「あかり、信じてるよ」 “2億バズ”のハンバーグレシピは「結構変」 料理家・長谷川あかりのレシピが生まれるまで

2025年に料理の単行本を5冊出版し、レシピサイトの運営会社が発表する食トレンド大賞で『今年の顔』に選ばれるなど、いま注目の料理家・管理栄養士の長谷川あかりさん(29)。

2023年、自身のXに投稿した『バター酒蒸しハンバーグ』のレシピは、2025年になって“実際に作ってみた”という声が多く投稿され、2.6億インプレッション(表示回数)のバズレシピとなっています。(2025年12月24日時点)

2025年12月19日発売『のせごはんとかけごはん』(発売元:主婦と生活社) 日テレNEWS NNN

そんな長谷川さんが、12月19日に新たなレシピ本『のせごはんとかけごはん』(発売元:主婦と生活社)を出版。独創的なレシピが生まれるまでの秘話や、SNSでの反響などについてインタビューし、料理を通して伝えたいメッセージを明かしていただいたほか、『日テレNEWS』のスタッフたちから集めた“料理にまつわるお悩み相談”にも、解決策を答えていただきました。

■これまでに出版された本は、次々と料理本ランキング上位に

2025年1月発売『フライパンひとつで作るゆるごちそう 煮込み・蒸し・スープ』(長谷川あかり著/幻冬舎) 日テレNEWS NNN

――今年だけで5冊の料理本を出版されましたが、反響はいかがですか?

SNSでレシピを見るのもいいけど、“本にまとまっていると楽だよね”みたいな声や、逆(の意見)もありますけど。中には、レシピ本自体を買うのが、私のもので初めてという方も結構いらっしゃるので。本が手元にあるっていうことの価値じゃないですけど、一冊にまとまっていることで、毎日の助けになるっていうお声はいただいていますね。

――長谷川さんのレシピ本にはどんな特徴がありますか?

私が1冊目を出したのが、2022年11月で、ずっと一貫しているのは、あくまでも自分軸。“自分が自分のために作る料理”という点。それで誰かも喜んでくれたら、自分もうれしいよねっていうところから一切外れていないので。

私が最初に書籍を出した頃は、本当にやる気がない時のための手間抜きご飯とか、料理を楽に時短にしていこう、みたいなメッセージングのレシピ本がたぶん一番売れていたんですけど。今年は、せいろの本だったり、少し手はかかるけど、その手間も自分のためにかけてあげよう、みたいなメッセージの本が増えていると思うので。3年かけて私が出してきた本のメッセージも、ずっとそこから変わっていないので、そこは私の特性でもあり、おこがましいですが時代と交差してきてうれしいなって。

■「誰かの救いになったら」 書籍タイトルへの思い

2025年2月発売『時間が足りない私たちの新定番 「私、天才かも!」レシピ』(長谷川あかり著/講談社) 日テレNEWS NNN

――確かに長谷川さんの書籍タイトルには、“ゆるごちそう”とか“天才かも!”のような、忙しい人や頑張った人に寄り添うようなものが多い気がしますが、それには理由がありますか?

私が料理家になりたいなと思ったタイミングで、“二極化”が進んでいるのかなと思って。一つはライフハック的な簡単で時短のレシピと。もう一つは、料理が好きで研究している料理家さんのレシピとかで、ちょっと手間がかかるけどその分おいしい。でも私はフラットに、“趣味として料理が好きだけど、家事ってなると違うか…”ぐらい。だからどっちかしかない状態ではなく、普通に料理をする感覚。誰かの作りたい気持ちを後押しできる、パワーのあるレシピがあったら、私がうれしいなっていう。なので、本のタイトルも、誰かの救いになったらうれしいなという感じですかね。

■「私のハンバーグって結構変」 自身のレシピがバズったワケ

『バター酒蒸しハンバーグ』の投稿(長谷川あかりさんのXより) 日テレNEWS NNN

Xでのインプレッションが2.6億を超えたレシピ『バター酒蒸しハンバーグ』は、玉ねぎを使わず、ひき肉とベーコン、牛乳、調味料などをフライパンの中で混ぜるため、洗い物が少ないという点と、ミニトマトを一緒に“酒蒸しにする”という点が特徴になっています。SNSでは、「あかり…信じてるぞ」といったコメントとともに、ハンバーグを作ってみたという人の投稿がミーム化しました。

――このレシピがバズった理由はなんだと思われますか?

