世界で唯一!排気量457ccスポーツバイクとしての理想を徹底追及したアプリリア新型「RS457」とは
大型自動二輪免許が必要
それはちょっと、日本では難しいんじゃないか……。2025年から国内でも発売が始まったアプリリアの「RS457」に対して、私(筆者:中村友彦)はそんな印象を抱いていました。
もちろんその理由は、欧州のA2ライセンスに適合する一方で、日本の普通自動二輪免許では乗れない、457ccの排気量です。
【画像】日本市場では排気量が微妙!? アプリリアの本格ライトウェイトスポーツ「RS457」を画像で見る(18枚)
つまり日本で「RS457」に乗るとなったら、大型自動二輪免許が必要なのです。

アプリリア新型「RS457」(2025年2月国内発売)に試乗する筆者(中村友彦)
アプリリア新型「RS457」(2025年2月国内発売)に試乗する筆者(中村友彦)すでに同様の排気量帯のモデルとして、ロイヤルエンフィールドが「ヒマラヤ411/450」を発売し、BMWモトラッドは「F 450 GS」を発表していますが、世界を探しても他に類を見ない、400ccを境とする独自の免許制度が存在する日本市場で、排気量が400cc+αの車両が支持を獲得するのは難しいでしょう。
ほぼすべてのパーツが専用設計
ただし、技術的な視点で見るなら注目するべき要素が数多く存在します。
まずツインスパータイプのアルミフレームはクラス唯一の装備ですし、パラレルツインエンジン内部に設置されている位相角が270度のクランクシャフトにも、同様のことが言えます。

アプリリア新型「RS457」
アプリリア新型「RS457」また、クラス唯一ではないですが、電子制御式スロットルや3種のライディングモード、5インチTFTディスプレイ、3段階調整式のトラクションコントロール、フロントのラジアルマウント式ブレーキキャリパーなど、豪華な装備に好感を抱く人は少なくないでしょう。
とはいえ、それら以上に注目するべきことは、ほぼすべてを専用設計していることかもしれません。
逆に言うなら、市場でライバルになりそうな並列2気筒車、ホンダ「CBR400R」やカワサキ「Ninja 400」には兄弟車が存在するのですが、このモデルは兄貴分に当たる「RS660」と共通部品が存在せず、457ccスポーツモデルとしての徹底的な作り込みがなされているのです。
そんな「RS457」の価格(消費税10%込み)は85万8000円です。
前述したライバル車は、ホンダ「CBR400R」が86万3500円、カワサキ「Ninja 400」が79万円2000円ですから、免許制度を度外視するなら、十分に勝負ができる設定と言えそうです。
ライバル的な車両とは異なる乗り味
排気量に引っ掛かりを感じていたため、今回の試乗は微妙な気持ちで臨んだのですが、「RS457」でさまざまな場面を走った私は「いいところを突いている……」という印象を抱きました。
と言うより、このモデルを通して私は思い出したのです。過去に体験した「CBR400R」と「Ninja 400」にそこはかとない物足りなさを感じ、海外市場で販売されている「CBR500R」(471cc)と「Ninja 500」(451cc)に乗ってみたいと感じたことを。

排気量457ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。最高出力47.6HP(35kW)/9400rpm 、最大トルク43.5Nm/6700rpmを発揮
排気量457ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。最高出力47.6HP(35kW)/9400rpm 、最大トルク43.5Nm/6700rpmを発揮ちなみに、「RS457」の最高出力・最大トルクは47.6HP/9000rpm・4.44kg-m/6700rpmですから、「CBR400R」の46ps/9000rpm・3.9kg-m/7500rpm、「Ninja 400」の48ps/10000rpm・3.8kg-m/8000rpmと大差はありません。
でも3000rpmで最大トルクの82%を発揮すると言うだけあって、「RS457」の出足はなかなか強力ですし、それでいて中高回転域では2つの気筒の力が徐々にまとまっていく、伸びの良さが実感できるのです。
さらに言うなら、軽快でキレ味がいいハンドリングも、「RS457」ならではの魅力です。兄貴分の「RS660」ほどサーキットやワインディングロードの楽しさに特化しているわけではないのですが、ツアラー的な資質を備える「CBR400R」や「Ninja 400」と比較するなら、このモデルの乗り味は相当にスポーティと言っていいと思います。
そういった事実を考えると、「RS457」のライバルは日本製並列2気筒車ではなく、トレリスフレーム+単気筒のKTM「RC 390」(最高出力44ps/9000rpm、最大トルク3.77kg-m/7000rpm)なのかもしれません。

アプリリア新型「RS457」は、スポーツバイク好きの大型自動二輪免許所有者にとって「最適解」になり得るのでは
アプリリア新型「RS457」は、スポーツバイク好きの大型自動二輪免許所有者にとって「最適解」になり得るのではもっとも、免許制度を考えるとやっぱり日本で人気を獲得するのは難しいでしょう。
ただし、250~400ccでは物足りないけれど、600cc以上のようなパワーは不要と感じているスポーツバイク好きの大型自動二輪免許所有者にとって、このモデルは「最適解」になり得ると思います。
念のために記しておくと、「RS660」は最高出力100HP/10500rpm、最大トルク6.83kg-m/8500rpmです。
余談ですが、最近の私は愛車の1台である1985年生まれの2ストロークレーサーレプリカ、ヤマハ「TZR250」のコンディションの維持に疲れを感じていて、軽量なスポーツモデルを試乗する際は、その代わりになれるかどうかをよく考えています。
そしてこれまでに代替機種候補としての資質を感じたのは、前述した「Ninja 400」や「RC 390」、「CBR250RR」だったのですが、今の私の頭の中では、「RS457」が急浮上しています。