ポクロウシク陥落は時間の問題:ドンバス地方で苦戦するウクライナ軍
ドンバス地方でじりじりと前進するロシア

ロシアはウクライナに全面侵攻する以前からウクライナ東部のドンバス地方で分離工作を行っていた。そして、開戦から4年近くが経った今、ロシア軍はドンバス地方でじりじりと前進し続けており、これを何とか押しとどめたいウクライナ軍は苦境に陥っている。
兵站の確保に苦労するウクライナ軍

ウクライナ軍参謀本部のアンドリー・コヴァリョウ報道官は、味方がドンバス地方の要衝、ポクロウシクおよびミルノフラードで包囲されつつあり、兵站の維持に苦労していることを認めたという。『シュピーゲル』紙が報じた。
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ミルノフラード市

ただし、同報道官いわく、ミルノフラード市は今のところ完全に包囲されたわけではなく、ウクライナ側の兵站ルートも遮断されてはいないとのこと。実際、同市の防衛部隊は11月16日に弾薬等を受け取ったほか、負傷者の避難や兵士の交代を行ったという。
戦略的に重要な地域

面積およそ5万3,000平方キロメートルのドンバス地方は戦略的な重要性が高く、両軍が支配権をめぐって激戦を繰り広げている。ドンバス地方は燃料用の石炭をはじめとする天然資源が豊富で、ソ連時代には工業地帯だったため、ロシア語話者も多いためだ。
要衝の2都市が陥落するおそれ

そんな中、コヴァリョウ報道官の発表は楽観的すぎるという見方も広がっているようだ。『シュピーゲル』紙いわく、一帯のウクライナ軍はわずか数平方キロメートルの範囲に閉じ込められ、ロシア軍ドローンの射程圏内に置かれているため、ポクロウシクおよびミルノフラードの陥落は遠くないと予想されているのだ。
前進を強調するロシア国防省

一方、ロシア国防省も味方の前進を強調。ウクライナ軍はポクロウシクおよびミルノフラードで孤立しており、ロシア軍は敵の反撃を退けつつ、ポクロウシクの複数の地区とフナティウカ方面で進軍し、拠点を固めたと発表している。
犠牲をいとわないロシア軍

ウクライナ軍のドローン部隊「ピーキー・ブラインダーズ」に所属するある兵士はCNNに対し、ポクロウシクに進軍するロシア兵を追い返すのは極めて困難だと明かした。ただし、ロシア側の被害も甚大だ。ロシア兵は通常3人組で行動するが、たいていは進軍中に2人ほど排除されてしまうのだ。それでも、残りの1人を市内に送り込むため、ロシア軍は人海戦術をとり続けている。
プーチン政権にとっては大戦果

專門家らいわく、ポクロウシクにおけるロシア軍の死傷者数はプーチン政権の無謀な戦略と人命軽視の姿勢を裏付けるものだ。しかし、ポクロウシクが陥落すれば、ロシア側にとって大きな戦果となるのも確かだ。というのも、2023年5月に陥落したバフムート以来、ロシア軍はこれまで集落や村しか占領できていなかったためだ。ニュースサイト「Infobae」が伝えている。
ウクライナ側にとっては重要な兵站拠点

さらに、ポクロウシクは幹線道路や鉄道が集まっている。戦争研究所のジョージ・バロス氏はCNN放送に対し、「(ポクロウシクは)ウクライナ軍の兵站を支える補給線であり、同市周辺の集落や農地にあるウクライナ軍拠点を支える役割を担っていたため、作戦上重要だった」と説明。
ウクライナの敗戦を宣伝したいプーチン政権

同氏はさらに、「ポクロウシクは戦略・政治・情報戦の面で極めて重要だ。プーチン大統領は同市を占領すると国内外で何度も公に宣言しているためだ」とした。ロシアとしてはポクロウシク陥落を大々的に宣伝することで、ウクライナの軍事的敗北は避けられないと世界に印象付けたいのだ。
電力インフラに対する攻撃

スイスメディア「SWI」によれば、ドネツク州ではウクライナ側もドローンなどを用いた反撃を続けており、ドネツク州のロシア軍支配地域ではおよそ50万人が停電に見舞われたという。ドンバス地方では両軍がともに電力インフラを標的としており、冬の到来と相まって住民は厳しい生活を強いられている。
ポクロウシクから避難する住民

また、激戦の舞台となったポクロウシクでは住民の避難が相次ぎ、かつて6万人を誇った人口は今や1,200人へと激減してしまった。これを受け、ウクライナ軍は兵站拠点を別の場所に移さざるを得ず、これだけでもロシア軍が大きな戦果を挙げた形となっている。『シュピーゲル』紙が報じた。
難しい選択を迫られるゼレンスキー政権

『Le Grand Continent』誌によれば、ロシア軍はポクロウシクの90%あまりを制圧したと主張しており、ウクライナ側がドネツク州全域を失う日も近いとされる。ゼレンスキー政権としては、多数の兵士を失うリスクと引き換えにあくまで抵抗するか、ポクロウシクを明け渡して防衛線を下げるかという難しい選択を迫られているのだ。
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