YouTubeを始めたことで、目に触れる機会が多くなったというのと、もう一つは、今ってモノ消費じゃなくてコト消費、体験に価値を見いだすという需要が増えているのかなと思っていて。料理がそこの分野に食い込んできたのかなって思いますかね。

自分は全然そんなつもりはなかったんですけど、冷静に考えると、私のあのハンバーグって結構変なんですよね。動画をやったときに、初めて自分でも牛乳の量にびっくりしたので。毎日料理を作っている人間からすると、100%想像できる味は、自分で作らなくていいかなっていう気持ちになっちゃうんですよ。だけど、2~3割想像がつかないかもっていうレシピがあると、“作ってみてあげてもいいかな”と(思う)。自分の“料理を作るハードル”を越えさせてくれる。

だけど、みなさんの反応を見ていると、ほとんど謎(な作り方)だったようで。それが逆に面白かったというか。“ドキドキわくわくエンターテインメント”みたいな、はやり方だったんじゃないかと。かなり特殊な感じだったかなと思いましたね。

(左から)つめたいトマトかけごはん、ブッラータチーズとナンプラーのせごはん(『のせごはんとかけごはん』より) 日テレNEWS NNN

――先日発売された料理本『のせごはんとかけごはん』でも、トマトジュースをごはんにかけるレシピや、ブッラータチーズをまるごと乗せるレシピなど、大胆な工程が印象的でした。こういったメニューは、どういうふうに考案されているのでしょうか?

最初は、机とかに材料を並べたりとか、冷蔵庫に入っているもので(作ってみる)。“トマトジュースをご飯にかけて、イタリアンっぽい感じでこういうふうにしたいな”だけ最初にワードに書いておいて。こういうタイトルで、このぐらいの工程で、こんな味がして、こんな気持ちになれたらうれしいなっていうメモをいっぱい作っているって感じです。

テーマと味の方向性と、大体これぐらいの手順で、こんな材料を使って、朝・昼・夜いつ食べたくなる味なのか。こんな感じの料理があったら、私は料理してもいいかも、とか考えて。一人でレシピ案を作って、一人で審査員をする…みたいなのをずっとやっていて。その中で、“本当に作っても楽しそう”っていうものだけ、ちゃんと調味料を決めて。

――レシピを思いつくきっかけは、“長谷川さんが作って食べたいもの”なんですね。

そうですね、“こんなレシピがあったらうれしい!”ってだけです(笑)。だから、ハンバーグとかもデミグラスソースのハンバーグは、レトルトを食べても結構おいしいしな、別に私わざわざ作らなくてもいいかな、とか(思う)。やっぱ大変じゃないですか、ハンバーグ作るのって。“これだったら作りたいかもって思えるハンバーグのレシピを作ろう”からスタートなので。

ツナクリームチーズカレー(『のせごはんとかけごはん』より) 日テレNEWS NNN

――長谷川さんご自身も、料理に対して面倒くさいと感じられることがあるんですか?

そうですね、基本的に外食とか、お総菜で食べられるものをわざわざ自分で作るとなると、作る意味とか意義とかが必要だと思うというか。料理って手間かかるし、時間もかかるし。今って世帯の人数がどんどん減っているんで、へたしたらコスパもよくない。一人暮らしで料理し続ける方が、なんならお総菜を買ってくるより高くつく、みたいなことあるじゃないですか。

なので、かけた手間以上の味がするっていうお得感がないと。手間をかけたことで“私は天才”だと思えて、最高の気分になれるとか、もうちょっとプラスアルファの感情に対するご褒美がないと、私は料理を続けられないと思うので。“こんな料理があったらいいのにな”っていう要求がすごく多いんだと思います。

■今年5冊目となる料理本『のせごはんとかけごはん』

甘辛豆腐煮込みのせごはん(『のせごはんとかけごはん』より) 日テレNEWS NNN

――『のせごはんとかけごはん』はどんな内容になっていますか?

私が共働き夫婦二人暮らしで、一人でご飯を食べることも多いんですよ。今、割とそういう20代~30代の方や、学生の方、子どもが20歳ぐらいになった世代の方も、夫婦二人暮らし、一人暮らしとか同じようなライフスタイルに戻っていくというか。1~2人分のレシピで、たんぱく質も野菜もとれる“のせごはん”と、“かけごはん”という食事スタイルの提案ではあるんですけど。それをカタログみたいなイメージで作りました。

スクランブルエッグのせごはん with のりつくだ煮&クリームチーズ(『のせごはんとかけごはん』より) 日テレNEWS NNN

――その中で、イチ推しメニューを一つあげるとしたらどれですか?

