アメリカを揺さぶる狙いがあるとみられる。
新兵器の開発成果を誇示するだけでなく、今月4日には、新型のICBM=大陸間弾道ミサイル「サルマト」を来年、実戦配備すると表明。6日には、アメリカに対抗するため、核実験の準備をめぐり高官に検討を指示した。
プーチン氏は、来年2月に失効するアメリカとの核軍縮条約「新START」をめぐり、1年の延長を提案中だ。ウクライナ情勢と並行して、核をめぐっても、アメリカとの対話を模索している。今後も対話と威嚇という硬軟織り交ぜた対応で、駆け引きを続ける構えだ。