ホンダ新型「CB1000F」で再注目? シュッと伸びた「テールカウル」いつ登場した?

スポーツバイクには普通の装備?

 現代のほとんどのロードスポーツ車は「テールカウル」を装備しています。しかし旧車をモチーフとしたネオクラシック系は装備していないことから分かるように、昔(大昔?)のバイクにはテールカウルがありませんでした。

スポーツバイクには普通の装備?, (大)昔は無いのが普通だった, 思いっきり打ち出したカワサキ, 短いテールカウルが今風?

ホンダ新型「CB1000F」が装備するテールカウル(2025年11月14日発売)

ホンダ新型「CB1000F」が装備するテールカウル(2025年11月14日発売)

 そもそも超高速で走るレーシングマシンなら空力的に重要かもしれませんが、公道では(かなり飛ばしたとしても)機能的にあまり影響しません。

【画像】装備する?しない? バイクのビジュアルに影響する「テールカウル」を画像で見る(21枚)

 とはいえ、ルックス的にはあった方がカッコイイ……。ということで、テールカウルの歴史を振り返ってみます。

(大)昔は無いのが普通だった

 まずレーシングマシンにおいては、空力に力を入れていたモトグッツィが1940年代からテールカウルらしきパーツを外装を装備していました。また日本のホンダのRCレーサーは1950年代から、ヤマハも最初の市販レーサー「TD-1」(1962年発売)から、シートストッパーに半球上のテールカウルを備えていました。

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おそらく量産市販車初のテールカウル装備となる1967年登場のノートン「コマンド750“ファストバック”」。バリエーションが多く、シートカウルを装備しないモデルも存在する

おそらく量産市販車初のテールカウル装備となる1967年登場のノートン「コマンド750“ファストバック”」。バリエーションが多く、シートカウルを装備しないモデルも存在する

 1969年に発売され、大人気を博したホンダの「ドリームCB750FOUR」は数々の「世界初」を投入したにもかかわらず、テールカウルはありませんでした。やはり公道用市販車には不要な装備だったのでしょうか?

 バイク先進国の英国車では、ノートンが1967年に発売した「コマンド750」にFRP製のテールカウルが装着されていました。これが世界初と言われていますが、なんとなくリアフェンダーっぽくもあり、形状的には少々微妙です。

 そして日本でも、1969年にヤマハが発売した50ccスポーツ車「FS-1」に、かつてのレーシングマシンを模したような小振りなテールカウルを装備していました。……が、ノートンや「FS-1」からテールカウルが流行ったワケではなさそうです。

思いっきり打ち出したカワサキ

 しかし日本で、現代的な後方にシュッと伸びるテールカウルを装備したバイクが登場します。1971年のカワサキ「350SS」で、2ストローク3気筒エンジンを搭載し、後の「KH400」のベースとなったバイクです。

スポーツバイクには普通の装備?, (大)昔は無いのが普通だった, 思いっきり打ち出したカワサキ, 短いテールカウルが今風?

テールカウルを大々的に謳った、カワサキ「350SS」の販売カタログ

テールカウルを大々的に謳った、カワサキ「350SS」の販売カタログ

 当時のカタログ(最初の片面チラシ)には、「40年間お待たせしました。初めてウシロまで気を配ったクルマ。テールアップGT」の文字が踊り、なんと車両の写真は後方から撮影したものでした。

 さらに次に配布した本カタログでは、中面に「40年間、オートバイはかたくなに同じかたちだった。いま、それを破る――ニュースタイリングの登場」と記載していました。

 驚くほど力のこもったキャッチコピーですが、それほどまでにテールカウルの装備は斬新で、かつ誇らしかったのだと思われます。

 ちなみに連呼された「40年間」が何を意味するのかは不明です……。カワサキ(当時は川崎航空工業)が吸収したメグロ製作所が、最初にエンジンを製作したのが1932年なので、その辺りを起点としたのかもしれません。

 不思議なことに、海外でも1971年はテールカウル装備のバイクが多数登場しています。たとえばイタリアのドゥカティは、単気筒の「450デスモ」を1971年に発売し、英国のノートンが前出の「コマンド750」にロケットカウルとゼッケンプレート付きのテールカウルを装備したプロダクションレーサーをリリースしたのも1971年でした(これはレーシングマシンの範疇なので少々微妙)。

 またハーレーダビッドソンが「ボートテール」と呼ぶテールカウルを装備した「スーパーグライド」を発表したのも1971年でした。

 そしてテールカウルと言えば、絶対にハズせないのがカワサキの「Z1」こと「900Super4」(1972年)でしょう。国内で兄弟車の「Z2(ゼッツー)」こと「750RS」が1973年に発売されます。

 その後、1970年代中頃からテールカウル装備車が徐々に増加し、ウイング形状のテールカウルでお馴染みのホンダ「CB750F」が登場したのは1979年。そして1980年代のロードスポーツ車では、テールカウルが「普通」になりました。

短いテールカウルが今風?

 1980年代中ごろからはレーサーレプリカが流行し、それらのバイクはテールカウルと言うよりレーサー然とした「シートカウル」が主流になりますが、いわゆるネイキッド車は依然としてシュッと後方に伸びるテールカウルが主流で、このスタイルは21世紀を迎えても続いていました。

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ヤマハ「MT-25」のテール部。近年のスポーツネイキッドは小振りなテールカウルを装備

ヤマハ「MT-25」のテール部。近年のスポーツネイキッドは小振りなテールカウルを装備

 ところが近年は徐々にテールカウルが短縮され、シート後方の造形物と言うより、テールランプまわりを集積するデザインパーツに様変わりしてきました。

 テールカウルが無くなったワケではないけれど、テールまわりをコンパクト化したスタイルが、国内外を問わずトレンドになっているようです。

 というワケで、カワサキの「350SS」で始まり、長らく人気だった跳ね上がったシートカウルはいまや少数派と言えますが、この先はどんなスタイルが流行るのでしょうか?

 歴史やファッションは巡るので、もしかすると……。