避難タワーに缶詰料理、災害への備え来て見て知って 津波34メートル予想、高知・黒潮町の防災ツーリズム

来訪者に備蓄用の缶詰を製造するようになった経緯を説明する高知県黒潮町の第三セクターの職員=2025年11月14日
南海トラフ巨大地震で最大約34メートルの津波が予想されている高知県黒潮町が、津波避難タワーの見学や防災缶詰での創作料理など、災害への備えそのものを観光資源にする「防災ツーリズム」に取り組んでいる。命を守る取り組みを通じ、町の魅力をPRする狙いだ。
町内には複数の避難タワーが設けられている。このうち佐賀地区のタワーは高さが25メートルあり、自主防災組織で活動する地域の住民が約1時間かけて備蓄物資や機能を紹介。参加費は1人500円だ。
備蓄用の缶詰を製造する町の第三セクターが協力したプログラムもある。町で製造するようになった経緯を来訪者に説明、缶詰を使った創作料理を味わえる。
2025年11月、宿泊施設とタイアップし、夜間に津波避難訓練を体験する旅に参加した兵庫県立大大学院の三村暉さん(23)は「本来、負のイメージがある地震や津波を観光資源として捉えた点が新しい」と話した。
東日本大震災後の2012年に出た国内最大級の津波想定により、マリンレジャーやカツオ漁で栄えてきた町は大きな打撃を受けた。観光の低迷や事業撤退、人口流出といった「震災前過疎」が発生した。
防災の取り組みで各地の視察を受け入れてきた実績を基に、にぎわい創出を目指して2014年からプログラムを有料化。2021年には種類を充実させた。これまでに、大学のゼミなど200超の団体が訪れた。
豊かな自然がもたらす恵みと、災いの双方を伝えてきた黒潮町観光ネットワークの高石麻子さん(46)は「自然の二面性を理解し、付き合い方を学んでもらうのが狙い。経済効果を持たせながら町のファンを増やしていきたい」と力を込める。
同様の取り組みは県外でも進む。2023年から阪神大震災などの教訓を観光に合わせて学んでもらう取り組みをしている兵庫県の担当者は「記憶の継承が課題。防災ツーリズムで後世につないでいきたい」としている。

防災缶詰を使った創作料理を味わう「防災ツーリズム」の参加者=2025年11月14日、高知県黒潮町

防災缶詰を使った創作料理を味わう「防災ツーリズム」の参加者=2025年11月14日、高知県黒潮町

夜間の津波避難訓練で避難場所に向かう「防災ツーリズム」の参加者ら=2025年11月14日、高知県黒潮町

高知県黒潮町
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