なんだろう…。スクランブルエッグに、のりのつくだ煮とクリームチーズをぴょんぴょんと乗せているメニューがあるんですけど、色がかわいい!と思って(笑)。

最初は、ケチャップとかしょうゆをかけて食べていたんですけど、なんかかわいくないなと思って。冷蔵庫にあるもので、クリームチーズを乗せたんですよ。(一緒に食べても)味的においしいのはわかってたので、のりのつくだ煮も乗せたら、黄色白黒でめっちゃかわいかったんで。視覚的にキュンとしましたし、味もおいしいので。かわいくてすてきなものを食べている事実って、“私まだ大丈夫じゃん”と錯覚させてくれるので。そういう料理を食べる時間が忙しい毎日の中にあると、メンタルが下に持っていかれることはないかなと。

■毎日、料理をすることがつらくならないために

――最後に、長谷川さんが料理をする中で、一番大切にしていることを教えてください。

心がすり減らないことですかね。洗濯や掃除は毎日完璧にしなくても、まあいいかと思えるのに、料理だけは“してあげなきゃ”と、“してあげたい”がぐちゃぐちゃっとなって、自分がつらくなっちゃったり。理想とそうならない自分とのギャップで、つらくなることがかなり多いかなと思うんです。だからそこのバランス、0か100かを考えないっていうことは、かなり大事にしているかもしれないですね。0でも100でもないのが、家庭料理だと思うので。

【長谷川あかりさんのお悩み相談コーナー】

今回、『日テレNEWS』スタッフの料理にまつわる悩みを、長谷川さんに3つ相談させていただき、短時間のインタビュー時間でも、背中を押してもらえる回答をいただきました。

20代女性スタッフからの相談 日テレNEWS NNN

【長谷川さんの回答】

身もふたもない話ですけど、この時期の冬野菜は鍋にするとおいしいので。大根だったら、最初は大根おろし鍋、2日目は大根を薄切りの輪切りにして、豚しゃぶを重ねた鍋にするとか。味と切り方を変えて、汁物の中に溶け込ませちゃう。レシピに頼ると、グラム数を設定しているのでどうしても余っちゃうと思うんです。余った分は2回とかに分けて。なので、私の場合は大体スープとか鍋にしちゃいます。

40代男性スタッフからの相談 日テレNEWS NNN

【長谷川さんの回答】

鶏肉を丸ごと上にのせて炊いて、カオマンガイみたいにするのが手軽なのかなぁ…。大体炊き込みご飯って、ご飯1合に対して塩小さじ半分の塩分がついていればおいしく炊けるんですよ。塩味がよければ、それにしょうがの千切りとお酒を少し臭み消しで入れて、鶏もも肉をバンっとのせて、炊き上がったら鶏肉を切って、ご飯と一緒に盛り付けてナンプラーをかけて食べるとか。

塩分濃度さえ間違えなければ、何のお肉をのせてもおいしいというか。米1合に対して塩小さじ半分、しょうゆに換算すると大さじ1。だから、お米を洗って水気を切った中にしょうゆ大さじ1と、甘辛くしたい場合は同じ量のみりん・お酒を入れて、豚バラ肉(豚こま肉)80グラムぐらいと、すりおろしにんにくを入れて炊くとかなりがっつりした味に。それにこしょうを振ったりとか。

40代女性スタッフからの相談 日テレNEWS NNN

【長谷川さんの回答】

ぐにゅぐにゅっとした食感が嫌なのかもしれない…だったらギョーザとか? 鶏むねのひき肉だと低脂質で高たんぱくなので、最初に鶏つくねにしたものをたくさん作っておいて、あとでそれをギョーザのたねにするといいのかな。もし、お肉のにおいがダメそうであれば、しょうがをおろした搾り汁をお肉につけるとか。あとは、たぶんこれが嫌なんだろうなっていう見当がつくのであれば、それをカバーしながら(お子さんが)好きな料理の味にしちゃうとか。

あとは考え方ですけど、いつか食べられるようになるし、食べられないものはいつまでたっても食べられないので。それはお母様のせいではないので、もう薄切り肉を諦めるっていう。だって、薄切り肉からしかとれない栄養素ってないので。もし、お子さんの偏食で“自分の料理がダメだから…”ってストレスがたまってしまうのなら、薄切り肉を諦めちゃう。別のお肉で栄養素をしっかりとってもらう。一生ダメだったとしても、誰のせいでもないので、それでいいかなと思います。