オリガルヒたちの怪死:闇へと葬られる新興富裕層たちの死亡事件

姿を消していくロシアの新興財閥たち

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プーチン大統領がウクライナへの全面侵攻を開始して以来、ロシア経済を支える新興財閥、「オリガルヒ」たちが次々に不審死を遂げている。その背後にはロシア当局との軋轢が見え隠れしている。

ウクライナ侵攻に反対した人々

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謎の死を遂げているのは、ウクライナ侵攻に反対の声を挙げた有力なロシア人実業家たちだ。

 

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ミハイル・ワトフォード

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2022年2月28日には、ウクライナ系のオリガルヒ、ミハイル・ワトフォード(66)が不審死しているのが発見された。事件現場はロシアではなく、英国サリー州の田園地帯にワトフォードが所有していた邸宅のガレージだ。しかし、英国警察は事件性を否定、『ザ・サン』紙はワトフォードがウクライナ侵攻で「激しく動揺」していたとする友人たちの証言を伝えた。

遺体で発見されたイワン・ペチョーリン

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ロシアによるウクライナ侵攻が始まった年の9月、企業幹部のイワン・ペチョーリンが行方不明になった。複数の報道機関によると、ペチョーリンはウラジオストク沖でボートから転落、2022年9月12日に遺体が発見されたという。

写真:極東・北極圏発展公社(KRDV)

極東・北極圏発展公社(KRDV)のディレクター

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ペチョーリンは極東・北極圏発展公社(KRDV)の航空産業担当マネージング・ディレクターだった。KRDVはロシア僻地で事業を展開する企業に輸送手段やエンジニア、インフラなどを提供する半官半民の企業だ。

写真:wikimedia commons

「取り返しのつかない喪失」

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KRDVは「イワンの死は、友人や同僚にとって取り返しのつかない喪失であり、わが社にとっても大きな痛手です」という声明を発表。

極東・北極圏のスペシャリスト

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イワン・ペチョーリンは極東・北極圏のスペシャリストとして、ロシア当局にとって重要な人物であるはずだった。しかし、彼も次々に謎の死を遂げるロシア・オリガルヒたちの1人に過ぎないようだ。

ラビリ・マガノフ

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同様の不審死を遂げた人物としてはラビリ・マガノフを挙げることができる。マガノフはロシア第2の規模を誇るエネルギー企業「ルクオイル」で会長を務めていた。

窓から転落

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ロシアの司法当局はタス通信に対し、マガノフ会長は心臓発作の治療のためモスクワ中央病院に入院中だったが、窓から飛び降りて「自ら命を絶った」と述べた。

うつ病?

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ロシアのウェブサイト Mashによると、マガノフ会長は入院中の病院の6階から飛び降りたという。また、うつ病の一種を患っているという診断が下されたとしている。

「重病」

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しかし、ルクオイルが公開したプレスリリースでは会長の死因について言及はなく、「重病を患った末、死亡した」とするに留まった。

ルクオイル

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ルクオイル・グループは2022年3月初めにウクライナ侵攻に反対の立場を表明し、プーチン政権の方針に異議を唱える最初の企業となった。4月20日には当時の会長で筆頭株主だったヴァギト・アレクペロフ(写真)が、英国による制裁リスト入りした後に辞任。

ユーリ・ヴォロノフ

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『デイリー・メール』紙は2022年7月初旬、ロシア人実業家ユーリ・ヴォロノフがサンクトペテルブルクにほど近い別荘のプールで射殺されたと報道。ヴォロノフもロシア財界を代表する大物であり、ガスプロム社と繋がりがあった。同紙によれば、ロシアの捜査当局は「取引先との軋轢」が原因と結論づけたという。

アレクサンドル・スボティン

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また、ルクオイルの元重役アレクサンドル・スボティンも『モスクワ・タイムズ』紙やタス通信によって死亡が伝えられ、2022年に相次ぐオリガルヒの不審死としては8番目のケースとなった。

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死亡時の状況

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タス通信の報道によると、スボティンは妻とともにシャーマンによる治療セッションを受けた後、心臓発作で死亡したとされる。夫妻はこのシャーマンの治療をたびたび受けていたと見られるとのこと。

写真:Pasha Chusovitin / Unsplash

ヒキガエルの毒

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スボティンが受けたとされる治療は、身体に付けた傷からヒキガエルの毒を注入するというもので、免疫系の強化が謳われていたようだ。

