法廷に怒号「人民の怒りに火をつけた」、中核派5人に有罪判決 広島平和式典集団暴行事件

広島弁護士会館で行われた記者会見で引き続き戦う意志を示した中核派活動家の高田暁典、冨山小太郎、松木誉明、古郡陸、西納岳史(左から)の5被告=広島市中区(矢田幸己撮影)
「人民の怒りに火をつけたと覚えとけよ!」。有罪が宣告され、無罪を確信していた傍聴席が荒れた。令和5年の平和記念式典で対応していた広島市職員に集団で暴行したとして、暴力行為法違反(集団的暴行)罪に問われた中核派活動家の男5人の判決公判が今月18日、広島地裁で開かれ、角谷比呂美裁判長は5被告に、執行猶予付きの判決を言い渡した。5分で閉廷し、裁判長らが退席した後も法廷には支援者らの怒号がとどろいた。

中核派活動家の判決公判を前に広島地裁前であった集会に参加した支援者が掲げていたプラカード=11月18日、広島市中区(矢田幸己撮影)
正当防衛は成立せず
「主文、被告人5名をそれぞれ懲役…」
無罪でないと分かった瞬間、被告の一人が長いすに座ったままつぶやいた。「ナンセンス」-。傍聴席からも次々に声が上がった。「暴行なんかしてないやろ!」「高市(早苗首相)は天皇制の右翼や!」。関西出身の支援者らが多いのか、関西弁の語尾が目立った。

判決公判を前に広島地裁周辺をデモ行進する中核派活動家の5被告ら=11月18日、広島市中区(矢田幸己撮影)
判決は5人とも懲役1年2月。高田暁典被告(38)が執行猶予4年、冨山小太郎(38)、松木誉明(たかあき)(60)、古郡陸(ふるこおり・ひとし)(42)、西納岳史(39)の各被告はそれぞれ同3年だった。
高田被告については、別の事件の執行猶予期間が明けて間もない時期に犯行に及んだ点が考慮された。
求刑は高田、冨山両被告が前科関係から懲役2年、ほかの3被告は懲役1年6月だった。被告側は公判で5人の犯人性を争った上で、「起訴自体が不当」(主任弁護人の端野真弁護士)と、公訴棄却を求めていた。
暴行行為があったとしても、①「表現の自由」を守る正当行為であり、②対立団体らによる妨害行為を排除するためで、正当防衛が成立するなどと訴えていたが、証拠採用された録画映像などからいずれも否定された。
被告「戦い続ける」
「8月6日、『原爆の日』に原爆ドーム前を封鎖し、反戦反核集会を禁圧するという政治的目的に基づく、あからさまな革命派潰しの弾圧」-。
弁論では、こうも訴えていたが、判決要旨では短く「認められない」と一蹴された。判決文は14ページで、「極めて粗雑な認定」(冨山被告)だという。もっとも、結審から約1カ月半という比較的短期間での判決に、被告側は有罪を全く想定していないわけではなかった。
このため、この日の開廷2時間前から地裁周辺で「反動判決粉砕デモ」を敢行。広島県警の機動隊員らが見守る中で「権力犯罪に加担する裁判所」(8・6ヒロシマ暴処法弾圧を許さない会)を糾弾した。中核派なじみのスローガン「中国侵略戦争阻止」も叫んだ。
毎年、原爆ドーム前で大音量による集会を開く中核派活動家らに対し、サイレントアピールを続ける市民団体「静かな8月6日を願う広島市民の会」の石川勝也代表(69)は判決を受けた取材に対し「8月6日は静かにしてほしい、ということだけ」と話した。
この事件を契機に、ドームを含む平和記念公園を管理する広島市は安全確保を理由に、昨年から式典当日の入場規制範囲を公園全域に拡大した。
広島市の松井一実市長は今月19日の会見で「集団暴行と認定され、規制拡大への理解が進む論拠になるとともに、(市の対応が)安心安全を確保するための合理的対応だったと裏付ける一助になる判決だ」と評価した。
被告側は判決を不服として控訴しており、審理は広島高裁へ。1審で主張はことごとく退けられたが、この日、判決後の会見で5人は「誰一人として屈服することなく、戦い続ける覚悟」を示した。(矢田幸己)