写真:Elena Mozhvilo / Unsplash

スボティン家とルクオイル

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スボティン家はロシア第2の規模を誇る石油大手ルクオイル社と密接な関係を持っている。アレクサンドルだけでなく、兄弟のヴァレリー(写真左)もルクオイル社の重役を歴任した後、購入・販売部門のトップを辞任、取締役会から身を退いていた。

ガスプロム

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CNN放送によれば、2022年1月以降に死亡した9人のオリガルヒのうち5人は何らかの形でエネルギー大手、ガスプロムとの繋がりがあったという。

アンドレイ・クルコフスキー

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アレクサンドル・スボティンの前にもガスプロム関係者が不審死を遂げている。ガスプロムがソチにほど近いクラースナヤ・ポリャーナに所有するスキーリゾートで経営を担当していたアンドレイ・クルコフスキー(37)だ。このリゾートはロシア高官の間で人気を博しており、メドヴェージェフ安全保障会議副議長(写真右)とプーチン大統領(同左)もここを訪れている。

死亡時の状況

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クルコフスキーはソチで崖から転落して死亡したとされる。タス通信のツイートによれば、「クラスノダール地方にあるクラースナヤ・ポリャーナ・リゾートの経営者アンドレイ・クルコフスキーはアチプシン要塞に向かう道中で転落して死亡した」という。彼の死は、モスクワで不審死を遂げたウラジスラフ・アヴァエフと、スペインで死亡したセルゲイ・プロトセーニャという2人の有名オリガルヒに続くものとなった。

ウラジスラフ・アヴァエフ

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元政府官僚でガスプロム銀行の副総裁も務めたウラジスラフ・アヴァエフの遺体がモスクワにある自邸から発見されたのは2022年4月21日。事件現場からはアヴァエフの遺体と拳銃に加え、妻のエレーナおよび13歳の娘マリアの遺体も見つかったとされる。ニュースサイト「ビジネスインサイダー」をはじめとする報道機関によれば、エレーナは妊娠中だった可能性があるという。

セルゲイ・プロトセーニャ

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同様の事件はスペイン北東部のリゾート地、リュレット・ダ・マルでも発生している。地元の捜査当局が、ガス大手ノヴァテックの元幹部セルゲイ・プロトセーニャの首吊り遺体を自宅の庭で発見したのだ。さらに、妻と18歳の娘も斧で殺害されていたという。

自殺説に異議を唱える長男

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プロトセーニャの長男、フョードル(22)は父が妻と娘を殺害して自殺した、という地元捜査当局の結論に異議を唱えている。『デイリー・メール』の取材に対し、「私の父は人殺しなどではない。妻と娘のマリアを愛していたんだ。とりわけ娘を可愛がっており、2人を傷つけるような真似をするはずがない。昨晩なにがあったかは分からないが、父がやったのではないことだけは確かだ」と述べている。

アレクサンドル・チュラコフ

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ミハイル・ワトフォードが死亡する3日前の2022年2月25日にも、別のガスプロム幹部アレクサンドル・チュラコフが謎の死を遂げている。ロシアの独立系新聞『ノーヴァヤ・ガゼータ』は捜査当局の報告として、チュラコフはレニングラードにほど近いレニンスキーにある自宅ガレージで自殺したようだと伝えた。

レオニード・シュルマン

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そのひと月あまり前には、ガスプロムと密接な関係にあるロシア財界の大物が死亡。ガスプロム・インベスト社の輸送部門トップを務めていたレオニード・シュルマンだ。国営通信RIAノーボスチによれば、現場には自殺ではないことを仄めかすメッセージが残されていたという。

ワシリー・メルニコフ

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5人目の犠牲者は医療品会社「MedStorm」 のオーナー、ワシリー・メルニコフだ。3月23日にニジニ・ノヴゴルド近郊で発見された彼の遺体および2人の子供の遺体には裂傷が残されていたという。また、複数の報道機関によると、MedStorm 社は西側諸国の課した制裁措置により破産寸前に追い込まれていたようだ。

全容は不明

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ロシア、スペインおよび英国にまたがって相次ぐ不審死。事件の全容はいまだにベールに包まれており、犠牲者を良く知る関係者の中には、捜査当局の結論に異議を唱える者もいる。今後疑惑が晴れることがあるにせよ、戦争の影で引き起こされた悲劇であることには違いない。

 

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